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福島第一原子力発電所事故から10年が経過して
福島第一原子力発電所事故から10年
──安全規制と社会の信頼
藤田 玲子
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2022 年 27 巻 4 号 p. 4_20-4_25

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抄録

 福島第一原子力発電所事故(1F事故)から10年が経ち、1F事故の反省から深層防護に基づく安全規制が強化された。原子力を推進する経済産業省(経産省)から分離した原子力規制委員会が安全規制を司る体制に変更され、規制関連の組織の機能と事務は原子力規制委員会に一元化された。原子力発電所および核燃料施設に関する安全規制として新規制基準が制定され、27基の原子力プラントが再稼働を許可されており、安全規制は生かされつつある。しかしながら、科学的、技術的に安全性が証明されてもそのデータのみでは安心は得られない。原子力の安全・安心は技術的な側面と社会科学的な側面があり、安心は信頼がないと成り立たない。信頼を取り戻すには、政治的な決定プロセスを公開で実施することにより透明化し、広く意見を聴く機会を設けることが重要である。原子力に関心を持って下さる方々とまずはできるところから双方向コミュニケーションを始めることが信頼を取り戻す第一歩となるのではないか。

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