2016 年 21 巻 2 号 p. 66-70
全国的に個体数が増加傾向にあるニホンジカは,多雪地帯のため冬季の生存が困難とされてきた東北地方の日本海側でも急速に分布を拡大しており,山形県でも目撃され始めた。このため,初期動態の把握を目的に,寄せられた目撃情報の内容や目撃地の立地環境を分析した。その結果,シカは全県に生息している可能性が高く,近年は庄内地方南部と西置賜地方で目撃が多い傾向が見られた。また,目撃地は,周囲が森林で近くに道路や河川がある平坦な耕地で,特に,開けていて見通しが良く人的利用が多い場所の傾向が高く,日中に森林から一時的に出てきた際に目撃されている可能性が高かった。