東北森林科学会誌
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法面における樹木の侵入状況
―岩手県盛岡市における施工40年後の事例―
泉 桂子 山内 勇人
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2019 年 24 巻 1 号 p. 5-12

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抄録

広葉樹二次林に施工された切土法面における樹木の自然侵入の状況とその種子散布様式を明らかにした。調査法面は1976 年に施工され,斜面上部に自然地形を残し,その下部に1〜3条の犬走りを持つ切土法面が造成された。面積は切土法面0.160 ha,その上部の地形残存部0.129 ha で,標高177〜195 m,傾斜33〜41度,斜面は北北東向きである。調査地は草本の種子吹付工が施され,以後の管理は2017年6月に低木・支障木の伐採が行われたのみである。調査対象は胸高直径5 cm以上の木本とし,樹種・胸高直径・樹高を計測した。切土法面に侵入した樹木は16種であ り,うち被食散布7種,風散布4種,貯食散布5種であった。切土法面のhaあたり樹幹数は1,113幹/ha,832個体/ha,幹材積は126.148 m³/haであった。ミズキとスギは切土法面上における幹数の76 %を占め,法面施工後早期に侵入したと考えられる。

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