日本冷凍空調学会論文集
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原著論文
  • 斉藤 玲, 鈴木 良典, 中野 亮一
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 39-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/05/30
    ジャーナル オープンアクセス

    地球温暖化及び気候変動への対応として様々な冷媒が提案され検討が進められている.近年はフッ素を含有する冷媒だけでなく, プロパン(R 290)のような冷媒も各国で冷媒量の少ない機種を中心に採用され始めている.R 290は高い燃焼性と, 鉱物油やポリオールエステル(POE)など従来の冷凍機油への高すぎる溶解性を持つことから, 安全性確保や性能向上のため敢えて冷媒が溶けにくい冷凍機油を採用する場合もある.一般に冷媒に溶けにくい冷凍機油は圧縮機への油戻りが良くないとされるが, 今回はHFC/HFO冷媒なども含め, 冷凍機油の冷媒溶解性とその影響, 特に溶解性の低い冷凍機油でも油戻りに問題が無い可能性も含め報告する.

  • 装置の遅れ時間を改善するフィードフォワード制御の開発
    ジャンネッティ ニコロ, ソラフディン , 水野 亜杜, 宮岡 洋一, 清 雄一, 榎木 光治, 齋藤 潔
    原稿種別: original paper
    2025 年42 巻2 号 p. 47-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    エミュレーター式負荷試験法は,試験装置における熱容量などの違いを補償するために,装置内の温湿度状態をエミュレーターによって仮想的に与えることで機器の動的性能を試験装置の違いによらず高精度に再現性ある形で評価しようとするものである. 一連する本研究では,これまでにエミュレーター式負荷試験法を提案するとともに,ラウンドロビン試験により,ある程度の精度で性能が得られることを明らかにしてきた.しかし,これまでの研究では,動的試験の再現性を向上させる具体的な方策については未解決の課題となっていた. そこで,エミュレーターからの室内温湿度の制御目標値と試験装置においてこの制御目標値に基づいて条件発生器で実際に生成される室内空気の温湿度の遅延特性を線形モデルで表現し,これに基づく新たなフィードフォワード補償技術を提案する. 提案された手法により,さまざまな試験条件において,室内温湿度はルームエミュレーターからの制御目標値に対し60秒以内の追従性を実現し,異なる試験装置であっても動的試験における空調機の性能の偏差を2%以内に抑えることが可能であることを確認した.

  • 廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 61-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス

    液膜流は,満液式熱交換器と比べ内部の冷媒保有量を削減できる手法のひとつとして熱交換器への適用が進められている.本研究では,液膜流において伝熱性能を決定する重要なファクターである液膜厚さをアクティブに制御する手法として,界面せん断力を受ける液膜流に着目した.界面せん断力を受ける液膜流の蒸発熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率の評価が行える実験装置を用いて,液体流量が界面せん断力を受ける液膜流の伝熱特性へ及ぼす影響を明らかにすることを試みた.

  • 吹場 活佳, 井戸 智裕
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 71-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス

    シリコーンオイルと空気との直接熱交換により無着霜での熱交換が可能な熱交換器を試作した. 初めに水平に流れる空気流に対しシリコーンオイルが上から下へと流れる直交型の熱交換器を製作した.しかし空気流によりシリコーンオイルが下流に飛散するため,ピアノ線を配置してこれにシリコーンオイルを添わせるようにしたところ,ピアノ線に氷が付着してしまった.ピアノ線に撥水性のコーティングを施したところ,氷の成長を押さえることができたが,オイルの出口部分での氷の成長を抑えることができず,時間の経過とともに出口が閉塞した.これらの問題を解決するため,空気流とシリコーンオイルの流れの向きをともに上から下へ流れるように変更した.これによりピアノ線なしで空気とオイルとの直接熱交換が可能になった.この形式の熱交換器では1時間無着霜で熱交換を行うことができた.その間,圧力損失の増大は見られなかった.

  • 小川 康太, 森﨑 弘大郎, 三好 航平, 森 啓太, 近藤 智恵子
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 83-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

     HFO-1123/R744(CO2)の固液平衡特性を実験的に明らかにするとともに40 kWクラスの冷凍機を想定したカスケードサイクル性能を計算した.冷却曲線法を用いた凝固開始温度の測定結果は,Schröder-van Laar式の推算値より特定の組成で1 Kほど高い値を示したものの,測定値は不確かさ以内で一致した.高段サイクルにR32,低段サイクルにHFO-1123/R744を採用し,中間熱交換器内ピンチ温度差3 K,使用温度-40 ℃,-50 ℃,および-60 ℃の条件のもと計算を行った.計算結果は,使用温度-40 ℃では,COPはHFO-1123単体を除いてR23を下回りHFO-1123モル分率0.47の時,最小値をとり0.2低い.一方,体積能力はモル分率0.19以下でR23を上回り,最大で1.2倍となる.使用温度-50 ℃および-60 ℃では,COP,体積能力ともにR23を下回る.

  • 甲斐田 武延, 森 昌司
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 93-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究では,産業用ヒートポンプの導入検討時での利用を想定して,多種多様な産業用ヒートポンプの成績係数(COP)を再現できる簡易的な相関式を構築した.具体的には,日本で入手可能な産業用ヒートポンプ製品の性能データを収集・分析し,第2法則効率であるローレンツ効率と対数平均温度リフトの相関に基づく式を作成した.相関式は2種類に大別され,1つは単段圧縮サイクルを有する標準的なヒートポンプのCOPを±10%以内の精度で再現できる.もう1つの相関式は,二段圧縮サイクルや二元サイクルを含む既存技術で達成可能な性能レベルを表す.いずれの相関式も,熱源と熱供給先の媒体の種類,およびそれらの出入口温度のみを用いてCOPを簡易的に算出できる.

  • 秋澤 淳, 霜山 太一, 河野 雅弘, 本田 拓也
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 111-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/04/15
    ジャーナル オープンアクセス

    二重効用吸着冷凍サイクルは高温で動作するサイクル(HTC)と低温で動作するサイクル(LTC)を組み合わせ,HTCの吸着熱を回収してLTCの吸着材の脱着に利用することにより,外部からの熱投入を減らし成績係数(COP)を向上させるサイクルである.本研究ではHTCにFAM-Z02を,LTCにシリカゲルを使用した実験装置を用い,HTCとLTCの間で水を循環させることによって吸着熱を回収する二重効用サイクルが動作することの実証を目的とした.熱源温度90℃,冷却水温度20℃,冷水入口温度15℃で実験した結果,HTC,LTCともに冷凍出力が得られたことから,回収した吸着熱でLTCが脱着できたこと,LTC加熱後の約50℃の循環水でHTCの吸着過程が動作したことが確認された.また,外部からの投入熱量がHTCのみとなるためCOPが単効用相当の約2倍に向上することが示唆された.さらに,HTCおよびLTCに使用する吸着材の充填量をそれぞれ3通り,合計9通りの組み合わせについて実験的に感度分析を行い,充填量が冷凍出力やCOPに及ぼす影響を調べた.

  • 第2報:再生条件が内部温湿度の変化に与える影響
    内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士, 鍋島 佑基
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 123-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,連続して回転するデシカントローター内部の温湿度可視化のため,IoT用無線式小型温湿度計を用いた温湿度測定技術の構築を行ってきた.小型センサーによる同時5点の温湿度計測システムを構築し,厚み200 mmのデシカントローターを2種類用意し通風試験を実施した.ローター内部の絶対湿度分布を可視化した結果,10 rphにおいてローター無次元回転方向0.1-0.2(35°-70°)の領域で除湿量が最大となった.また厚さ方向について,ローターAは100 mmの地点で75 %,ローターBは56 %除湿が完了していた.100 mm以降はローターAでは除湿量の低下がみられたが,ローターBでは厚さ200 mmまで除湿/再生が行われる傾向を確認した.

  • 第3報:潜熱負荷がローター内部の除湿挙動に及ぼす影響
    鍋島 佑基, 内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 135-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究ではデシカントローターの内部環境可視化のため,無線式小型計測システムによるローター内温湿度の計測技術構築を行ってきた.本報では異なる吸着等温線の特性を持つローターを対象に内部の温湿度変化を可視化し,異なる潜熱負荷条件において,厚さ200 mmのローター内部温湿度を比較した.その結果,14 g/kgDAの条件では吸着材の種類によらずローター全域で除湿が行われていた.5 g/kgDAの条件では,60 %程度で最大吸着量に達するローターC内部の厚さ50 mmまで除湿が行われたが,90 %程度で最大吸着量に達するローターAとBは内部で緩やかに除湿が進んでおり,それぞれの吸着等温線の特徴を反映した除湿が確認できた.

  • Dio Afinanda MAKARIM, Akira SUAMI, Agung Tri WIJAYANTA, Nobusuke KOBAY ...
    原稿種別: Original paper
    2025 年42 巻2 号 p. 145-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    A higher concentration of LiBr is effective in achieving an even higher performance in LiBr/water absorption heat pump (AHP), but crystal growth occurs and causes blocking fluid stream once the concentration reaches its saturation point. It was pointed that a fine particle slurry of LiBr crystal is formed under a super saturation condition when zeolite powder is suspended into the solution. Then the slurry possesses a potential to improve remarkably the output of heat. This paper proposes a concept of the self-condensation effect contributing to not only significantly higher temperature generation beyond the equilibrium for working in a heating-up mode of AHP but also enlargement of the heat capacity as a heat storage material. The adiabatic maximum temperature in the absorber was estimated based on thermodynamic equilibrium, energy and mass conservation, and the thermodynamic properties for different crystal concentrations in the slurry and evaporator temperatures assuming the case of a batch process in two columns consisting of absorber and evaporator. The slurry with higher crystal concentration than 0.3 kg-crystal/kg-slurry and 0.1 kg-crystal/kg-slurry has the potential to generate a maximum temperature of more than 150 °C under given evaporator temperature of 60 °C and 80 °C, respectively. In addition, the slurry can generate temperatures up to 80 °C with its heat storage capacity peaks at 1300 kJ/kg-slurry while the homogeneous solution heats up only to a low level of temperature at 65 °C with the heat storage capacity of 900 kJ/kg-solution, assuming that the initial temperatures of the solution and the evaporator are fixed at 25 °C and heat over 40 °C is utilized.

  • 千原 捺暉, 大村 奏斗, 小林 敬幸
    原稿種別: 原著論文
    2025 年42 巻2 号 p. 155-
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/07/15
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

     塩化カルシウムを蓄熱材として使用し蓄熱材充填層内の水蒸気拡散速度を促進させ,蓄熱材との熱交換を促進させるためにオフセットフィン型蓄熱モジュールを考案した.本研究ではオフセットフィン型モジュールを用いた200回の繰り返し試験の結果から蓄熱モジュールの性能とこれに及ぼす影響決定因子を探索した.また,性能決定因子と性能評価を機械学習を用いて高速化することも検討した.機械学習を用いた評価は物理モデルを用いたものを良好に再現していた.200回の繰り返し試験の結果と機械学習を用いた高速評価により,蓄熱材の膨張が蓄熱モジュールの性能に大きな影響を与えていることが分かった.

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