抄録
東日本大震災を機に,従来の大規模集中型エネルギーシステムを見直す動きが広がっている。本研究ではこれからのエネルギーとして木質バイオマスの一つである薪に着目した。岩手県北上市にある口内町を事例として,薪の利用実態を全域踏査・薪利用世帯への聞き取り調査から把握し,課題を抽出する。調査結果より口内町全527世帯の6.1%にあたる32世帯を薪利用世帯と判断した。利用世帯の住宅は平均築年数が高く,暖房・調理への利用が大半である。自分の山林を持っている世帯が多いが,その所有山林の木を十分に活用できているとは言い難い状況である。薪利用に対する意識調査では,薪の利点として暖かさの質について挙げる世帯が多いのが特徴的である。利用拡大にあたっては,①古い家,②建て替え・改築世帯,③移住者など,それぞれの状況に合わせた対策が必要と考えられる。