2022 年 27 巻 11 号 p. 11_12-11_17
パーソナリティの地域差研究は、大規模かつ全国的な調査が実施可能になった近年から増えてきている。日本においてもBig Fiveパーソナリティを測定する心理尺度を用いて、都道府県レベルの得点から地域差が検討されている。また、パーソナリティの地域差が生じるメカニズムについては選択的移住、生態的影響、社会的影響の3つが挙げられており、それぞれ実証的な検討がおこなわれている。これらの研究で用いられている心理尺度とはパーソナリティ特性の個人差を捉えるツールであり、地域レベルにおいても地域集団における得点の分散を捉えるものである。地域レベルの得点の分散を説明する社会生態的な変数を明らかにすることは、心と社会環境の関連を示し、理論的な提案をもたらし得る。心理尺度を使用したパーソナリティの地域差研究は黎明期にあるため、今後さらなる検討が期待される。