学術の動向
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新たな地球観への挑戦 ―地球惑星科学の国際学術組織の活動と日本の貢献―
気候変動を予測し適応する社会へ
──世界気候研究計画 (WCRP) の貢献
三枝 信子
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2021 年 26 巻 8 号 p. 8_36-8_38

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抄録

 気候の将来予測と影響評価、負の影響への対策実施は、持続可能な地球社会の構築に不可欠である。世界気候研究計画(WCRP)は、1980年の設立以来、自然起源と人間活動の影響を受けた気候変動とその影響評価に必要な科学の振興に取り組んできた。日本ではWCRPの4つのコアプロジェクトの推進を通して、国際共同研究に基づく地球規模の観測やモデル開発の推進、公開科学会議などを通した交流や次世代の人材育成に取り組んできた。WCRPの重要な国際活動の一つに、気候の将来予測に関わる結合モデル相互比較計画(CMIP)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)への貢献がある。WCRPは今後も気候科学に関する知見創出と普及を継続すると同時に、地球規模の持続可能性を追求する視点を加え、近未来予測や地域ごとの気候変動リスク評価、気候変動の緩和策や適応策の評価を可能にする情報提供などにも貢献していくことが期待されている。

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