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國吉 直, 寺島 康平, 小嶋 満夫
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-22
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/11/30
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熱を用いた冷熱供給を目的とし,60 °C程度の低温熱源を利用したエジェクタ冷凍サイクルの実現に向けた研究を進めている.本研究では蒸気発生温度が60 °C程度の場合におけるR 245faを用いたエジェクタ冷凍サイクルの性能評価を目的として実験を行った.冷媒は,冷媒送液ポンプの消費電力の削減を目的として低圧冷媒であるR 245faを選定した.その結果,蒸気発生温温度および蒸発温度が60 °Cおよび15 °Cの場合,COPT(冷凍能力/投入熱量)は0.3以上,COPE(冷凍能力/冷媒送液ポンプの消費電力)では35以上の値を得ることができ,熱を用いた省電力の可能性を示すことができた.また,COPTと臨界凝縮温度の関係を示し,エジェクタデザインの方向性について検討を行った.
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西尾 淳, 黒瀬 良一
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-24
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/11/30
ジャーナル
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空調機における冷媒充填量削減と制御性向上のためには,配管分岐部における気液分配特性の把握が重要である.特に,非共沸冷媒を用いた場合,液相と気相の組成差が熱交換器性能に影響を及ぼす.本研究では,絞りを有する分岐管を対象に,Volume of Fluid(VOF)法によるLarge Eddy Simulation(LES)を実施し,気液二相分配特性を解析した.得られた結果を基に,液相分配はレイノルズ数およびフルード数に,気相分配はガスレイノルズ数に基づく1次元モデルとして整理し,簡便な予測式を構築した.さらに,構築したモデルを熱交換器解析に適用し,乾き度や露点温度の予測精度を評価した結果,実用上十分な精度を有することを確認した.
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飯島 遼太, 松永 和行
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-20
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/10/31
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スクロール圧縮機では,スクロールラップ間の軸方向隙間縮小と接触圧力低減の両立が,高効率化・信頼性向上のため重要である.しかしながら,圧力熱変形に加えて旋回スクロールの背圧浮上や公転運動を考慮してラップ間の摺動状態を動的に予測する手法は未だ十分確立されていない.そこで本研究では,熱伝達率相関式と幾何計算に基づく圧縮室伝熱モデル,および予備的な流体解析に基づく応答曲面を組合せた伝熱サロゲートモデルを構築してラップ温度分布を予測し,さらにその結果をスクロールラップアセンブリの時刻歴応答解析に適用してラップ間の動的な隙間および接触状態を予測する手法を開発した.解析の結果,従来の剛体つり合いモデルと平均スラスト荷重の点では整合しつつ,準静的な従来手法には表れないスラスト荷重の偏在および時間的な振動が発生し,それは旋回スクロールの瞬間的な転覆および復帰の挙動に伴う加速度の変化として説明されることを示した.
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渡辺 拓登, 森本 崇志, 小山 寿恵, 谷野 正幸, 熊野 寛之
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-18
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/10/15
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アイススラリーは,微細な氷粒子と水または水溶液の混合物であり,食品などの冷却や配管洗浄など,様々な分野でその利用が期待されている.しかし,氷粒子がもつ凝集性によって配管内での閉塞を問題点として抱えている.この氷粒子同士の凝集力は,定量的に評価された例は存在しておらず,経験的にその存在が知られているにとどまっている.このため,本研究では氷粒子に働く凝集力の定量的な評価を目的とした.凝集力については,流れのないアイススラリー上で簡易的な荷重実験を行い,保持できた最大のおもさから算出した.本研究では,溶質に塩化ナトリウムとエタノールを使用してアイススラリーを生成した.この結果,氷粒子の凝集力は氷充填率の上昇および溶質濃度の低下に伴い,大きくなることが判明した.また,同じモル質量では溶質による違いはあまり見られなかった.
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SILVIA, Monjur MORSHED, Ryuhi OGAWA, T. I. HOIMONTEE, Md. Jahangir AL ...
原稿種別: original paper
論文ID: 25-19
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/08/31
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Nowadays, hydrofluorocarbons used as refrigerants in air conditioning systems are being reevaluated worldwide due to their substantial environmental impact and high global warming potential. This has driven the advancement of next-generation refrigerants HFO1123 considered as a component candidate for next-generation refrigerant mixture due to its zero-ozone depletion potential and low global warming potential (GWP). However, no experimental data regarding its thermal conductivity are available in the open literature. This study investigates the thermal conductivity of HFO1123 in both the liquid and vapor phases. The accuracy and reliability of the apparatus were validated by measuring the thermal conductivity of R134a. The thermal conductivity of HFO1123 was measured using the transient hot-wire technique, employing a platinum wire with a diameter of 15 µm. Experiments were conducted over a temperature range from 233 K to 313 K and pressures between 0.52 MPa and 4.30 MPa. The estimated combined uncertainty of the thermal conductivity measurements is 1.14% for the liquid phase and 1.62% for the vapor phase. The experimental data of HFO1123 were compared with REFPROP 10.0, a predictive extended corresponding states (ECS) model. Furthermore, the residual entropy scaling (RES) technique-based thermal conductivity model of HFO1123 has been applied using the experimental data.
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特徴量設計の統一化検討(第一報)
小薗 凜人, 佐々木 慎司, 森 隼人, 上田 晴康
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-04
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/30
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HFC排出抑制の観点から,業務用エアコンのメンテナンス義務は空調機の管理者とサービス提供者の双方に大きな負担を与えている.近年,この課題の解決策として,IoTデータを活用した遠隔点検技術が注目されている.従来の冷媒漏洩検出技術では,稼働データやシミュレーションデータを用いたAIモデルが使用されているが,新たな機種へ対応する際には大規模なデータ収集や特徴量再設計を必要としていた.本研究では,異なる機種間で統一的に適用可能な特徴量設計を提案し,新しいモデルへの迅速な適応を実現した.加えて,配管長の異なる構成への対応において,学習データや特徴量の追加による改善を行った.提案手法はシミュレーションおよび実運転データによる検証を通じて正常時と冷媒不足時における推定結果の差異を明らかとし,その有効性が実証された.
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田中 裕太郎, 浅岡 龍徳, 滝澤 陽子, 早川 菜保美, 山田 朋美, 杉浦 良賢, 唐澤 陸央
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-10
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/08/15
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凍結乾燥食品は熱的変性が少なく常温での長期保存を可能とし,また軽量でお湯をかけた際の復元性にも優れているため,スープやおかゆ,宇宙食など広く利用がされている.凍結時にサンプル表面に高濃縮層が形成されるメカニズムについて検討した.サンプルの凍結時の様子について観察した結果,サンプルが周囲から凍結することによってサンプル中央の溶液が濃縮され中央にはマッシー層が観察された.凍結中のサンプルから氷を抜き出して観察することで凍結途中のサンプルの氷は中央が窪んでいることがわかった.また,糖度測定によりサンプル溶液は時間経過とともに濃縮され,共晶点に至ることがわかった.詳細な表面糖度測定の結果,サンプル表面1mmには高濃縮層が形成されるがさらに表層の0.5mmには高濃縮層が形成されないことがわかった.実験結果を踏まえ凍結時にサンプル表面に高濃縮層が形成されるメカニズムを解明し凍結モデルを提案した.
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窪田 光宏, 武内 将貴, 山下 誠司, 北 英紀
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-15AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/08/01
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早期公開
200℃以下の低温排熱の有効利用を目指し,本研究ではMgSO4の水和物を用いた化学蓄熱システムに着目した.MgSO4の粒子凝集や低い水和速度といった実用上の課題を解決するため,本報ではメソ孔性多孔質材料との複合化に関する基礎検討を実施した.具体的には,MgSO4とメソポーラスシリカ,メソポーラスカーボン(MPC)から成る複合化学蓄熱材を調製し,細孔構造,水和速度,蓄熱密度の点から評価を行った.この結果,多孔質材料との複合化により,複合化学蓄熱材の水和反応がMgSO4単体に比べて迅速に進行すること,MPC/MgSO4では1800秒間の水和で単位重量あたり1130 kJ/kg-Hydrated sample,単位体積あたり807 kJ/L-Packed bedの蓄熱密度を達成できることなどを明らかした.
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Cheng YOU, Yingxin ZHOU, CHAIRUNNISA, Kyaw THU, Takahiko MIYAZAKI
原稿種別: original paper
論文ID: 25-17AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/08/01
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
In the widely researches of carbon capture utilization and storage technology to address climate issues caused by greenhouse gas emissions, improving the purity of captured CO2 is a crucial direction. This study proposes a system design that integrates a trans-critical CO2/ionic liquid(IL) absorption refrigeration system(TsCO2-ARS) with a conventional post-combustion amine-based absorption carbon capture system(ACCS). By introducing the CO2 product from the ACCS into the TsCO2-ARS, the aim is to remove water vapor from the CO2 product while minimizing the additional energy demand imposed on the system by the CO2 purification process by using heat exchangers. Measured operational data from a pilot-scale amine-based ACCS were used for the simulation calculations in this study. For TsCO2-ARS, based on vapor-liquid equilibrium experiment data of CO2/ILs and Peng-Robinson equation of state (PR-EoS), the circulation ratio, the cooling capacity and the coefficient of performance, COP of the TsCO2-ARS under optimal working conditions were calculated. For the ACCS-TsCO2-ARS hybrid system, the total thermal energy consumption and energy change in heat exchangers were calculated and compared. The results of this study provide valuable insights for the design and optimization of the CO2 purification technology.
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新井 健一, 佐藤 繁雄, 北上 誠一, 加藤 登, 國本 弥衣, 阿部 洋一
原稿種別: 研究レビュー
論文ID: 25-11R
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/07/15
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すり身タンパク質の加熱によるゲル形成は,先にシェフテルらが立てたその他のタンパク質のゲル形成の分子機構に関わる仮説理論によく適合している. すり身のタンパク質の加熱ゲル形成は,次のように進行することが既に知られている. (1)10℃以下の低温(スケトウダラの場合)において,2.5~3.0% NaClと混和すると筋繊維中の太いフィラメント(ミオシン,ポリマー)がミオシンモノマーに解離する. (2)低温下では,NaClの影響を受けて,タンパク質は部分的に解鎖(変形)し,ポリペプチド鎖上 の疎水性部分が露出する (3)変形したタンパク質のゲル化は加熱温度に依存している. 5~30℃(スケトウダラの場合)の低温下では,分子間の疎水性相互作用によりゆっくりと坐りゲルが形成される.坐りゲルをさらに高温(85~90℃)で加熱すると,より広範な疎水性相互作用,S-S結合,及びイソペプチド結合により,剛性が劇的に強くなる. また,直接高温で加熱すると,急激に解鎖しタンパク質は不規則に相互作用して凝固する.
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荒井 美幸, 劉 洪芝, 長野 克則
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-09AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/30
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
未利用熱エネルギーの有効利用技術として熱化学蓄熱があげられ,低温再生可能な熱化学蓄熱材の中でも炭酸カリウムは高い安全性やシステム安定性などから有望な候補として注目されているが,水和反応速度の遅さが課題となっている.本研究は炭酸カリウムを膨張黒鉛に担持させることで水和反応速度及び熱伝導率の向上を目指すものである.その結果,サイクル安定性を維持したまま,熱伝導率は1.39倍~1.52倍に上昇,脱水開始温度は7ºC以上低下した.また,水和反応速度が向上したことも確認された.さらに,膨張黒鉛の疎水性影響軽減を狙った塩化リチウム1%添加材料では水和反応速度のさらなる改善が見られ,その効果を確認することができた.加えて,脱水開始温度もおよそ6ºC低下し,低温再生性においても有望な熱化学蓄熱材であることが示唆された.
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江崎 丈裕, タンバリア セオドア ノエリー , 菅井 裕一
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-14AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/30
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早期公開
本研究は,HFC-134aとイオン液体である[Bmim][Tf2N]を冷媒と吸収液に用いた機械圧縮・吸収式ハイブリッド冷凍サイクルを提案する.冷媒と吸収液の平衡吸収量,熱物性値を用いた静的解析により,本サイクルの冷凍能力と成績係数(COP)特性について評価した.本サイクルは吸収式のみでは得られない冷凍熱を358.15 K以下の駆動温度で生成可能である.圧縮機による吐出圧や駆動温度条件により,平衡吸収量差と投入エネルギー基準のCOPsystemが大きく変化し,ハイブリッドサイクルは吸収式の値より十分に高い.本サイクルの投入電力基準COPelctricityは吸収液の循環ポンプ効率に影響する.循環ポンプ効率が0.1以上の条件では,本サイクルの投入電力基準COPelctricityは機械圧縮式サイクルのみより高い値が得られることが分かった.
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梶本 こはる, 中曽 浩一, 三野 泰志, 後藤 邦彰, 埜上 洋
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-16AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/30
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早期公開
シンプルで可搬型の空気冷却を目指し,本研究では,尿素の水への溶解時に生成する冷熱と,水溶液 中の水を蒸発させる際に吸収される蒸発潜熱の双方を利用する方式を検討した.基礎実験では,水お よび尿素水溶液へ空気を吹き込んだ.その際,容器内に充填物を設置し,気液接触の促進を図った.そ の結果,液温を効果的に冷却できた.空気吹込み過程を数値的に検討するために熱・物質収支式による 解析モデルを作成した.その際,尿素の添加による蒸気圧降下を考慮した.解析モデルと実測した液温 は妥当に一致した.解析モデルを基にシステム予測を行った結果,低湿度条件では蒸発潜熱による冷 却へ及ぼす尿素濃度の影響は少なく,尿素溶解を積極的に利用して空気冷却できることがわかった.
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装置の遅れ時間を改善するフィードフォワード制御の開発
ジャンネッティ ニコロ, ソラフディン , 水野 亜杜, 宮岡 洋一, 清 雄一, 榎木 光治, 齋藤 潔
原稿種別: original paper
論文ID: 24-41
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
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早期公開
エミュレーター式負荷試験法は,試験装置における熱容量などの違いを補償するために,装置内の温湿度状態をエミュレーターによって仮想的に与えることで機器の動的性能を試験装置の違いによらず高精度に再現性ある形で評価しようとするものである. 一連する本研究では,これまでにエミュレーター式負荷試験法を提案するとともに,ラウンドロビン試験により,ある程度の精度で性能が得られることを明らかにしてきた.しかし,これまでの研究では,動的試験の再現性を向上させる具体的な方策については未解決の課題となっていた. そこで,エミュレーターからの室内温湿度の制御目標値と試験装置においてこの制御目標値に基づいて条件発生器で実際に生成される室内空気の温湿度の遅延特性を線形モデルで表現し,これに基づく新たなフィードフォワード補償技術を提案する. 提案された手法により,さまざまな試験条件において,室内温湿度はルームエミュレーターからの制御目標値に対し60秒以内の追従性を実現し,異なる試験装置であっても動的試験における空調機の性能の偏差を2%以内に抑えることが可能であることを確認した.
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甲斐田 武延, 森 昌司
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-03
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
ジャーナル
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早期公開
本研究では,産業用ヒートポンプの導入検討時での利用を想定して,多種多様な産業用ヒートポンプの成績係数(COP)を再現できる簡易的な相関式を構築した.具体的には,日本で入手可能な産業用ヒートポンプ製品の性能データを収集・分析し,第2法則効率であるローレンツ効率と対数平均温度リフトの相関に基づく式を作成した.相関式は2種類に大別され,1つは単段圧縮サイクルを有する標準的なヒートポンプのCOPを±10%以内の精度で再現できる.もう1つの相関式は,二段圧縮サイクルや二元サイクルを含む既存技術で達成可能な性能レベルを表す.いずれの相関式も,熱源と熱供給先の媒体の種類,およびそれらの出入口温度のみを用いてCOPを簡易的に算出できる.
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第2報:再生条件が内部温湿度の変化に与える影響
内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士, 鍋島 佑基
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-05AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
本研究では,連続して回転するデシカントローター内部の温湿度可視化のため,IoT用無線式小型温湿度計を用いた温湿度測定技術の構築を行ってきた.小型センサーによる同時5点の温湿度計測システムを構築し,厚み200 mmのデシカントローターを2種類用意し通風試験を実施した.ローター内部の絶対湿度分布を可視化した結果,10 rphにおいてローター無次元回転方向0.1-0.2(35°-70°)の領域で除湿量が最大となった.また厚さ方向について,ローターAは100 mmの地点で75 %,ローターBは56 %除湿が完了していた.100 mm以降はローターAでは除湿量の低下がみられたが,ローターBでは厚さ200 mmまで除湿/再生が行われる傾向を確認した.
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第3報:潜熱負荷がローター内部の除湿挙動に及ぼす影響
鍋島 佑基, 内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-06AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
本研究ではデシカントローターの内部環境可視化のため,無線式小型計測システムによるローター内温湿度の計測技術構築を行ってきた.本報では異なる吸着等温線の特性を持つローターを対象に内部の温湿度変化を可視化し,異なる潜熱負荷条件において,厚さ200 mmのローター内部温湿度を比較した.その結果,14 g/kgDAの条件では吸着材の種類によらずローター全域で除湿が行われていた.5 g/kgDAの条件では,60 %程度で最大吸着量に達するローターC内部の厚さ50 mmまで除湿が行われたが,90 %程度で最大吸着量に達するローターAとBは内部で緩やかに除湿が進んでおり,それぞれの吸着等温線の特徴を反映した除湿が確認できた.
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Dio Afinanda MAKARIM, Akira SUAMI, Agung Tri WIJAYANTA, Nobusuke KOBAY ...
原稿種別: Original paper
論文ID: 25-07AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
A higher concentration of LiBr is effective in achieving an even higher performance in LiBr/water absorption heat pump (AHP), but crystal growth occurs and causes blocking fluid stream once the concentration reaches its saturation point. It was pointed that a fine particle slurry of LiBr crystal is formed under a super saturation condition when zeolite powder is suspended into the solution. Then the slurry possesses a potential to improve remarkably the output of heat. This paper proposes a concept of the self-condensation effect contributing to not only significantly higher temperature generation beyond the equilibrium for working in a heating-up mode of AHP but also enlargement of the heat capacity as a heat storage material. The adiabatic maximum temperature in the absorber was estimated based on thermodynamic equilibrium, energy and mass conservation, and the thermodynamic properties for different crystal concentrations in the slurry and evaporator temperatures assuming the case of a batch process in two columns consisting of absorber and evaporator. The slurry with higher crystal concentration than 0.3 kg-crystal/kg-slurry and 0.1 kg-crystal/kg-slurry has the potential to generate a maximum temperature of more than 150 °C under given evaporator temperature of 60 °C and 80 °C, respectively. In addition, the slurry can generate temperatures up to 80 °C with its heat storage capacity peaks at 1300 kJ/kg-slurry while the homogeneous solution heats up only to a low level of temperature at 65 °C with the heat storage capacity of 900 kJ/kg-solution, assuming that the initial temperatures of the solution and the evaporator are fixed at 25 °C and heat over 40 °C is utilized.
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千原 捺暉, 大村 奏斗, 小林 敬幸
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-08AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/06/15
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
塩化カルシウムを蓄熱材として使用し蓄熱材充填層内の水蒸気拡散速度を促進させ,蓄熱材との熱交換を促進させるためにオフセットフィン型蓄熱モジュールを考案した.本研究ではオフセットフィン型モジュールを用いた200回の繰り返し試験の結果から蓄熱モジュールの性能とこれに及ぼす影響決定因子を探索した.また,性能決定因子と性能評価を機械学習を用いて高速化することも検討した.機械学習を用いた評価は物理モデルを用いたものを良好に再現していた.200回の繰り返し試験の結果と機械学習を用いた高速評価により,蓄熱材の膨張が蓄熱モジュールの性能に大きな影響を与えていることが分かった.
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廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-43
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/05/31
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
液膜流は,満液式熱交換器と比べ内部の冷媒保有量を削減できる手法のひとつとして熱交換器への適用が進められている.本研究では,液膜流において伝熱性能を決定する重要なファクターである液膜厚さをアクティブに制御する手法として,界面せん断力を受ける液膜流に着目した.界面せん断力を受ける液膜流の蒸発熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率の評価が行える実験装置を用いて,液体流量が界面せん断力を受ける液膜流の伝熱特性へ及ぼす影響を明らかにすることを試みた.
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吹場 活佳, 井戸 智裕
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-01
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/05/31
ジャーナル
オープンアクセス
早期公開
シリコーンオイルと空気との直接熱交換により無着霜での熱交換が可能な熱交換器を試作した. 初めに水平に流れる空気流に対しシリコーンオイルが上から下へと流れる直交型の熱交換器を製作した.しかし空気流によりシリコーンオイルが下流に飛散するため,ピアノ線を配置してこれにシリコーンオイルを添わせるようにしたところ,ピアノ線に氷が付着してしまった.ピアノ線に撥水性のコーティングを施したところ,氷の成長を押さえることができたが,オイルの出口部分での氷の成長を抑えることができず,時間の経過とともに出口が閉塞した.これらの問題を解決するため,空気流とシリコーンオイルの流れの向きをともに上から下へ流れるように変更した.これによりピアノ線なしで空気とオイルとの直接熱交換が可能になった.この形式の熱交換器では1時間無着霜で熱交換を行うことができた.その間,圧力損失の増大は見られなかった.
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斉藤 玲, 鈴木 良典, 中野 亮一
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-40
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/05/30
ジャーナル
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早期公開
地球温暖化及び気候変動への対応として様々な冷媒が提案され検討が進められている.近年はフッ素を含有する冷媒だけでなく, プロパン(R 290)のような冷媒も各国で冷媒量の少ない機種を中心に採用され始めている.R 290は高い燃焼性と, 鉱物油やポリオールエステル(POE)など従来の冷凍機油への高すぎる溶解性を持つことから, 安全性確保や性能向上のため敢えて冷媒が溶けにくい冷凍機油を採用する場合もある.一般に冷媒に溶けにくい冷凍機油は圧縮機への油戻りが良くないとされるが, 今回はHFC/HFO冷媒なども含め, 冷凍機油の冷媒溶解性とその影響, 特に溶解性の低い冷凍機油でも油戻りに問題が無い可能性も含め報告する.
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秋澤 淳, 霜山 太一, 河野 雅弘, 本田 拓也
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-42AD
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/04/15
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早期公開
二重効用吸着冷凍サイクルは高温で動作するサイクル(HTC)と低温で動作するサイクル(LTC)を組み合わせ,HTCの吸着熱を回収してLTCの吸着材の脱着に利用することにより,外部からの熱投入を減らし成績係数(COP)を向上させるサイクルである.本研究ではHTCにFAM-Z02を,LTCにシリカゲルを使用した実験装置を用い,HTCとLTCの間で水を循環させることによって吸着熱を回収する二重効用サイクルが動作することの実証を目的とした.熱源温度90℃,冷却水温度20℃,冷水入口温度15℃で実験した結果,HTC,LTCともに冷凍出力が得られたことから,回収した吸着熱でLTCが脱着できたこと,LTC加熱後の約50℃の循環水でHTCの吸着過程が動作したことが確認された.また,外部からの投入熱量がHTCのみとなるためCOPが単効用相当の約2倍に向上することが示唆された.さらに,HTCおよびLTCに使用する吸着材の充填量をそれぞれ3通り,合計9通りの組み合わせについて実験的に感度分析を行い,充填量が冷凍出力やCOPに及ぼす影響を調べた.
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小川 康太, 森﨑 弘大郎, 三好 航平, 森 啓太, 近藤 智恵子
原稿種別: 原著論文
論文ID: 25-02
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/04/15
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早期公開
HFO-1123/R744(CO2)の固液平衡特性を実験的に明らかにするとともに40 kWクラスの冷凍機を想定したカスケードサイクル性能を計算した.冷却曲線法を用いた凝固開始温度の測定結果は,Schröder-van Laar式の推算値より特定の組成で1 Kほど高い値を示したものの,測定値は不確かさ以内で一致した.高段サイクルにR32,低段サイクルにHFO-1123/R744を採用し,中間熱交換器内ピンチ温度差3 K,使用温度-40 ℃,-50 ℃,および-60 ℃の条件のもと計算を行った.計算結果は,使用温度-40 ℃では,COPはHFO-1123単体を除いてR23を下回りHFO-1123モル分率0.47の時,最小値をとり0.2低い.一方,体積能力はモル分率0.19以下でR23を上回り,最大で1.2倍となる.使用温度-50 ℃および-60 ℃では,COP,体積能力ともにR23を下回る.
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Dan QIAO, Zihao CHEN, Mario SHIBATA, Tomoaki HAGIWARA
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-22
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/03/15
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The effect of adding sodium caseinate on ice recrystallization in 40 wt% sucrose solution at -10°C was investigated. A minor effect on the ice recrystallization rate constant was observed up to 2 wt% sodium caseinate. However, at higher concentrations, a decrease in the recrystallization rate was noted, indicating a suppressive effect on ice recrystallization. Differential scanning calorimetry revealed a linear decrease in the amount of freezable water with an increase in sodium caseinate concentration. Dielectric relaxation measurements at 25°C indicated an increase in the amount of free water with higher sodium caseinate concentrations, while the relaxation time of the water coupled with solutes tended to increase. It was suggested that the effect of adding sodium caseinate on ice crystal recrystallization was due to the combined result of the reduction in the amount of freezable water, the increase in free water content, and the decrease in water mobility.
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Jinchen TANG, Takao OKABE, Katsuhiko NISHIMURA, Naoki SHIKAZONO
原稿種別: Original paper
論文ID: 24-39
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/03/01
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This research investigates frost growth characteristics on silver iodide (AgI) and platinum (Pt) stripe patterned surfaces, fabricated using UV-lithography, under desublimation and condensation frosting conditions. Different frost growth behaviors were observed between AgI and Pt patterns, i.e. horizontal frost with dendrite-shaped ice crystals grew on the AgI stripes, and a combined frost growth of dendritic horizontal growth at the stripe edges and random growth at the top were observed for the Pt stripes. This study provides new insights into the influences of ice nucleation agents such as AgI for controlling the frost height and density.
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-第2報:ニンジン及びキャベツの細胞観察-
冨川 翔史, 小山 晃右, 徳竹 美友, 中山 明
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-23
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/02/15
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本研究では,一般的な直膨式冷蔵庫と低温高湿度環境の維持が可能なブライン式冷蔵庫に野菜を数か月間貯蔵し,細胞観察を行うことで,長期保管中の温湿度環境が野菜の細胞構造に与える影響を検証した.その結果,ブライン式冷蔵庫に貯蔵したキャベツにおいては,表層葉の黄化が軽減された.黄化葉は健全葉と比べて気孔の構造崩壊が顕著であった.ニンジンにおいては,木部,篩部ともに細胞構造の崩壊が軽微だった.以上の結果から,ブライン式冷蔵庫の方が,細胞構造への影響が小さく,鮮度良く貯蔵できることがわかった.
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Tran Xuan Duc, Atiqur R. Tuhin, Monjur Morshed, Ryuga Hirata, Akio Miy ...
原稿種別: original paper
論文ID: 24-38
発行日: 2025年
[早期公開] 公開日: 2025/02/15
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This article investigates the experimental viscosity data and modeling of two binary refrigerant mixtures, R454B and R454C, recognized as low global warming potential (GWP) alternatives to conventional high-GWP refrigerants. Viscosity was measured for both refrigerants in liquid and vapor phases using a tandem capillary tube method. For R454B, the viscosity measurements spanned temperatures from (233 to 313) K in the liquid phase and (323 to 373) K in the vapor phase, under pressures up to 4.07 MPa. For R454C, measurements were taken from (233 to 343) K in the liquid phase and from (343 to 393) K in the vapor phase, with pressures reaching 4.01 MPa. The research used two sets of experiments focusing on low (233 to 293) K and high (303 to 393) K temperature ranges, adhering to the same measurement principles. The expanded uncertainties for viscosity in liquid and vapor phases were kept below 2.2% and 2.4%, respectively. Furthermore, prediction of viscosity of the two mixtures has been carried out using Extended Corresponding States (ECS) that comes with REFPROP version 10.0. It was observed that for vapor phase viscosity predicted by REFPROP is higher than the experimental value, especially for R454C.
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試作分配器と現行分配器の性能比較
内田 麻理, 米田 広, 佐々木 重幸, 豊田 浩之, 関谷 禎夫
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-18
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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空調機用熱交換器の適切な冷媒分配を目的として,気液分離した冷媒をスリット管を用いて分配する新構造の冷媒分配器を試作した.可視化モデルによる流動状態の観察と,分配特性として液相分岐割合のばらつきを評価した結果以下のことが分かった.試作分配器の気液分離空間内に形成された冷媒液面高さは,乾き度の上昇に伴い低下する.現行の衝突式の4 分岐分配器とスリット式分配器の分配特性を比較すると,傾斜が無い条件,及び高流量条件Gr=20 kg/h では現行分配器が優れているが,傾斜がある 条件での分配特性は,低流量条件Gr=10 kg/h で,スリット式分配器が優位である.
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苗 宇峰, 小川 康太, 福田 翔, 近藤 智恵子, 赤坂 亮
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-25LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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地球温暖化係数が極めて低いHFO-1123 を含む二成分混合冷媒HFO-1123/R32,HFO-1123/R290,およびHFO-1123/R152a の2 kW クラスのヒートポンプサイクル性能を計算し,COP,体積能力,ならびに不可逆損失を評価した.計算では,空気熱源を想定して直交流式熱交換器出口のピンチ温度を固定し,必要伝熱面積を変化させて比較を行ったところ,HFO-1123 質量分率0.6 において,HFO-1123/R32 の冷房COP は 6.1 と最も高く,HFO-1123/R290 およびHFO-1123/R152a のCOP はこれよりも1.1 および1.4 低い値となった.温度勾配の大きさが熱交換器内の不可逆損失を増加させ,COP に大きな影響を及ぼした.そこで,対向流式熱交換器モデルで計算をしたところ,HFO-1123/R290 のCOP は直交流式の場合よりも 1.2 高くなり,HFO-1123/R32 と同等の値となった.
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近藤 智恵子, 今井 友暁
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-26LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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地球温暖化係数の低い冷媒への転換が求められており,種々の物性が精力的に調査されている.地球温暖化係数の測定も進んではいるものの,今後新しい候補物質を検討するにあたり簡易予測方法が役立つと考えられる.従来冷媒R23,R32,エチレン派生物質R1123,R1132a,R1132(E),R1132(Z)を取り上げ,量子化学計算を用いた予測を試みた.放射効率は,測定値よりも10%から60%高い値を得た.M06- 2X/aug-cc-pVTZ で得られた活性障壁と,温度272 K における反応速度定数の相関を類似の物質を含めて確認し,作成した簡易相関式を利用して大気寿命の計算を試みたところ,R23 の大気寿命の計算値は文献値の1.51 倍であったものの,10 年程度の大気寿命であれば1 年以内で一致し,大気寿命が0.1 年より短い場合も,0.76 倍から1.35 倍以内で一致した.以上から算出したGWP は,IPCC の報告値と概ね± 50%以内で一致した.ただし,R1132(E)のGWP は文献値の2.24 倍高い値であった.
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西尾 淳, 黒瀬 良一
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-27LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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環境負荷が低い冷媒への転換が進む空調機では,温度勾配を有する冷媒の使いこなしが課題である.温度勾配を有する冷媒は,液相と気相の組成が異なるため,配管分岐部における気液分配の偏りが,制御性に及ぼす影響が大きい.本研究では,水平配管から鉛直上方向へ分岐する形状を対象として,Large eddy simulation(LES)による気液二相流解析を行い,流出管の長さが気液分配特性に及ぼす影響を明らかにした.また,LES で求めた出口乾き度を流出管長さに基づく1 次元モデルで表現することで,空調機全体の解析に適用可能な簡便な分配予測式を開発した.
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-冷凍冷凍機油PVE 存在下でのR 474A の組成変化挙動-
井上 智仁, 後藤 智行, 山田 康夫
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-28LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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空調機内での非共沸である混合冷媒の組成変化の推算を目的とし,混合冷媒の冷凍機油への冷媒溶解量を定量化する検討を行った.空調機内を模倣・簡略化した耐圧容器を作成し,空調機内での現象を模倣するため、温度や圧力等の評価条件を最適化した.R 1132(E)[トランス-1,2-ジフルオロエチレン],R 1234yf の2成分非共沸混合冷媒において,R 1234yf が優先的に冷凍機油へ溶解し,温度低下,圧力上昇に伴って混合冷媒組成のR 1132(E)比率が封入組成に対して相対的に大きくなる傾向があることが明らかになった.
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滝澤 賢二, 五十嵐 直治, 久保田 栄 , 中西 裕子, 徳橋 和明, 近藤 重雄
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-29LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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低GWP 混合冷媒及びその構成成分としての重要性から,CO2/プロパン(R290)混合系を対象に不燃化するまでの全混合組成について燃焼特性を明らかにすることを目的とした.まず実験として,燃焼限界については,高圧ガス保安法が新たに採用した評価法による評価を行い,ASHRAE の方法と比較した.燃焼速度については,不燃組成のごく近傍については微小重力実験も実施し数値化した.実用上の安全性評価に資するため,最大燃焼速度10 cms-1 の微燃性(2L)等級境界近傍について消炎距離の評価を行った.次に,これらの特性値をCO2 混合比率の関数として数式化することにより,不燃までの任意の混合組成について総合的な燃焼特性値を推算し燃焼性等級を決定することを可能にした.
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-R 1132(E)の自己分解反応と圧縮機内のエネルギー源調査-
臼井 隆, 後藤 智行, 山田 康夫, 吉村 崇, 尾崎 太一, 井上 智仁, 根岸 泰隆
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-30LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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GWP が1 以下の環境負荷が極めて小さく,効率性に優れたHFO 冷媒のR 1132(E)は,外部エネルギー源により自己分解反応を起こすことが知られている.本研究では,R 1132(E)混合冷媒を利用するにあたって,自己分解反応の発生条件を明らかにするとともに,そのきっかけとなる圧縮機の放電エネルギーの定量を行った.R 1132(E)とR 1234yf の二元系冷媒の評価から,R 1132(E)濃度が低下するにつれて自己分解反応は生じにくくなること,過大な放電エネルギーに対してもR 1132(E)が35mass%以下であれば安定であることがわかった.また圧縮機の放電エネルギーの定量から,2.2kW 機ではエネルギーは1J に満たないことがわかり,冷媒として安定的に利用できるR 1132(E)混合組成条件を明らかにした.
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西橋 奏子, 狩野 祐也 , 粥川 洋平, 倉本 直樹
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-31LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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地球温暖化係数(GWP)が小さい次世代冷媒への転換が世界的に進められている中で,低GWP 冷媒の実用化のために必須となる基礎的な物性値評価が求められている.本研究では,冷媒の液相域における音速データの取得を目的として,超音波パルス伝搬式の音速センサを用いた液相域音速測定装置の開発を行った.純水およびR1336mzz(Z)(cis-1,1,1,4,4,4-hexafluoro-2-butene)を音速の参照物質としてセンサの校正を行い,R1234yf(2,3,3,3-tetrafluoropropene)を測定して装置の健全性確認試験を実施した結果,既存の報告値と不確かさ以内で一致することを確認した.また,液相域の音速測定に関する不確かさ評価を行ったところ,相対標準不確かさは0.084 %と見積もられた.開発した液相域音速測定装置を用いて,まだ測定値が報告されていない低GWP 冷媒として,R1336mzz(E) (trans-1,1,1,4,4,4-hexafluoro2-butene)およびR13I1(trifluoroiodomethane)の液相域における音速測定を実施した.R1336mzz(E) については283 K から343 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,またR13I1 については273 K から333 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,それぞれ液相域の音速データを取得した.得られた音速データと既存の状態方程式からの音速計算値を比較した結果,R1336zz(E) については最大9 %程度,R13I1 については最大2.4 %程度,本測定データの方が小さくなることが分かった.
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有賀 弘晟, RAKPAKDEE Wannarat, 福田 充宏, 本澤 政明
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-33LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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地球温暖化抑制を目的とした冷媒の規制に対し,近年では低GWPの非共沸混合冷媒が次世代冷媒の有力な候補とされている.圧縮機で用いられる冷凍機油は,サイクルに流出した際に圧縮機へ戻り易くするために冷媒との相溶性を持つものが選択されるが,冷媒が冷凍機油へ溶解することで物性変化が生じ,冷媒圧縮機の性能に影響を与えることが知られている.したがって次世代冷媒への早期転換を実現するためには,冷凍機油に対する溶解挙動を明らかにする必要があるが,非共沸混合冷媒では,冷凍機油に対する冷媒の溶解組成が冷媒の組成と異なる可能性がある.そこで本研究では,非共沸混合冷媒の冷凍機油に対する溶解挙動の解明を目的とし,冷凍機油に溶解した冷媒の分離プロセスの検討,飽和溶解状態における冷媒溶解組成の測定,溶解初期と飽和溶解状態における溶解組成の比較を行った.非共沸混合冷媒にはR32とR1234yfの混合冷媒であるR454C,冷凍機油にはPOE油を使用した.その結果,冷凍機油に対して冷媒は,ほぼ充填時の冷媒組成で溶解していることが分かった.一方で,液温80℃における露点圧力以下の圧力範囲の溶解組成測定では,充填時の冷媒組成に対してR1234yfが4%程多く溶解していた.また液温80℃での冷媒溶解度約67%~82%の範囲では,冷媒の混合率の異なる相が分離している様子が確認できた.
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江口 順紹, チョウ トゥ, 宮崎 隆彦
原稿種別: 原著論文
論文ID: 24-34LG
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/12/01
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本研究では,代表的な機械学習モデルを利用してヒートポンプシステムの成績係数を予測する手法に関して,特徴量の選択が予測結果に及ぼす影響を分析した.データセットには,冷媒R32によるヒートポンプサイクルの暖房運転試験データを利用した.試験の制御変数および運転状態の測定データから,各種の特徴量グループを作成して,特徴量と機械学習モデルとの関係について調べた.その結果,制御変数のみで機械学習モデルを作成する場合にはステップワイズ線形回帰が最も予測精度が高く,測定データを加えた特徴量に対しては線形回帰とガウス過程回帰が良い選択肢であることがわかった.また,ガウス過程回帰やサポートベクター回帰等,カーネル関数ベースの機械学習手法は説明変数の数が少ない場合や成績係数を定義する変数が説明変数に含まれない場合でも予測精度の高いモデルを構築できる可能性があることが明らかとなった.さらに,目的変数である成績係数との相関係数の高い変数を利用すれば,少ない特徴量で高い精度の予測が可能であることが示された.
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Shafi AHMED, Xi YANG, Shingo MATSUKAWA
原稿種別: Original paper
論文ID: 24-21
発行日: 2024年
[早期公開] 公開日: 2024/10/31
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Polysaccharides are widely used to preserve the texture of frozen desserts like ice cream by inhibiting ice recrystallization. Despite recent significant advances in research, a clear comprehension of the ice recrystallization inhibition mechanism of polysaccharides remains elusive. Some previous studies hypothesized that the ice recrystallization inhibition originates from the interaction between polysaccharides and ice crystal surface and tried to correlate it with the ice crystal shape. In this work, we have developed a novel method for analyzing the shape change of ice crystals during storage by curvature calculation. This method depicts the ice crystal shapes as the distribution of curvatures well expressing the changes of the ice crystal shapes. The newly developed method has been applied to evaluate the shape changes of ice crystals during the storage of sucrose solutions with and without kappa-carrageenan. The changes in curvature distributions revealed that ice crystals were rectangular with flat edges in the pure sucrose solution and were comparatively round in the sucrose/kappa-carrageenan solutions at longer storage time, which was not characterized in the roundness changes, showing the potentiality of using the curvature distribution to evaluate the shape change of ice crystals appropriately during storage.
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赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
原稿種別: 原著論文
論文ID: 22-15_OA
発行日: 2022年
[早期公開] 公開日: 2022/10/15
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ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.
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