東北森林科学会誌
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ナラ枯れ被害終息後の林分における更新の可能性と生物群集への波及効果
斉藤 正一 八木橋 勉高橋 文上野 満柴田 銃江中静 透
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2016 年 21 巻 2 号 p. 60-65

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抄録
ナラ枯れ激害林では,被害後に高木層が衰退し林冠疎開するため開空度が大きくなり,ナラ類や他の高木種が更新する可能性があると考えられた。激害林でも種子散布者のヒヨドリが生息していることから,被食型の樹木の種子も供給されると思われるが,林冠疎開による常緑低木やリョウブなどの低木層の繁茂によって,今後の高木種などの更新は困難であることも考えられる。激害林ではナラ枯れをきっかけとした他の生物群集への波及効果も認められ,昆虫類ではリョウブの植被率の増加を受けて,これを食草とするキンモンガが増加した。また,鳥類ではキンモンガなどの鱗翅目の幼虫を多く捕食するホオジロ,シジュウカラ,ヤマガラの出現数が多い傾向にあった。ナラ枯れ被害跡の林分には,ミズナラやコナラの枯死木と枝が枯死した生立木が存在するため,キツツキ類には好適であると考えられるが,枯死木を採餌には利用したものの,営巣木での利用は確認されなかった。
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