学術の動向
Online ISSN : 1884-7080
Print ISSN : 1342-3363
ISSN-L : 1342-3363
第1部 日本の地域差をデータから見る
心理尺度のデータから見た性格 (パーソナリティ特性) の地域差
吉野 伸哉
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 27 巻 11 号 p. 11_12-11_17

詳細
抄録

 パーソナリティの地域差研究は、大規模かつ全国的な調査が実施可能になった近年から増えてきている。日本においてもBig Fiveパーソナリティを測定する心理尺度を用いて、都道府県レベルの得点から地域差が検討されている。また、パーソナリティの地域差が生じるメカニズムについては選択的移住、生態的影響、社会的影響の3つが挙げられており、それぞれ実証的な検討がおこなわれている。これらの研究で用いられている心理尺度とはパーソナリティ特性の個人差を捉えるツールであり、地域レベルにおいても地域集団における得点の分散を捉えるものである。地域レベルの得点の分散を説明する社会生態的な変数を明らかにすることは、心と社会環境の関連を示し、理論的な提案をもたらし得る。心理尺度を使用したパーソナリティの地域差研究は黎明期にあるため、今後さらなる検討が期待される。

著者関連情報
© 2022 公益財団法人日本学術協力財団
前の記事 次の記事
feedback
Top