2023 年 28 巻 1 号 p. 1_17-1_23
2021年8月に、IPCC第一作業部会(WGI)の第6次評価報告書(AR6)が公開された。これは前回報告書から8年ぶりとなるもので、近年の観測データの充実や気候モデルの発展を反映した内容となった。また、その前年に日本でも宣言された「2050年カーボンニュートラル」や、公開後に眞鍋淑郎博士がノーベル物理学賞を受賞したニュースともあいまって、今回の報告書は広く一般の関心を集めることになった。本稿では、WGI AR6の概要を政策決定者向け要約に基づいて紹介し、今後の科学的課題について考えてみる。