巨大な氷床で覆われた大陸「南極」は、1957−58年に国際科学会議(ICSU)が主導した国際地球観測年(IGY)で12か国が行った南極観測を契機に国際共同で観測研究を推進する体制が構築され、南極研究科学委員会(SCAR)が1958年に設置されるとともに、1961年には南極条約が発効し、国境がなく科学的活動の自由が担保された大陸として国際協力で科学研究が進められてきた。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最近の報告書では、特に南極の氷床の融解プロセスが明らかでないことが海水準上昇をはじめとする地球温暖化の影響を把握する上で大きな誤差要因とされており、南極の観測研究は地球の将来に大きく関わると認識されている。SCARホライゾンスキャンでは今後の南極研究の重要分野・重要課題を策定しており、日本の南極観測もこれに沿って実施されている。我が国は重要メンバーとして国際協調や科学成果で貢献を続けている。