学術の動向
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「水」と「水循環」の研究最前線 ─ 21世紀の多分野協創研究にむけて─
水・エネルギー・食料ネクサス
──グローバルとローカルを繋ぐ
和田 義英
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2022 年 27 巻 1 号 p. 1_28-1_34

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抄録

 人口増大と食糧生産の飛躍的な増加ならびにエネルギー需要の増大により世界の水需要は過去100年の間に10倍近くに増え、今世紀中に人口は100億人に増加する報告もあり、アジア、中南米やアフリカでも水の需要が飛躍的に増加することが見込まれる。世界の二酸化炭素の大幅な減少もしくはカーボンニュートラルには、各国でエネルギー生産や産業構造の大幅な変化が求められるものの、化石燃料を燃焼する大規模な火力発電や原子力発電に電力を大きく依存しており、そうした発電には冷却等のために大量の水が消費されている。国際応用システム分析研究所(IIASA)では、水、エネルギー、食料などの研究部門間の垣根が取り払われ、分野横断的なテーマのもとで、水・エネルギー・食料ネクサスに関する研究が活発に行われており、持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラルの達成に向けて、エネルギー需要や食糧生産を考慮しながら水セクターでどのような解決策があるかなど、今後の経済活動を考慮した水・エネルギー・食料経済モデルの開発に利害関係者との協働のもと尽力している。

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© 2022 公益財団法人日本学術協力財団
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