抄録
田代川沿いの防潮林帯残存部に,長さ76m,幅38mの調査区を設けた。調査区内の198本の残存立木は,林地土壌の海水浸漬により2011年夏から葉枯れが進み,翌年の2012年11月には150本が枯死と判定された。その後,枯死木の発生は少なくなり,2013年で9本,2014年で4本で,2015年には見られなくなった。立木生存率は,調査区内の場所で異なり,2012年11月時点で上流側区域で38%,河口側区域で4.8%であった。土壌は,前者では礫が多く礫間に粗砂がゆるく入った層が,後者では砂に腐植や粘土の混入した堅い層が厚く堆積し,透水性あるいは保水性にちがいがあると見られた。また,胸高直径階別本数分布は,生存木では大径木(上層木)側に,枯死木では小径木(下層木)側に偏っていた。これらのことから,立木の生育水分環境や生育光環境に依拠した生理特性とくに耐乾性のちがいが,立木の生存・枯死に影響したのではないかと推察した。