抄録
2011年3月,東北地方太平洋沖地震によって東北地方の太平洋沿岸は甚大な津波被害を受けた。震災復興が急がれる中,特に海岸林についてはその機能をより発揮するような再造成が検討されている。先行研究によると津波に対して胸高直径の大きい個体ほど残存していたと報告されている。そこで本研究では宮城県のクロマツ海岸林において直径階ごとの本数分布とその推移を把握することができる収量–密度図を重量値を用いて構築した。さらに収量–密度図を用いて海岸林の動態解析を試みた。宮城県とほぼ同緯度である山形県のクロマツ海岸林の収量–密度図と比較すると,最多密度曲線と等限界直径線に有意な差は認められなかった。このことから再造成の際には山形県の収量–密度図が利用できる可能性が示唆された。また津波被害が見られた林分とそうでない林分の直径分布の違いが収量–密度図上で明瞭であった。一方,動態解析によって津波被害が見られた林分では約5年程度で胸高直径の大きい個体の本数割合が林分全体の約82%まで増加することがわかった。本研究の結果からクロマツ海岸林の再造成やその後の管理においても収量–密度図の利用が有益であると考えられる。