21世紀の環境問題として、水資源、森林資源、温暖化などの異常気象、反応性窒素の増大があげられる。森林は降雨が通過して流出するまでに、水量・水質を安定させ人類が利用できる状態で供給する水源涵養機能を有する。この機能には、降雨中の反応性窒素を養分として物質循環系に取り込み、水質を浄化する機能も含まれる。しかし近年、過剰な大気汚染による窒素負荷を森林が吸収しきれず、窒素を放出する窒素飽和現象がみられている。一方、日本の人工林は伐採時期を迎え、水源涵養機能を維持しつつ木質系資源の利用を進め、地球温暖化抑止へ貢献する森林管理が求められている。効率を求めた大面積皆伐や渓畔林の皆伐と土壌の撹乱は、窒素の流出を著しく増大させるため避け、立地条件を選んだ丁寧な間伐や小面積皆伐により木質系資源の利用と森林の更新をはかり、森林流域の利用と管理による炭素固定と窒素保持力をバランスよく維持していくことが重要である。