学術の動向
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新型コロナウイルス感染症に対する学術の取り組みと今後の課題
日本学術会議第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会が2020年7月に発出した提言「感染症の予防と制御を目指した常置組織の創設について」
秋葉 澄伯平井 みどり糠塚 康江相澤 彰子小松 浩子髙井 伸二石川 冬木岡本 尚神尾 陽子郡山 千早高倉 弘喜中川 晋一三鴨 廣繁
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2021 年 26 巻 9 号 p. 9_29-9_36

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抄録

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックに鑑み、日本学術会議は第二部大規模感染症予防・制圧体制検討分科会を設置した。分科会は「大規模感染症発生後の緊急時に適切な専門家組織を構築し、必要な科学的検討を行い、それに基づいた対策を立案する必要がある。しかし、急遽立ち上げられた組織・体制が短時間で予算を確保し、時宜を得て対策を実施することは困難である。平時からの訓練、ネットワーク構築、必要な体制と法の整備などが重要である。」との結論を得て、2020年7月に表記の提言を発出した。本論考ではその内容を解説した。わが国では、新型コロナウイルス感染症流行が始まって1年以上を経た現在でも必要・十分な対応・対策をとれる体制が確立されていない。自然界に潜む病原体が経済活動や気候変動により人や家畜に侵入し、グローバル化により世界各地に広まることが懸念される中、本提言の内容が今後の感染症対策に役立つことを期待したい。

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