2014 年 31 巻 3 号 p. 297-303
品冷凍において,氷結晶の形態は食品の最終品質に大きく影響を与える.既往研究において,凍結過程で偶発的に顕著な過冷却が生じる場合,微細かつ均質な構造を持った,特徴的な氷結晶が生成したとの報告がある.この凍結過程を本編では過冷却凍結と呼ぶが,本研究では,緩慢な冷却によって,意図的に豆腐試料の過冷却凍結を実現し,その過程での過冷却解消温度を変え,解凍後の復元性,氷結晶の形態およびドリップロスに及ぼす影響を調べた.その結果,過冷却解消温度が低いほど氷結晶は微細になり,解凍復元性が良くドリップロスも抑制された.これらの結果は,過冷却が深くなるほど氷核生成頻度が上がることに関連すると考えられる.