日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
早期公開論文
早期公開論文の44件中1~44を表示しています
  • 装置の遅れ時間を改善するフィードフォワード制御の開発
    ジャンネッティ ニコロ, ソラフディン , 水野 亜杜, 宮岡 洋一, 清 雄一, 榎木 光治, 齋藤 潔
    原稿種別: original paper
    論文ID: 24-41
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    エミュレーター式負荷試験法は,試験装置における熱容量などの違いを補償するために,装置内の温湿度状態をエミュレーターによって仮想的に与えることで機器の動的性能を試験装置の違いによらず高精度に再現性ある形で評価しようとするものである. 一連する本研究では,これまでにエミュレーター式負荷試験法を提案するとともに,ラウンドロビン試験により,ある程度の精度で性能が得られることを明らかにしてきた.しかし,これまでの研究では,動的試験の再現性を向上させる具体的な方策については未解決の課題となっていた. そこで,エミュレーターからの室内温湿度の制御目標値と試験装置においてこの制御目標値に基づいて条件発生器で実際に生成される室内空気の温湿度の遅延特性を線形モデルで表現し,これに基づく新たなフィードフォワード補償技術を提案する. 提案された手法により,さまざまな試験条件において,室内温湿度はルームエミュレーターからの制御目標値に対し60秒以内の追従性を実現し,異なる試験装置であっても動的試験における空調機の性能の偏差を2%以内に抑えることが可能であることを確認した.

  • 甲斐田 武延, 森 昌司
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-03
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     本研究では,産業用ヒートポンプの導入検討時での利用を想定して,多種多様な産業用ヒートポンプの成績係数(COP)を再現できる簡易的な相関式を構築した.具体的には,日本で入手可能な産業用ヒートポンプ製品の性能データを収集・分析し,第2法則効率であるローレンツ効率と対数平均温度リフトの相関に基づく式を作成した.相関式は2種類に大別され,1つは単段圧縮サイクルを有する標準的なヒートポンプのCOPを±10%以内の精度で再現できる.もう1つの相関式は,二段圧縮サイクルや二元サイクルを含む既存技術で達成可能な性能レベルを表す.いずれの相関式も,熱源と熱供給先の媒体の種類,およびそれらの出入口温度のみを用いてCOPを簡易的に算出できる.

  • 第2報:再生条件が内部温湿度の変化に与える影響
    内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士, 鍋島 佑基
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-05AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,連続して回転するデシカントローター内部の温湿度可視化のため,IoT用無線式小型温湿度計を用いた温湿度測定技術の構築を行ってきた.小型センサーによる同時5点の温湿度計測システムを構築し,厚み200 mmのデシカントローターを2種類用意し通風試験を実施した.ローター内部の絶対湿度分布を可視化した結果,10 rphにおいてローター無次元回転方向0.1-0.2(35°-70°)の領域で除湿量が最大となった.また厚さ方向について,ローターAは100 mmの地点で75 %,ローターBは56 %除湿が完了していた.100 mm以降はローターAでは除湿量の低下がみられたが,ローターBでは厚さ200 mmまで除湿/再生が行われる傾向を確認した.

  • 第3報:潜熱負荷がローター内部の除湿挙動に及ぼす影響
    鍋島 佑基, 内藤 魁人, 山本 祐菜, 木村 竜士
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-06AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究ではデシカントローターの内部環境可視化のため,無線式小型計測システムによるローター内温湿度の計測技術構築を行ってきた.本報では異なる吸着等温線の特性を持つローターを対象に内部の温湿度変化を可視化し,異なる潜熱負荷条件において,厚さ200 mmのローター内部温湿度を比較した.その結果,14 g/kgDAの条件では吸着材の種類によらずローター全域で除湿が行われていた.5 g/kgDAの条件では,60 %程度で最大吸着量に達するローターC内部の厚さ50 mmまで除湿が行われたが,90 %程度で最大吸着量に達するローターAとBは内部で緩やかに除湿が進んでおり,それぞれの吸着等温線の特徴を反映した除湿が確認できた.

  • Dio Afinanda MAKARIM, Akira SUAMI, Agung Tri WIJAYANTA, Nobusuke KOBAY ...
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 25-07AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    A higher concentration of LiBr is effective in achieving an even higher performance in LiBr/water absorption heat pump (AHP), but crystal growth occurs and causes blocking fluid stream once the concentration reaches its saturation point. It was pointed that a fine particle slurry of LiBr crystal is formed under a super saturation condition when zeolite powder is suspended into the solution. Then the slurry possesses a potential to improve remarkably the output of heat. This paper proposes a concept of the self-condensation effect contributing to not only significantly higher temperature generation beyond the equilibrium for working in a heating-up mode of AHP but also enlargement of the heat capacity as a heat storage material. The adiabatic maximum temperature in the absorber was estimated based on thermodynamic equilibrium, energy and mass conservation, and the thermodynamic properties for different crystal concentrations in the slurry and evaporator temperatures assuming the case of a batch process in two columns consisting of absorber and evaporator. The slurry with higher crystal concentration than 0.3 kg-crystal/kg-slurry and 0.1 kg-crystal/kg-slurry has the potential to generate a maximum temperature of more than 150 °C under given evaporator temperature of 60 °C and 80 °C, respectively. In addition, the slurry can generate temperatures up to 80 °C with its heat storage capacity peaks at 1300 kJ/kg-slurry while the homogeneous solution heats up only to a low level of temperature at 65 °C with the heat storage capacity of 900 kJ/kg-solution, assuming that the initial temperatures of the solution and the evaporator are fixed at 25 °C and heat over 40 °C is utilized.

  • 千原 捺暉, 大村 奏斗, 小林 敬幸
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-08AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     塩化カルシウムを蓄熱材として使用し蓄熱材充填層内の水蒸気拡散速度を促進させ,蓄熱材との熱交換を促進させるためにオフセットフィン型蓄熱モジュールを考案した.本研究ではオフセットフィン型モジュールを用いた200回の繰り返し試験の結果から蓄熱モジュールの性能とこれに及ぼす影響決定因子を探索した.また,性能決定因子と性能評価を機械学習を用いて高速化することも検討した.機械学習を用いた評価は物理モデルを用いたものを良好に再現していた.200回の繰り返し試験の結果と機械学習を用いた高速評価により,蓄熱材の膨張が蓄熱モジュールの性能に大きな影響を与えていることが分かった.

  • 廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-43
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    液膜流は,満液式熱交換器と比べ内部の冷媒保有量を削減できる手法のひとつとして熱交換器への適用が進められている.本研究では,液膜流において伝熱性能を決定する重要なファクターである液膜厚さをアクティブに制御する手法として,界面せん断力を受ける液膜流に着目した.界面せん断力を受ける液膜流の蒸発熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率の評価が行える実験装置を用いて,液体流量が界面せん断力を受ける液膜流の伝熱特性へ及ぼす影響を明らかにすることを試みた.

  • 吹場 活佳, 井戸 智裕
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-01
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    シリコーンオイルと空気との直接熱交換により無着霜での熱交換が可能な熱交換器を試作した. 初めに水平に流れる空気流に対しシリコーンオイルが上から下へと流れる直交型の熱交換器を製作した.しかし空気流によりシリコーンオイルが下流に飛散するため,ピアノ線を配置してこれにシリコーンオイルを添わせるようにしたところ,ピアノ線に氷が付着してしまった.ピアノ線に撥水性のコーティングを施したところ,氷の成長を押さえることができたが,オイルの出口部分での氷の成長を抑えることができず,時間の経過とともに出口が閉塞した.これらの問題を解決するため,空気流とシリコーンオイルの流れの向きをともに上から下へ流れるように変更した.これによりピアノ線なしで空気とオイルとの直接熱交換が可能になった.この形式の熱交換器では1時間無着霜で熱交換を行うことができた.その間,圧力損失の増大は見られなかった.

  • 斉藤 玲, 鈴木 良典, 中野 亮一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-40
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/05/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化及び気候変動への対応として様々な冷媒が提案され検討が進められている.近年はフッ素を含有する冷媒だけでなく, プロパン(R 290)のような冷媒も各国で冷媒量の少ない機種を中心に採用され始めている.R 290は高い燃焼性と, 鉱物油やポリオールエステル(POE)など従来の冷凍機油への高すぎる溶解性を持つことから, 安全性確保や性能向上のため敢えて冷媒が溶けにくい冷凍機油を採用する場合もある.一般に冷媒に溶けにくい冷凍機油は圧縮機への油戻りが良くないとされるが, 今回はHFC/HFO冷媒なども含め, 冷凍機油の冷媒溶解性とその影響, 特に溶解性の低い冷凍機油でも油戻りに問題が無い可能性も含め報告する.

  • 秋澤 淳, 霜山 太一, 河野 雅弘, 本田 拓也
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-42AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    二重効用吸着冷凍サイクルは高温で動作するサイクル(HTC)と低温で動作するサイクル(LTC)を組み合わせ,HTCの吸着熱を回収してLTCの吸着材の脱着に利用することにより,外部からの熱投入を減らし成績係数(COP)を向上させるサイクルである.本研究ではHTCにFAM-Z02を,LTCにシリカゲルを使用した実験装置を用い,HTCとLTCの間で水を循環させることによって吸着熱を回収する二重効用サイクルが動作することの実証を目的とした.熱源温度90℃,冷却水温度20℃,冷水入口温度15℃で実験した結果,HTC,LTCともに冷凍出力が得られたことから,回収した吸着熱でLTCが脱着できたこと,LTC加熱後の約50℃の循環水でHTCの吸着過程が動作したことが確認された.また,外部からの投入熱量がHTCのみとなるためCOPが単効用相当の約2倍に向上することが示唆された.さらに,HTCおよびLTCに使用する吸着材の充填量をそれぞれ3通り,合計9通りの組み合わせについて実験的に感度分析を行い,充填量が冷凍出力やCOPに及ぼす影響を調べた.

  • 小川 康太, 森﨑 弘大郎, 三好 航平, 森 啓太, 近藤 智恵子
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-02
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     HFO-1123/R744(CO2)の固液平衡特性を実験的に明らかにするとともに40 kWクラスの冷凍機を想定したカスケードサイクル性能を計算した.冷却曲線法を用いた凝固開始温度の測定結果は,Schröder-van Laar式の推算値より特定の組成で1 Kほど高い値を示したものの,測定値は不確かさ以内で一致した.高段サイクルにR32,低段サイクルにHFO-1123/R744を採用し,中間熱交換器内ピンチ温度差3 K,使用温度-40 ℃,-50 ℃,および-60 ℃の条件のもと計算を行った.計算結果は,使用温度-40 ℃では,COPはHFO-1123単体を除いてR23を下回りHFO-1123モル分率0.47の時,最小値をとり0.2低い.一方,体積能力はモル分率0.19以下でR23を上回り,最大で1.2倍となる.使用温度-50 ℃および-60 ℃では,COP,体積能力ともにR23を下回る.

  • Dan QIAO, Zihao CHEN, Mario SHIBATA, Tomoaki HAGIWARA
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-22
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    The effect of adding sodium caseinate on ice recrystallization in 40 wt% sucrose solution at -10°C was investigated. A minor effect on the ice recrystallization rate constant was observed up to 2 wt% sodium caseinate. However, at higher concentrations, a decrease in the recrystallization rate was noted, indicating a suppressive effect on ice recrystallization. Differential scanning calorimetry revealed a linear decrease in the amount of freezable water with an increase in sodium caseinate concentration. Dielectric relaxation measurements at 25°C indicated an increase in the amount of free water with higher sodium caseinate concentrations, while the relaxation time of the water coupled with solutes tended to increase. It was suggested that the effect of adding sodium caseinate on ice crystal recrystallization was due to the combined result of the reduction in the amount of freezable water, the increase in free water content, and the decrease in water mobility.

  • Jinchen TANG, Takao OKABE, Katsuhiko NISHIMURA, Naoki SHIKAZONO
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 24-39
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/03/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    This research investigates frost growth characteristics on silver iodide (AgI) and platinum (Pt) stripe patterned surfaces, fabricated using UV-lithography, under desublimation and condensation frosting conditions. Different frost growth behaviors were observed between AgI and Pt patterns, i.e. horizontal frost with dendrite-shaped ice crystals grew on the AgI stripes, and a combined frost growth of dendritic horizontal growth at the stripe edges and random growth at the top were observed for the Pt stripes. This study provides new insights into the influences of ice nucleation agents such as AgI for controlling the frost height and density.

  • -第2報:ニンジン及びキャベツの細胞観察-
    冨川 翔史, 小山 晃右, 徳竹 美友, 中山 明
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-23
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,一般的な直膨式冷蔵庫と低温高湿度環境の維持が可能なブライン式冷蔵庫に野菜を数か月間貯蔵し,細胞観察を行うことで,長期保管中の温湿度環境が野菜の細胞構造に与える影響を検証した.その結果,ブライン式冷蔵庫に貯蔵したキャベツにおいては,表層葉の黄化が軽減された.黄化葉は健全葉と比べて気孔の構造崩壊が顕著であった.ニンジンにおいては,木部,篩部ともに細胞構造の崩壊が軽微だった.以上の結果から,ブライン式冷蔵庫の方が,細胞構造への影響が小さく,鮮度良く貯蔵できることがわかった.

  • Tran Xuan Duc, Atiqur R. Tuhin, Monjur Morshed, Ryuga Hirata, Akio Miy ...
    原稿種別: original paper
    論文ID: 24-38
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/02/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    This article investigates the experimental viscosity data and modeling of two binary refrigerant mixtures, R454B and R454C, recognized as low global warming potential (GWP) alternatives to conventional high-GWP refrigerants. Viscosity was measured for both refrigerants in liquid and vapor phases using a tandem capillary tube method. For R454B, the viscosity measurements spanned temperatures from (233 to 313) K in the liquid phase and (323 to 373) K in the vapor phase, under pressures up to 4.07 MPa. For R454C, measurements were taken from (233 to 343) K in the liquid phase and from (343 to 393) K in the vapor phase, with pressures reaching 4.01 MPa. The research used two sets of experiments focusing on low (233 to 293) K and high (303 to 393) K temperature ranges, adhering to the same measurement principles. The expanded uncertainties for viscosity in liquid and vapor phases were kept below 2.2% and 2.4%, respectively. Furthermore, prediction of viscosity of the two mixtures has been carried out using Extended Corresponding States (ECS) that comes with REFPROP version 10.0. It was observed that for vapor phase viscosity predicted by REFPROP is higher than the experimental value, especially for R454C.

  • 試作分配器と現行分配器の性能比較
    内田 麻理, 米田 広, 佐々木 重幸, 豊田 浩之, 関谷 禎夫
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-18
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    空調機用熱交換器の適切な冷媒分配を目的として,気液分離した冷媒をスリット管を用いて分配する新構造の冷媒分配器を試作した.可視化モデルによる流動状態の観察と,分配特性として液相分岐割合のばらつきを評価した結果以下のことが分かった.試作分配器の気液分離空間内に形成された冷媒液面高さは,乾き度の上昇に伴い低下する.現行の衝突式の4 分岐分配器とスリット式分配器の分配特性を比較すると,傾斜が無い条件,及び高流量条件Gr=20 kg/h では現行分配器が優れているが,傾斜がある 条件での分配特性は,低流量条件Gr=10 kg/h で,スリット式分配器が優位である.

  • 苗 宇峰, 小川 康太, 福田 翔, 近藤 智恵子, 赤坂 亮
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-25LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化係数が極めて低いHFO-1123 を含む二成分混合冷媒HFO-1123/R32HFO-1123/R290,およびHFO-1123/R152a 2 kW クラスのヒートポンプサイクル性能を計算し,COP,体積能力,ならびに不可逆損失を評価した.計算では,空気熱源を想定して直交流式熱交換器出口のピンチ温度を固定し,必要伝熱面積を変化させて比較を行ったところ,HFO-1123 質量分率0.6 において,HFO-1123/R32 の冷房COP 6.1 と最も高く,HFO-1123/R290 およびHFO-1123/R152a COP はこれよりも1.1 および1.4 低い値となった.温度勾配の大きさが熱交換器内の不可逆損失を増加させ,COP に大きな影響を及ぼした.そこで,対向流式熱交換器モデルで計算をしたところ,HFO-1123/R290 COP は直交流式の場合よりも 1.2 高くなり,HFO-1123/R32 と同等の値となった.

  • 近藤 智恵子, 今井 友暁
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-26LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化係数の低い冷媒への転換が求められており,種々の物性が精力的に調査されている.地球温暖化係数の測定も進んではいるものの,今後新しい候補物質を検討するにあたり簡易予測方法が役立つと考えられる.従来冷媒R23R32,エチレン派生物質R1123R1132aR1132(E)R1132(Z)を取り上げ,量子化学計算を用いた予測を試みた.放射効率は,測定値よりも10%から60%高い値を得た.M06- 2X/aug-cc-pVTZ で得られた活性障壁と,温度272 K における反応速度定数の相関を類似の物質を含めて確認し,作成した簡易相関式を利用して大気寿命の計算を試みたところ,R23 の大気寿命の計算値は文献値の1.51 倍であったものの,10 年程度の大気寿命であれば1 年以内で一致し,大気寿命が0.1 年より短い場合も,0.76 倍から1.35 倍以内で一致した.以上から算出したGWP は,IPCC の報告値と概ね± 50%以内で一致した.ただし,R1132(E)GWP は文献値の2.24 倍高い値であった.

  • 西尾 淳, 黒瀬 良一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-27LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    環境負荷が低い冷媒への転換が進む空調機では,温度勾配を有する冷媒の使いこなしが課題である.温度勾配を有する冷媒は,液相と気相の組成が異なるため,配管分岐部における気液分配の偏りが,制御性に及ぼす影響が大きい.本研究では,水平配管から鉛直上方向へ分岐する形状を対象として,Large eddy simulationLES)による気液二相流解析を行い,流出管の長さが気液分配特性に及ぼす影響を明らかにした.また,LES で求めた出口乾き度を流出管長さに基づく1 次元モデルで表現することで,空調機全体の解析に適用可能な簡便な分配予測式を開発した.

  • -冷凍冷凍機油PVE 存在下でのR 474A の組成変化挙動-
    井上 智仁, 後藤 智行, 山田 康夫
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-28LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    空調機内での非共沸である混合冷媒の組成変化の推算を目的とし,混合冷媒の冷凍機油への冷媒溶解量を定量化する検討を行った.空調機内を模倣・簡略化した耐圧容器を作成し,空調機内での現象を模倣するため、温度や圧力等の評価条件を最適化した.R 1132(E)[トランス-1,2-ジフルオロエチレン]R 1234yf の2成分非共沸混合冷媒において,R 1234yf が優先的に冷凍機油へ溶解し,温度低下,圧力上昇に伴って混合冷媒組成のR 1132(E)比率が封入組成に対して相対的に大きくなる傾向があることが明らかになった.

  • 滝澤 賢二, 五十嵐 直治, 久保田 栄 , 中西 裕子, 徳橋 和明, 近藤 重雄
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-29LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    GWP 混合冷媒及びその構成成分としての重要性から,CO2/プロパン(R290)混合系を対象に不燃化するまでの全混合組成について燃焼特性を明らかにすることを目的とした.まず実験として,燃焼限界については,高圧ガス保安法が新たに採用した評価法による評価を行い,ASHRAE の方法と比較した.燃焼速度については,不燃組成のごく近傍については微小重力実験も実施し数値化した.実用上の安全性評価に資するため,最大燃焼速度10 cms-1 の微燃性(2L)等級境界近傍について消炎距離の評価を行った.次に,これらの特性値をCO2 混合比率の関数として数式化することにより,不燃までの任意の混合組成について総合的な燃焼特性値を推算し燃焼性等級を決定することを可能にした.

  • -R 1132(E)の自己分解反応と圧縮機内のエネルギー源調査-
    臼井 隆, 後藤 智行, 山田 康夫, 吉村 崇, 尾崎 太一, 井上 智仁, 根岸 泰隆
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-30LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    GWP 1 以下の環境負荷が極めて小さく,効率性に優れたHFO 冷媒のR 1132(E),外部エネルギー源により自己分解反応を起こすことが知られている.本研究では,R 1132(E)混合冷媒を利用するにあたって,自己分解反応の発生条件を明らかにするとともに,そのきっかけとなる圧縮機の放電エネルギーの定量を行った.R 1132(E)R 1234yf の二元系冷媒の評価から,R 1132(E)濃度が低下するにつれて自己分解反応は生じにくくなること,過大な放電エネルギーに対してもR 1132(E)35mass%以下であれば安定であることがわかった.また圧縮機の放電エネルギーの定量から,2.2kW 機ではエネルギーは1J に満たないことがわかり,冷媒として安定的に利用できるR 1132(E)混合組成条件を明らかにした.

  • 西橋 奏子, 狩野 祐也 , 粥川 洋平, 倉本 直樹
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-31LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化係数(GWP)が小さい次世代冷媒への転換が世界的に進められている中で,低GWP 冷媒の実用化のために必須となる基礎的な物性値評価が求められている.本研究では,冷媒の液相域における音速データの取得を目的として,超音波パルス伝搬式の音速センサを用いた液相域音速測定装置の開発を行った.純水およびR1336mzz(Z)cis-1,1,1,4,4,4-hexafluoro-2-butene)を音速の参照物質としてセンサの校正を行い,R1234yf2,3,3,3-tetrafluoropropene)を測定して装置の健全性確認試験を実施した結果,既存の報告値と不確かさ以内で一致することを確認した.また,液相域の音速測定に関する不確かさ評価を行ったところ,相対標準不確かさは0.084 %と見積もられた.開発した液相域音速測定装置を用いて,まだ測定値が報告されていない低GWP 冷媒として,R1336mzz(E) trans-1,1,1,4,4,4-hexafluoro2-butene)およびR13I1trifluoroiodomethane)の液相域における音速測定を実施した.R1336mzz(E) については283 K から343 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,またR13I1 については273 K から333 K の温度範囲,1 MPa から7 MPa の圧力範囲において28 点,それぞれ液相域の音速データを取得した.得られた音速データと既存の状態方程式からの音速計算値を比較した結果,R1336zz(E) については最大9 %程度,R13I1 については最大2.4 %程度,本測定データの方が小さくなることが分かった.

  • 有賀 弘晟, RAKPAKDEE Wannarat, 福田 充宏, 本澤 政明
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-33LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化抑制を目的とした冷媒の規制に対し,近年では低GWPの非共沸混合冷媒が次世代冷媒の有力な候補とされている.圧縮機で用いられる冷凍機油は,サイクルに流出した際に圧縮機へ戻り易くするために冷媒との相溶性を持つものが選択されるが,冷媒が冷凍機油へ溶解することで物性変化が生じ,冷媒圧縮機の性能に影響を与えることが知られている.したがって次世代冷媒への早期転換を実現するためには,冷凍機油に対する溶解挙動を明らかにする必要があるが,非共沸混合冷媒では,冷凍機油に対する冷媒の溶解組成が冷媒の組成と異なる可能性がある.そこで本研究では,非共沸混合冷媒の冷凍機油に対する溶解挙動の解明を目的とし,冷凍機油に溶解した冷媒の分離プロセスの検討,飽和溶解状態における冷媒溶解組成の測定,溶解初期と飽和溶解状態における溶解組成の比較を行った.非共沸混合冷媒にはR32R1234yfの混合冷媒であるR454C,冷凍機油にはPOE油を使用した.その結果,冷凍機油に対して冷媒は,ほぼ充填時の冷媒組成で溶解していることが分かった.一方で,液温80℃における露点圧力以下の圧力範囲の溶解組成測定では,充填時の冷媒組成に対してR1234yf4%程多く溶解していた.また液温80℃での冷媒溶解度約67%~82%の範囲では,冷媒の混合率の異なる相が分離している様子が確認できた.

  • 江口 順紹, チョウ トゥ, 宮崎 隆彦
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-34LG
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,代表的な機械学習モデルを利用してヒートポンプシステムの成績係数を予測する手法に関して,特徴量の選択が予測結果に及ぼす影響を分析した.データセットには,冷媒R32によるヒートポンプサイクルの暖房運転試験データを利用した.試験の制御変数および運転状態の測定データから,各種の特徴量グループを作成して,特徴量と機械学習モデルとの関係について調べた.その結果,制御変数のみで機械学習モデルを作成する場合にはステップワイズ線形回帰が最も予測精度が高く,測定データを加えた特徴量に対しては線形回帰とガウス過程回帰が良い選択肢であることがわかった.また,ガウス過程回帰やサポートベクター回帰等,カーネル関数ベースの機械学習手法は説明変数の数が少ない場合や成績係数を定義する変数が説明変数に含まれない場合でも予測精度の高いモデルを構築できる可能性があることが明らかとなった.さらに,目的変数である成績係数との相関係数の高い変数を利用すれば,少ない特徴量で高い精度の予測が可能であることが示された.

  • Shafi AHMED, Xi YANG, Shingo MATSUKAWA
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 24-21
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/10/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    Polysaccharides are widely used to preserve the texture of frozen desserts like ice cream by inhibiting ice recrystallization. Despite recent significant advances in research, a clear comprehension of the ice recrystallization inhibition mechanism of polysaccharides remains elusive. Some previous studies hypothesized that the ice recrystallization inhibition originates from the interaction between polysaccharides and ice crystal surface and tried to correlate it with the ice crystal shape. In this work, we have developed a novel method for analyzing the shape change of ice crystals during storage by curvature calculation. This method depicts the ice crystal shapes as the distribution of curvatures well expressing the changes of the ice crystal shapes. The newly developed method has been applied to evaluate the shape changes of ice crystals during the storage of sucrose solutions with and without kappa-carrageenan. The changes in curvature distributions revealed that ice crystals were rectangular with flat edges in the pure sucrose solution and were comparatively round in the sucrose/kappa-carrageenan solutions at longer storage time, which was not characterized in the roundness changes, showing the potentiality of using the curvature distribution to evaluate the shape change of ice crystals appropriately during storage.

  • 第1報:オフィスビル複数執務室でのモデル学習
    瀬光 孝之, 小松 正之, 中村 慎二, 赤木 智, 濱田 守
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-14
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/09/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    国際的な脱炭素化に伴い再生可能エネルギーの活用が議論される中で,電力の需要と供給を一致させるための需給調整の重要性がますます高まっている.電気機器の需要予測,特に,空調機器(HVAC)の消費電力は需要の中で大きな割合を占めるため,空調負荷の予測の重要性が高い.短い予測地平で機器単位の予測を行う研究は事例が少なかった.本報告では,オフィスビル複数執務室の空調機器(内調室内機4 台・室外機1 台,外調室内機2 台・室外機1 台)1 時間当たりの消費電力を,対象時間の開始時点の情報から推定する問題を,機械学習モデルを用いて解いた結果について報告する.

  • 第2 報:デシカント塗布熱交換器の性能試験と空調システム性能予測
    東 朋寛, 張 莉, 稲葉 淳, 加見 祐一, 西嶋 春幸, 齋川 路之
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-16
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    電気自動車(EV)の暖房の省エネ化は普及に向けた重要課題の1つである.本報告では,前報で提案した熱管理システムに含まれる暖房運転モードについて,性能予測を行った.本システムは蒸気圧縮式ヒートポンプとデシカント塗布熱交換器(DCHE)から構築され,特に暖房負荷増加の原因となる外気導入による防曇運転の省エネ化を図るものである.DCHE の性能試験を行い,適切な吸着熱除去と吸着温度制御により防曇性能が向上することが明らかとなった.実験結果を用いてシステム性能予測を行い,電気ヒーターによる空調システムと比較して73.4%,ヒートポンプを用いた従来空調システムと比較して37.6%の電力消費を削減可能であることが明らかとなった.

  • 第1 報:システムの考案と除霜暖房モードの性能分析
    張 莉, 東 朋寛, 齋川 路之
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-17
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    電気自動車(EV)の熱管理は航続距離,寿命,安全性における重要な課題である.本稿では,EV に関する現行の熱管理技術の課題を抽出し,課題解決の対策とそれらを統合する省電力な熱管理システムを考案する.考案システムは車室,バッテリ,モータとインバータをクーリングするモードと,車室とバッテリをヒーティングするモード及びデフロストモード(除霜暖房モード)ができる.バッテリの発熱を利用した除霜暖房モードに関する性能分析を行い,その結果,質量294 kg25 ℃に保持(蓄熱)されたバッテリからの熱回収により,車室暖房しつつ,5 分間で162 g の除霜が可能である.この場合のバッテリの降温幅は約4 ℃,圧縮機消費電力は1 kW 以下である.

  • 甲斐田 武延, 阿南 景子, 田中 勝之, 浅野 等
    原稿種別: 研究レビュー
    論文ID: 24-19R
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    産業部門の熱利用の脱炭素化に向けて,国内外で産業用ヒートポンプへの関心が高まってきている.本稿では,近年特に技術開発および実証が活発化している,供給温度100℃以上の電力駆動式高温ヒートポンプを対象として,国内外の技術動向を概観するとともに,日本における今後の研究および技術開発課題を抽出した.具体的には,高温に適した冷凍機油の開発,高効率で制御性に優れ,コンパクトで安価な水蒸気供給システムの構築に向けた研究,強燃性を含む自然冷媒の適用拡大に向けた技術開発や規格等の整備を挙げた.

  • 山田 瑛大 , 楊 少博, 井上 架, 党 超鋲
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-01
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究は, マイクロチャンネル内におけるスラグ流の流動特性, 特に低キャピラリー領域における液膜の挙動の解明を目的とし, 高速度カメラを用いた気泡の動きの可視化観察, 気泡速度, 接触角, および流動抵抗の計測を行った. また, 表面濡れ性の影響を考慮するため, 異なる表面処理を施した内径1 mm のガラス管を用いて実験を行った. 実験結果から, 未処理ガラス管において, 駆動流速が 20 mm/s の時に液膜が形成され, 親水性ガラス管では僅かな駆動流速で液膜が形成された. 撥水性ガラス管では液膜の形成に伴い気泡が分裂した. また, 気泡が液膜によって潤滑されると流れが促進されることがわかった. 流動抵抗の計測および理論モデルとの比較から, 1 つの気泡に液膜が形成されない場合, 流動抵抗が約200 Pa 大きくなることがわかった.

  • Quality Comparison Study between Wild and Farmed Frozen Atlantic Bluefin Tuna Thunnus thynnus
    中村 柚咲, 水野 加寿樹, 平塚 聖一, 後藤 慶一, 髙橋 希元
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-05
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    養殖マグロ類の品質向上のための基礎的な知見を得ることを目的に,冷凍タイセイヨウクロマグロを対象として,アイルランド産天然魚と地中海産養殖魚の品質を比較検討した.これまでマグロ類の品質に重要であると考えられてきた脂質含量は天然魚において低く,うま味を呈するイノシン酸含量や鮮度指標であるK 値は天然,養殖試料間で差が認められなかった.一方で天然,養殖試料間では,餌由来と考えられる脂肪酸および遊離アミノ酸組成が異なっており,これらの違いが冷凍タイセイヨウクロマグロの品質に影響を及ぼしている可能性が示唆された.

  • Reaz Mohammad MAZUMDAR, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Kazufumi OSAKO
    原稿種別: Original Paper
    論文ID: 24-06
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    This study evaluated the effect of quercetin from onion extracts (OE) on the gel-forming ability of Alaska pollock and pangasius frozen surimi. In this study, 0%-0.10% OE of the surimi was used to prepare 20- and 120-min heated gels at temperatures ranging from 30°C to 90°C at 10°C intervals. Alaska pollock surimi gels did not show any significant improvement after adding OE for breaking force. Conversely, the addition of the OE increased the breaking force of pangasius surimi gels (p < 0.05) heated at 50°C-90°C for 20 min and 40°C-90°C for 120-min compared with those without gels heated for the same time. The whiteness of gels from two species of surimi decreased with increasing concentration of OE. Meanwhile, when 0.075% OE was added, the α-helix content decreased, the ß-sheet increased in pangasius gel, whereas the hydrophobic interaction noticeably increased in pangasius gels added with OE. Therefore, OE enhanced the formation of ß-sheet structures and hydrophobic interactions, which contributed to the better gel strength in pangasius surimi gel, signifying that OE can be an alternative to improve the strength of gels from low-grade frozen surimi.

  • 坂本 勇樹, 小林 弘明, 竹崎 悠一郎, 成尾 芳博, 谷本 圭亮, 川口 潤
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-08
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    液化水素は,国際的な水素サプライチェーンを構築する上で,大規模な輸送・貯蔵の観点から最も有望なキャリアのひとつである.液化水素は極低温で沸騰するため,輸送・貯蔵中に気化した水素ガスを発電設備等で有効利用することが求められている.本論文では,大規模な極低温水素ガス圧縮機の実証試験を行うにあたり開発した任意の温度・圧力・流量の水素ガスを供給する「低温水素ガス発生装置」の検討と実証運転結果について報告する.また,本実験を通じて得られた,気液混合があるシステムにおいて液体流量を直接計測しなくとも質量を推算する手法を報告する.

  • -加熱条件下における液相分配の均⼀性向上の試み-
    小野寺 亜由美, 畠田 崇史 , 森 浩平, 池田 明大 , 丸山 直樹, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-09HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    住宅用や業務用エアコンに用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相冷媒流について,入口側ヘッダ内に挿入した多孔内管から冷媒を供給することで液相分配の均一化を試みた.とくに分岐管を均等に加熱した状態でヘッダ内の流れの可視化観察と各分岐管への気液分配量の測定を行い,冷媒の蒸発が多孔内管の効果に及ぼす影響を明らかにした.また,分岐管の加熱量を管毎に変化させた不均等加熱条件においても実験を行い,熱負荷の分布状態が液相分配に及ぼす影響についても検討した.

  • 福田 翔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-13HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では高温ヒートポンプの凝縮器に注目し,臨界温度の比較的高いR1234ze(Z)を用いて高温下におけるプレートフィン熱交換器での凝縮熱伝達実験を行い,高温下における凝縮熱伝達特性の解明を目的とした.実験はセレートフィンおよびストレートフィンの2 種類,ならびに冷却方式を片面冷却および両面冷却の2 通りで行った.また,片面冷却の場合は設置したガラス窓から凝縮様相の観察も行った.結果として高クオリティ領域ではセレートフィンのセレート部において冷媒の液相が撹拌され熱伝達率は向上するが,中クオリティ領域ではセレート部により冷媒液膜厚さが均質化してしまい熱伝達率は低下する.また,換算圧力0.8 を超える飽和温度ではセレートによる撹拌効果も見られなくなり,高クオリティの熱伝達率は低くなる.

  • 仮屋 圭史, 宮良 明男
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-20HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,プレート式熱交換器を模擬した流路を用い,従来ほとんどなされていない低質量速度条件を含めたHFO 系冷媒,HFO 系冷媒への添加物候補物質であるCF3I およびR32 の凝縮および蒸発局所熱伝達率測定を行い,それらの基本的特性を明らかにした.その結果,流路幅方向の蒸発および凝縮伝達率分布はそれぞれ熱交換器出入口付近および熱交換器中心付近が最大となり,端面に近づくほど低下することが明らかになった.また,得られた熱伝達率データを既存の整理式による計算値との比較を併せて行った.その結果,蒸発熱伝達については既存の整理式である程度再現可能であること,凝縮熱伝達については従来の整理式は特に低流量域において熱伝達率を過大に見積もることが明らかになった.

  • 吉田 雅輝, 山田 俊輔, 船見 祐揮, 中村 元
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-11HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/05/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    水平設置された断面積2 mm × 2 mm の矩形微細流路における水の流動沸騰様相を2 台の高速度カメラで撮影し,同時に高速度赤外線(IR)カメラで熱伝達変動を高時空間分解(4000 fps,25 μm/pixel)で測定した.本測定を実現するために,フッ化カルシウム(CaF2)に酸化インジウムスズ(ITO)膜を成膜した測定面を作製し,矩形流路の底面に設置した.さらに,高速度IR カメラで測定したITO 膜の温度分布を境界条件とした測定面内の非定常三次元熱伝導解析を行い,測定面内部への非定常な熱損失を評価した上で,壁面熱流束の時空間変動を算出した.質量流束100 または200 kg/(m2·s),壁面熱流束20 kW/m2 の条件において,流動様相をスラグ流から環状流にかけて変化させ,測定を行った.その結果,各流動様相に応じた高速かつ複雑な熱流束変動を明瞭かつ定量的に測定することができた.

  • 井岡 久美子, 伊藤 Takashi
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-24HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    熱交換器の設計において,熱伝達率および通風抵抗などのトレードオフ関係にある性能が両立する構造を求める手法として,熱流体シミュレーションと様々な最適化手法との連携が検討されてきた.しかし,これまで報告されてきた手法の多くは単目的最適化を行う手法であり,また多目的最適化の手法では解析回数の削減などに課題があった.そこで,本報では実験計画法と重回帰分析を応用し,より少ない解析回数で熱伝達率および通風抵抗の取り得る範囲を求めて,その範囲から仕様に合わせた最適構造を導出する手法を構築した.さらに,本設計手法の有効性を扁平管熱交換器の設計に適用して検証するとともに,予測精度の改善方法を示した.

  • 廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-02HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    冷凍空調機器に適用される蒸発器では,最近の冷媒規制にともない冷媒使用量の削減が求められている.満液式の熱交換器と比べ冷媒量が削減できる方式として,流下液膜等の液膜流を用いた方式が注目されており,その方式のひとつである液膜流と平行に高速の気体流を流すことで液膜厚さを減少させ伝熱性能の向上を狙った界面せん断力を受ける液膜流とよばれる液膜流が注目されている.本研究では,界面せん断力を受ける液膜流の熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率を同時に計測できる実験装置を製作し,液膜挙動に基づいた基礎的な熱伝達特性の解明を試みた.

  • 沼田 夏実, 地下 大輔, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-29HE_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,HFO 系冷媒の沸騰を伴う流下液膜の熱伝達特性の解明を目的として,垂直平面におけるR1234ze(E)の沸騰気泡,液膜破断およびドライパッチの挙動の観察を行うとともに,液膜の流動状態と熱伝達との関係を実験的に明らかにした.液膜は気液界面に波立ちを伴いながら流下し,液膜内において沸騰気泡の形成・破裂が観察された.熱流束の増加および膜レイノルズ数の低下に伴いドライパッチは拡大したものの,高液膜流量条件ではドライパッチは厚い液膜流れによってリウェットされた.また,熱伝達率は熱流束および圧力の増加に伴い増大した.熱伝達率はドライパッチの拡大により減少し,濡れ面積率および熱伝達率が減少を開始する膜レイノルズ数はおおよそ一致した.

  • 須田 公平, 吹場 活佳, 堀伊 吹, 川﨑 央, 小林 弘明, 坂本 勇樹
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-30_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    配管の内面に溝加工を施し,これをシリコーンシーラントで埋めることにより配管内面の沸騰伝熱を促進する方法を提案する.内面に加工を施した配管を,液体窒素及び液体水素を用いて冷却し温度変化を計測する実験を行った.実験には外径1/2 インチ(12.7 mm),長さ120 mm のステンレス製の配管が用いられた.内面に施す溝の間隔をパラメータとして実験を行い,冷却速度および温度変化から算出される熱流束に与える影響を調査した.液体窒素を用いた実験では,膜沸騰が抑制されることにより冷却時間が1/3.6 に短縮された.対照的に,液体水素を用いた実験では冷却時間を短縮することができなかった.水素の特殊な物性や伝熱特性が結果に影響したと考えられる.

  • Wantanee NOICHINDA, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Tomoyuki KOYAMA, K ...
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 24-03
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    The objective of this study was to determine the most efficient method for extracting oil from North Pacific krill (Euphausia pacifica). A rapid, single-step extraction using a mixture of acetone and ethanol was employed, and heat treatment was applied to the krill. Additionally, argon gas (Ar) was used during the extraction process to prevent lipid oxidation. The results demonstrated that heat treatment, both in air and under Ar conditions, resulted in higher lipid yields (2.14% and 2.12%, respectively). The extracted krill oil underwent analysis to determine the content of neutral lipids (NLs), polar lipids (PLs), and free fatty acids (FFAs). The krill oil heated under Ar conditions exhibited the highest NLs content but a lower amount of PLs. However, the FFAs content increased for both heated krill samples. Moreover, all krill oils exhibited high levels of n-3 polyunsaturated fatty acids, particularly elevated PLs content, which included icosapentaenoic acid (IPA) and docosahexaenoic acid (DHA) (18.83 – 26.64 and 26.45 - 33.87 g/100 g of lipid, respectively). These components were present in the extracts, with greater prominence observed for the Ar treatment condition. However, the peroxidation value and presence of thiobarbituric acid reactive substances indicated that heat induced lipid oxidation, thereby reducing the lipid quality. Therefore, heat treatment proved beneficial in enhancing lipid yield, although it also had a negative impact on lipid quality. Conversely, the use of Ar during extraction was found to delay lipid oxidation compared to other extraction methods.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-15_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

feedback
Top