日本冷凍空調学会論文集
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原著論文
  • 須田 公平, 吹場 活佳, 堀 伊吹, 川﨑 央, 小林 弘明, 坂本 勇樹
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 65-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー

    配管の内面に溝加工を施し,これをシリコーンシーラントで埋めることにより配管内面の沸騰伝熱を促進する方法を提案する.内面に加工を施した配管を,液体窒素及び液体水素を用いて冷却し温度変化を計測する実験を行った.実験には外径1/2 インチ(12.7 mm),長さ120 mm のステンレス製の配管が用いられた.内面に施す溝の間隔をパラメータとして実験を行い,冷却速度および温度変化から算出される熱流束に与える影響を調査した.液体窒素を用いた実験では,膜沸騰が抑制されることにより冷却時間が1/3.6 に短縮された.対照的に,液体水素を用いた実験では冷却時間を短縮することができなかった.水素の特殊な物性や伝熱特性が結果に影響したと考えられる.

  • 山田 瑛大, 楊 少博, 井上 架, 党 超鋲
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 77-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究は, マイクロチャンネル内におけるスラグ流の流動特性, 特に低キャピラリー領域における液膜の挙動の解明を目的とし, 高速度カメラを用いた気泡の動きの可視化観察, 気泡速度, 接触角, および流動抵抗の計測を行った. また, 表面濡れ性の影響を考慮するため, 異なる表面処理を施した内径1 mm のガラス管を用いて実験を行った. 実験結果から, 未処理ガラス管において, 駆動流速が 20 mm/s の時に液膜が形成され, 親水性ガラス管では僅かな駆動流速で液膜が形成された. 撥水性ガラス管では液膜の形成に伴い気泡が分裂した. また, 気泡が液膜によって潤滑されると流れが促進されることがわかった. 流動抵抗の計測および理論モデルとの比較から, 1 つの気泡に液膜が形成されない場合, 流動抵抗が約200 Pa 大きくなることがわかった.

  • Wantanee NOICHINDA, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Tomoyuki KOYAMA, K ...
    原稿種別: Original Paper
    2024 年 41 巻 2 号 p. 89-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー

    The objective of this study was to determine the most efficient method for extracting oil from North Pacific krill (Euphausia pacifica). A rapid, single-step extraction using a mixture of acetone and ethanol was employed, and heat treatment was applied to the krill. Additionally, argon gas (Ar) was used during the extraction process to prevent lipid oxidation. The results demonstrated that heat treatment, both in air and under Ar conditions, resulted in higher lipid yields (2.14% and 2.12%, respectively). The extracted krill oil underwent analysis to determine the content of neutral lipids (NLs), polar lipids (PLs), and free fatty acids (FFAs). The krill oil heated under Ar conditions exhibited the highest NLs content but a lower amount of PLs. However, the FFAs content increased for both heated krill samples. Moreover, all krill oils exhibited high levels of n-3 polyunsaturated fatty acids, particularly elevated PLs content, which included icosapentaenoic acid (IPA) and docosahexaenoic acid (DHA) (18.83 - 26.64 and 26.45 - 33.87 g/100 g of lipid, respectively). These components were present in the extracts, with greater prominence observed for the Ar treatment condition. However, the peroxidation value and presence of thiobarbituric acid reactive substances indicated that heat induced lipid oxidation, thereby reducing the lipid quality. Therefore, heat treatment proved beneficial in enhancing lipid yield, although it also had a negative impact on lipid quality. Conversely, the use of Ar during extraction was found to delay lipid oxidation compared to other extraction methods.

  • 中村 柚咲, 水野 加寿樹, 平塚 聖一, 後藤 慶一, 髙橋 希元
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 103-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    養殖マグロ類の品質向上のための基礎的な知見を得ることを目的に,冷凍タイセイヨウクロマグロを対象として,アイルランド産天然魚と地中海産養殖魚の品質を比較検討した.これまでマグロ類の品質に重要であると考えられてきた脂質含量は天然魚において低く,うま味を呈するイノシン酸含量や鮮度指標であるK 値は天然,養殖試料間で差が認められなかった.一方で天然,養殖試料間では,餌由来と考えられる脂肪酸および遊離アミノ酸組成が異なっており,これらの違いが冷凍タイセイヨウクロマグロの品質に影響を及ぼしている可能性が示唆された.

  • A Comparative Study
    Reaz Mohammad MAZUMDAR, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Kazufumi OSA ...
    原稿種別: Original Paper
    2024 年 41 巻 2 号 p. 115-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    This study evaluated the effect of quercetin from onion extracts (OE) on the gel-forming ability of Alaska pollock and pangasius frozen surimi. In this study, 0%-0.10% OE of the surimi was used to prepare 20- and 120-min heated gels at temperatures ranging from 30°C to 90°C at 10°C intervals. Alaska pollock surimi gels did not show any significant improvement after adding OE for breaking force. Conversely, the addition of the OE increased the breaking force of pangasius surimi gels (p < 0.05) heated at 50°C-90°C for 20 min and 40°C-90°C for 120-min compared with those without gels heated for the same time. The whiteness of gels from two species of surimi decreased with increasing concentration of OE. Meanwhile, when 0.075% OE was added, the α-helix content decreased, the ß-sheet increased in pangasius gel, whereas the hydrophobic interaction noticeably increased in pangasius gels added with OE. Therefore, OE enhanced the formation of ß-sheet structures and hydrophobic interactions, which contributed to the better gel strength in pangasius surimi gel, signifying that OE can be an alternative to improve the strength of gels from low-grade frozen surimi.

  • 坂本 勇樹, 小林 弘明, 竹崎 悠一郎, 成尾 芳博, 谷本 圭亮 , 川口 潤
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 131-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    液化水素は,国際的な水素サプライチェーンを構築する上で,大規模な輸送・貯蔵の観点から最も有望なキャリアのひとつである.液化水素は極低温で沸騰するため,輸送・貯蔵中に気化した水素ガスを発電設備等で有効利用することが求められている.本論文では,大規模な極低温水素ガス圧縮機の実証試験を行うにあたり開発した任意の温度・圧力・流量の水素ガスを供給する「低温水素ガス発生装置」の検討と実証運転結果について報告する.また,本実験を通じて得られた,気液混合があるシステムにおいて液体流量を直接計測しなくとも質量を推算する手法を報告する.

  • 沼田 夏実, 地下 大輔, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 141-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,HFO 系冷媒の沸騰を伴う流下液膜の熱伝達特性の解明を目的として,垂直平面におけるR1234ze(E)の沸騰気泡,液膜破断およびドライパッチの挙動の観察を行うとともに,液膜の流動状態と熱伝達との関係を実験的に明らかにした.液膜は気液界面に波立ちを伴いながら流下し,液膜内において沸騰気泡の形成・破裂が観察された.熱流束の増加および膜レイノルズ数の低下に伴いドライパッチは拡大したものの,高液膜流量条件ではドライパッチは厚い液膜流れによってリウェットされた.また,熱伝達率は熱流束および圧力の増加に伴い増大した.熱伝達率はドライパッチの拡大により減少し,濡れ面積率および熱伝達率が減少を開始する膜レイノルズ数はおおよそ一致した

  • 廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 149-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    冷凍空調機器に適用される蒸発器では,最近の冷媒規制にともない冷媒使用量の削減が求められている.満液式の熱交換器と比べ冷媒量が削減できる方式として,流下液膜等の液膜流を用いた方式が注目されており,その方式のひとつである液膜流と平行に高速の気体流を流すことで液膜厚さを減少させ伝熱性能の向上を狙った界面せん断力を受ける液膜流とよばれる液膜流が注目されている.本研究では,界面せん断力を受ける液膜流の熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率を同時に計測できる実験装置を製作し,液膜挙動に基づいた基礎的な熱伝達特性の解明を試みた."

  • 吉田 雅輝, 山田 俊輔, 船見 祐揮, 中村 元
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 159-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    水平設置された断面積2 mm × 2 mm の矩形微細流路における水の流動沸騰様相を2 台の高速度カメラで撮影し,同時に高速度赤外線(IR)カメラで熱伝達変動を高時空間分解(4000 fps,25 μm/pixel)で測定した.本測定を実現するために,フッ化カルシウム(CaF2)に酸化インジウムスズ(ITO)膜を成膜した測定面を作製し,矩形流路の底面に設置した.さらに,高速度IR カメラで測定したITO 膜の温度分布を境界条件とした測定面内の非定常三次元熱伝導解析を行い,測定面内部への非定常な熱損失を評価した上で,壁面熱流束の時空間変動を算出した.質量流束100 または200 kg/(m2·s),壁面熱流束20 kW/m2 の条件において,流動様相をスラグ流から環状流にかけて変化させ,測定を行った.その結果,各流動様相に応じた高速かつ複雑な熱流束変動を明瞭かつ定量的に測定することができた.

  • 福田 翔
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 171-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では高温ヒートポンプの凝縮器に注目し,臨界温度の比較的高いT3456|g*¥+を用いて高温下におけるプレートフィン熱交換器での凝縮熱伝達実験を行い,高温下における凝縮熱伝達特性の解明を目的とした.実験はセレートフィンおよびストレートフィンの4 種類,ならびに冷却方式を片面冷却および両面冷却の4 通りで行った.また,片面冷却の場合は設置したガラス窓から凝縮様相の観察も行った.結果として高クオリティ領域ではセレートフィンのセレート部において冷媒の液相が撹拌され熱伝達率は向上するが,中クオリティ領域ではセレート部により冷媒液膜厚さが均質化してしまい熱伝達率は低下する.また,換算圧力20: を超える飽和温度ではセレートによる撹拌効果も見られなくなり,高クオリティの熱伝達率は低くなる."

  • 仮屋 圭史, 宮良 明男
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 183-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,プレート式熱交換器を模擬した流路を用い,従来ほとんどなされていない低質量速度条件を含めたHFO系冷媒,HFO系冷媒への添加物候補物質であるCF3IおよびR32 の凝縮および蒸発局所熱伝達率測定を行い,それらの基本的特性を明らかにした.その結果,流路幅方向の蒸発および凝縮伝達率分布はそれぞれ熱交換器出入口付近および熱交換器中心付近が最大となり,端面に近づくほど低下することが明らかになった.また,得られた熱伝達率データを既存の整理式による計算値との比較を併せて行った.その結果,蒸発熱伝達については既存の整理式である程度再現可能であること,凝縮熱伝達については従来の整理式は特に低流量域において熱伝達率を過大に見積もることが明らかになった.

  • 加熱条件下における液相分配の均⼀性向上の試み
    小野寺 亜由美, 畠田 崇史, 森 浩平, 池田 明大, 丸山 直樹, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 195-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル フリー

    住宅用や業務用エアコンに用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相冷媒流について,入口側ヘッダ内に挿入した多孔内管から冷媒を供給することで液相分配の均一化を試みた.とくに分岐管を均等に加熱した状態でヘッダ内の流れの可視化観察と各分岐管への気液分配量の測定を行い,冷媒の蒸発が多孔内管の効果に及ぼす影響を明らかにした.また,分岐管の加熱量を管毎に変化させた不均等加熱条件においても実験を行い,熱負荷の分布状態が液相分配に及ぼす影響についても検討した.

  • 井岡 久美子, 伊藤 宜司
    原稿種別: 原著論文
    2024 年 41 巻 2 号 p. 207-
    発行日: 2024/06/30
    公開日: 2025/06/30
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    熱交換器の設計において,熱伝達率および通風抵抗などのトレードオフ関係にある性能が両立する構造を求める手法として,熱流体シミュレーションと様々な最適化手法との連携が検討されてきた.しかし,これまで報告されてきた手法の多くは単目的最適化を行う手法であり,また多目的最適化の手法では解析回数の削減などに課題があった.そこで,本報では実験計画法と重回帰分析を応用し,より少ない解析回数で熱伝達率および通風抵抗の取り得る範囲を求めて,その範囲から仕様に合わせた最適構造を導出する手法を構築した.さらに,本設計手法の有効性を扁平管熱交換器の設計に適用して検証するとともに,予測精度の改善方法を示した.

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