東北森林科学会誌
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落葉・落枝および林床における放射性セシウムの動態
蛭田 利秀 川口 知穂壽田 智久坪山 良夫大谷 義一小林 政広篠宮 佳樹
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2016 年 21 巻 2 号 p. 43-49

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抄録
放射性セシウムの樹冠から林床への移動,林床から鉱質土壌層への移行の推移を明らかにするため,福島県林業研究センター多田野試験林のスギ・ヒノキ混交林およびコナラ優占の落葉広葉樹林において,2011年12月から2014年12月まで落葉・落枝および堆積有機物・鉱質土壌のセシウム137(以下137Cs)濃度を測定した。時間の経過に伴って落葉・落枝の137Cs濃度は,スギ,ヒノキで緩慢に低下し,アカマツで急激に低下した。また,落葉・落枝の単位面積当たりの137Cs量はスギ,ヒノキで変化は少なく,アカマツで急激に減少した。これら樹種による差異は,葉の寿命が大きく影響していると考えられた。また,堆積有機物層の単位面積当たりの137Cs量は,2012年9月から2013年12月に両林分で有意に減少した。鉱質土壌層の単位面積当たりの137Cs量は,スギ・ヒノキ混交林で2012年12月から2013年12月に,コナラ優占の落葉広葉樹林で2012年9月から2012年12月に0−5cmの層で有意に増加し,5cmより下層では変化は少なかった。これらのことから,137Csが堆積有機物層から鉱質土壌層へ移行しており,0−5cmの層に保持されていることが明らかとなった。一方,堆積有機物の平均分解率から,2011年3月に137Csが沈着した堆積有機物は,ほとんど分解していると考えられたが,2012年9月以降,両林分ともに堆積有機物の単位面積当たりの137Cs量は変化が少なく,137Csは堆積有機物層に保持されていることが明らかとなった。
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