学術の動向
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コロナ禍における社会の分断 ─ジェンダー格差に着目して─
ジェンダー視点からさらに検証する必要がある
大沢 真理
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2022 年 27 巻 5 号 p. 5_46-5_51

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抄録

 東日本大震災を契機に災害研究から学んだのは、災害被害は「自然」ではなく個人や社会の脆弱性との合作であること、人的被害は女性により大きいこと、女性の権利保障が低い社会ほど被害のジェンダー格差も大きい、という点だった。病原体による疾患の蔓延も災害に含まれる。権利保障など政府の制度政策や社会の慣行などにより、災害への脆弱性は異なり、ジェンダーで偏る。不適切な対処策が被害を広げることもある(対策禍)。

 物的被害を含む被害についても指標が作られているが、性別の把握はない。新型コロナウイルス感染症による死亡数では、男性が多いと報告されているものの、過少報告が問われるべきである。超過死亡の推計が国際的にも国内でも発表されており、コロナ関連で日本の過少報告は世界的に見てはなはだしい。超過死亡の推計にも性別の把握はなく、経済的打撃や心理的負担を含めたコロナ禍のジェンダー分析は緒についたにすぎない。

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