2022 年 27 巻 11 号 p. 11_62-11_67
2020年1月IUGS理事会において、「チバニアン」が中期更新世の地質時代として承認され、その結果Chibanianが国際地質年代表に掲載された。一方、フィールドでは、GSSPを露頭に設置することによって地質基準が実効化される。2022年5月21日、千葉県市原市田淵の川沿いの露頭にGSSPが設置されたことによって、世界的な地質基準として具体化された。本稿では、チバニアンの地層が内在する学術的な意義を整理し、社会への広がりを指摘する。それとともに、チバニアンの根幹をなす統合的な層序学の哲学的な背景について紹介する。さらに、チバニアン研究の基盤となった日本の地質学の先輩たちの貢献についても記した。伝統は記憶されるべきだからである。