日本冷凍空調学会論文集
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早期公開論文
早期公開論文の32件中1~32を表示しています
  • 山田 瑛大 , 楊 少博, 井上 架, 党 超鋲
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-01
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究は, マイクロチャンネル内におけるスラグ流の流動特性, 特に低キャピラリー領域における液膜の挙動の解明を目的とし, 高速度カメラを用いた気泡の動きの可視化観察, 気泡速度, 接触角, および流動抵抗の計測を行った. また, 表面濡れ性の影響を考慮するため, 異なる表面処理を施した内径1 mm のガラス管を用いて実験を行った. 実験結果から, 未処理ガラス管において, 駆動流速が 20 mm/s の時に液膜が形成され, 親水性ガラス管では僅かな駆動流速で液膜が形成された. 撥水性ガラス管では液膜の形成に伴い気泡が分裂した. また, 気泡が液膜によって潤滑されると流れが促進されることがわかった. 流動抵抗の計測および理論モデルとの比較から, 1 つの気泡に液膜が形成されない場合, 流動抵抗が約200 Pa 大きくなることがわかった.

  • Quality Comparison Study between Wild and Farmed Frozen Atlantic Bluefin Tuna Thunnus thynnus
    中村 柚咲, 水野 加寿樹, 平塚 聖一, 後藤 慶一, 髙橋 希元
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-05
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    養殖マグロ類の品質向上のための基礎的な知見を得ることを目的に,冷凍タイセイヨウクロマグロを対象として,アイルランド産天然魚と地中海産養殖魚の品質を比較検討した.これまでマグロ類の品質に重要であると考えられてきた脂質含量は天然魚において低く,うま味を呈するイノシン酸含量や鮮度指標であるK 値は天然,養殖試料間で差が認められなかった.一方で天然,養殖試料間では,餌由来と考えられる脂肪酸および遊離アミノ酸組成が異なっており,これらの違いが冷凍タイセイヨウクロマグロの品質に影響を及ぼしている可能性が示唆された.

  • Reaz Mohammad MAZUMDAR, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Kazufumi OSAKO
    原稿種別: Original Paper
    論文ID: 24-06
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    This study evaluated the effect of quercetin from onion extracts (OE) on the gel-forming ability of Alaska pollock and pangasius frozen surimi. In this study, 0%-0.10% OE of the surimi was used to prepare 20- and 120-min heated gels at temperatures ranging from 30°C to 90°C at 10°C intervals. Alaska pollock surimi gels did not show any significant improvement after adding OE for breaking force. Conversely, the addition of the OE increased the breaking force of pangasius surimi gels (p < 0.05) heated at 50°C-90°C for 20 min and 40°C-90°C for 120-min compared with those without gels heated for the same time. The whiteness of gels from two species of surimi decreased with increasing concentration of OE. Meanwhile, when 0.075% OE was added, the α-helix content decreased, the ß-sheet increased in pangasius gel, whereas the hydrophobic interaction noticeably increased in pangasius gels added with OE. Therefore, OE enhanced the formation of ß-sheet structures and hydrophobic interactions, which contributed to the better gel strength in pangasius surimi gel, signifying that OE can be an alternative to improve the strength of gels from low-grade frozen surimi.

  • 坂本 勇樹, 小林 弘明, 竹崎 悠一郎, 成尾 芳博, 谷本 圭亮, 川口 潤
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-08
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    液化水素は,国際的な水素サプライチェーンを構築する上で,大規模な輸送・貯蔵の観点から最も有望なキャリアのひとつである.液化水素は極低温で沸騰するため,輸送・貯蔵中に気化した水素ガスを発電設備等で有効利用することが求められている.本論文では,大規模な極低温水素ガス圧縮機の実証試験を行うにあたり開発した任意の温度・圧力・流量の水素ガスを供給する「低温水素ガス発生装置」の検討と実証運転結果について報告する.また,本実験を通じて得られた,気液混合があるシステムにおいて液体流量を直接計測しなくとも質量を推算する手法を報告する.

  • -加熱条件下における液相分配の均⼀性向上の試み-
    小野寺 亜由美, 畠田 崇史 , 森 浩平, 池田 明大 , 丸山 直樹, 廣田 真史
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-09HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    住宅用や業務用エアコンに用いられるパラレルフロー型熱交換器を模擬した垂直ヘッダ/水平多分岐管内の気液二相冷媒流について,入口側ヘッダ内に挿入した多孔内管から冷媒を供給することで液相分配の均一化を試みた.とくに分岐管を均等に加熱した状態でヘッダ内の流れの可視化観察と各分岐管への気液分配量の測定を行い,冷媒の蒸発が多孔内管の効果に及ぼす影響を明らかにした.また,分岐管の加熱量を管毎に変化させた不均等加熱条件においても実験を行い,熱負荷の分布状態が液相分配に及ぼす影響についても検討した.

  • 福田 翔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-13HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では高温ヒートポンプの凝縮器に注目し,臨界温度の比較的高いR1234ze(Z)を用いて高温下におけるプレートフィン熱交換器での凝縮熱伝達実験を行い,高温下における凝縮熱伝達特性の解明を目的とした.実験はセレートフィンおよびストレートフィンの2 種類,ならびに冷却方式を片面冷却および両面冷却の2 通りで行った.また,片面冷却の場合は設置したガラス窓から凝縮様相の観察も行った.結果として高クオリティ領域ではセレートフィンのセレート部において冷媒の液相が撹拌され熱伝達率は向上するが,中クオリティ領域ではセレート部により冷媒液膜厚さが均質化してしまい熱伝達率は低下する.また,換算圧力0.8 を超える飽和温度ではセレートによる撹拌効果も見られなくなり,高クオリティの熱伝達率は低くなる.

  • 仮屋 圭史, 宮良 明男
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-20HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/06/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,プレート式熱交換器を模擬した流路を用い,従来ほとんどなされていない低質量速度条件を含めたHFO 系冷媒,HFO 系冷媒への添加物候補物質であるCF3I およびR32 の凝縮および蒸発局所熱伝達率測定を行い,それらの基本的特性を明らかにした.その結果,流路幅方向の蒸発および凝縮伝達率分布はそれぞれ熱交換器出入口付近および熱交換器中心付近が最大となり,端面に近づくほど低下することが明らかになった.また,得られた熱伝達率データを既存の整理式による計算値との比較を併せて行った.その結果,蒸発熱伝達については既存の整理式である程度再現可能であること,凝縮熱伝達については従来の整理式は特に低流量域において熱伝達率を過大に見積もることが明らかになった.

  • 吉田 雅輝, 山田 俊輔, 船見 祐揮, 中村 元
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-11HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/05/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    水平設置された断面積2 mm × 2 mm の矩形微細流路における水の流動沸騰様相を2 台の高速度カメラで撮影し,同時に高速度赤外線(IR)カメラで熱伝達変動を高時空間分解(4000 fps,25 μm/pixel)で測定した.本測定を実現するために,フッ化カルシウム(CaF2)に酸化インジウムスズ(ITO)膜を成膜した測定面を作製し,矩形流路の底面に設置した.さらに,高速度IR カメラで測定したITO 膜の温度分布を境界条件とした測定面内の非定常三次元熱伝導解析を行い,測定面内部への非定常な熱損失を評価した上で,壁面熱流束の時空間変動を算出した.質量流束100 または200 kg/(m2·s),壁面熱流束20 kW/m2 の条件において,流動様相をスラグ流から環状流にかけて変化させ,測定を行った.その結果,各流動様相に応じた高速かつ複雑な熱流束変動を明瞭かつ定量的に測定することができた.

  • 井岡 久美子, 伊藤 Takashi
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-24HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    熱交換器の設計において,熱伝達率および通風抵抗などのトレードオフ関係にある性能が両立する構造を求める手法として,熱流体シミュレーションと様々な最適化手法との連携が検討されてきた.しかし,これまで報告されてきた手法の多くは単目的最適化を行う手法であり,また多目的最適化の手法では解析回数の削減などに課題があった.そこで,本報では実験計画法と重回帰分析を応用し,より少ない解析回数で熱伝達率および通風抵抗の取り得る範囲を求めて,その範囲から仕様に合わせた最適構造を導出する手法を構築した.さらに,本設計手法の有効性を扁平管熱交換器の設計に適用して検証するとともに,予測精度の改善方法を示した.

  • 廣川 智己, 中野 拓哉, 河南 治
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 24-02HE
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    冷凍空調機器に適用される蒸発器では,最近の冷媒規制にともない冷媒使用量の削減が求められている.満液式の熱交換器と比べ冷媒量が削減できる方式として,流下液膜等の液膜流を用いた方式が注目されており,その方式のひとつである液膜流と平行に高速の気体流を流すことで液膜厚さを減少させ伝熱性能の向上を狙った界面せん断力を受ける液膜流とよばれる液膜流が注目されている.本研究では,界面せん断力を受ける液膜流の熱伝達特性を明らかにするため,液膜挙動の観察と局所熱伝達率を同時に計測できる実験装置を製作し,液膜挙動に基づいた基礎的な熱伝達特性の解明を試みた.

  • 沼田 夏実, 地下 大輔, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-29HE_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,HFO 系冷媒の沸騰を伴う流下液膜の熱伝達特性の解明を目的として,垂直平面におけるR1234ze(E)の沸騰気泡,液膜破断およびドライパッチの挙動の観察を行うとともに,液膜の流動状態と熱伝達との関係を実験的に明らかにした.液膜は気液界面に波立ちを伴いながら流下し,液膜内において沸騰気泡の形成・破裂が観察された.熱流束の増加および膜レイノルズ数の低下に伴いドライパッチは拡大したものの,高液膜流量条件ではドライパッチは厚い液膜流れによってリウェットされた.また,熱伝達率は熱流束および圧力の増加に伴い増大した.熱伝達率はドライパッチの拡大により減少し,濡れ面積率および熱伝達率が減少を開始する膜レイノルズ数はおおよそ一致した.

  • 須田 公平, 吹場 活佳, 堀伊 吹, 川﨑 央, 小林 弘明, 坂本 勇樹
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-30_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    配管の内面に溝加工を施し,これをシリコーンシーラントで埋めることにより配管内面の沸騰伝熱を促進する方法を提案する.内面に加工を施した配管を,液体窒素及び液体水素を用いて冷却し温度変化を計測する実験を行った.実験には外径1/2 インチ(12.7 mm),長さ120 mm のステンレス製の配管が用いられた.内面に施す溝の間隔をパラメータとして実験を行い,冷却速度および温度変化から算出される熱流束に与える影響を調査した.液体窒素を用いた実験では,膜沸騰が抑制されることにより冷却時間が1/3.6 に短縮された.対照的に,液体水素を用いた実験では冷却時間を短縮することができなかった.水素の特殊な物性や伝熱特性が結果に影響したと考えられる.

  • Wantanee NOICHINDA, Jie-Ting GENG, Hiroki KOYAMA, Tomoyuki KOYAMA, K ...
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 24-03
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    The objective of this study was to determine the most efficient method for extracting oil from North Pacific krill (Euphausia pacifica). A rapid, single-step extraction using a mixture of acetone and ethanol was employed, and heat treatment was applied to the krill. Additionally, argon gas (Ar) was used during the extraction process to prevent lipid oxidation. The results demonstrated that heat treatment, both in air and under Ar conditions, resulted in higher lipid yields (2.14% and 2.12%, respectively). The extracted krill oil underwent analysis to determine the content of neutral lipids (NLs), polar lipids (PLs), and free fatty acids (FFAs). The krill oil heated under Ar conditions exhibited the highest NLs content but a lower amount of PLs. However, the FFAs content increased for both heated krill samples. Moreover, all krill oils exhibited high levels of n-3 polyunsaturated fatty acids, particularly elevated PLs content, which included icosapentaenoic acid (IPA) and docosahexaenoic acid (DHA) (18.83 – 26.64 and 26.45 - 33.87 g/100 g of lipid, respectively). These components were present in the extracts, with greater prominence observed for the Ar treatment condition. However, the peroxidation value and presence of thiobarbituric acid reactive substances indicated that heat induced lipid oxidation, thereby reducing the lipid quality. Therefore, heat treatment proved beneficial in enhancing lipid yield, although it also had a negative impact on lipid quality. Conversely, the use of Ar during extraction was found to delay lipid oxidation compared to other extraction methods.

  • 鄭 宗秀, 宮岡 洋一, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-20_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    産業分野においてさらなる省エネルギーを推進するためには,工場等のプロセスにおいて未だ利用価値のある蒸気等の余剰熱の再利用や,エネルギー効率の低いプロセスに対して変換効率の向上が強く求められている.このニーズに対する解決策のひとつとして,ヒートポンプ技術の導入が有効であり,排熱等を再利用可能な温度レベルに効率よく昇温することや,利用効率の低いプロセスへヒートポンプを導入することにより,プロセス全体の大幅な省エネルギー化が期待できる.一方で,実際にヒートポンプを導入する際には,プロセスの年間の運用計画に基づき導入効果をあらかじめ把握しておくことが重要となるため,従来一つの方法として,ヒートポンプの実機を試験的にプロセスに導入してエネルギー計測を実施し,効果を定量的に把握する手法が採られていた.しかし,この方法は多額の費用が掛かることと効果を把握するためには長期間必要になることなど,ユーザーが容易にできる手法とは言い難い方法である.そこで,数理解析を導入し,比較的容易にヒートポンプ導入効果を分析できる手法を確立することを目的として,本研究において様々な冷媒やサイクルからなるヒートポンプの年間導入効果を容易に解析できる汎用性のある解析ロジックを構築し,産業用ヒートポンプの導入効果を明確にするシミュレーション技術を開発した.

  • 第1報:冷房試験の結果
    宮岡 洋一, 水野 亜杜, ドンディーニ ダミアーノ, ジャンネッティ ニコロ, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-21_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    エアコンディショナーの性能は,JIS で規定された年間性能評価指標としてのAPF をはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.一方,実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. そこで,本研究ではエアコンディショナーの動的性能を評価可能な新しい手法を確立することを目的とし,建物や室内外環境など任意の環境を疑似的に計算可能なエミュレーターと性能試験装置から構成される「エミュレーター式負荷試験装置」を新たに開発した.本稿では,「エミュレーター式負荷試験装置」を用いて空調機の動的試験を行い,本試験手法の反復性を検証した.また,ラウンドロビンテストとして,同一の空調機を3 つの異なる試験装置を用いて試験を行い,本試験手法の再現性の検証を行った.その結果,試験の再現性が検証でき,本試験手法による空調機の動的性能評価手法の有効性が確認できた.

  • 秋澤 淳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-27_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    冷凍機は機種によって燃料消費の部分負荷特性が異なる.異なる部分負荷特性を持つ機種を組み合わせて運用する場合,どのような運転が望ましいかは部分負荷特性に依存するため,必ずしも明らかではない.本研究では異なる部分負荷特性を持つ2台の冷凍機を対象に,燃料消費量を目的関数として設備の運用をモデル化し,冷凍負荷を一時間帯としたケースについて解析的に最適解を導出した.また,その過程で一方の冷凍機が優位となる条件,両方が共存する条件を明らかにした.さらに,部分負荷特性を二次関数で表したときのパラメータ空間において,それぞれの冷凍機が優位となる範囲を導いた.理論解に基づき,圧縮冷凍機と吸収冷凍機の部分負荷特性の事例を用い,優位となる条件の数値例を示した.

  • 徐 祥源, 前城 裕太, MIKSIK Frantisek, THU Kyaw, 宮崎 隆彦
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-25_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究で吸着材に使用した粉末状活性炭(MSC-30)は,吸着材としてよく使われてきたシリカゲルより比表面積が大きく,さらに大きな吸着量が得られると期待される.吸着質には地球温暖化への影響が非常に小さい低GWP 冷媒のR 1233zd(E)を使用し,その吸着特性を同じ低GWP 冷媒のR 1234yf と比較した.本研究の結果から,単位質量あたりの吸着量および平衡状態に至るまでの吸着速度ともにR 1233zd(E) がより優れた結果を示した.なお,吸着相における体積変化を理論的に考慮したモデルで吸着熱を予測した結果,ほぼ同程度であった.吸着特性に関するこれらの基本情報は,機能性活性炭をフロン類の回収,分離,再生に活用するための基礎情報として高い有効性を有する.

  • 松﨑 駿, 堀部 明彦, 山田 寛, 磯部 和真
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-26_OA
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/02/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では0 ℃以下の温度域において流動性を保持しながら潜熱の吸収,放出が可能な相変化蓄冷材の生成を目標とし,分散媒として濃度50 mass%のエチレングリコール水溶液を,相変化物質として融点-9.6 ℃Dodecane を採用した潜熱エマルションを生成した.実験の結果,界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートとソルビタンモノオレエートを採用しD 相乳化法を用いることにより,平均粒子径が0.24 μm 程度の微細なOil-in-water エマルションの生成が可能と判明した.試作試料の評価実験を行った結果,長期間乳化状態を維持し,相変化物質が凝固した状態でも流動性を保持することが可能であるということが明らかになった.また,示差走査熱量計による測定結果より,60 mJ/mg 程度の融解潜熱を有すると判明した.

  • 髙橋 幸成, Jubair A. SHAMIM, 徐 偉倫, 崔 埈豪, 大宮司 啓文
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-19NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,様々なマイクロピラー構造を有する超撥水性表面を用いて滴下されたfakir 水滴の蒸発による濡れ転移挙動と,凝縮水滴の濡れ転移挙動について実験的に調査した.超撥水性表面のマイクロ構造の耐久性を高めて再現性を確保するために,ダイヤモンドライクカーボンが用いられた.本研究の主な成果として,デピニング力が小さくて滑りやすい超撥水性表面においては,蒸発によって水滴の直径が0. 37 mm 以下となるまでCassie-Baxter 状態からWenzel 状態への濡れ転移が抑制されることを明らかにした.マイクロピラーのピッチとピラー幅を適切に選択することで,三相接触線長さが短くなり,デピニング力は小さくなった.さらに,凝縮した水滴の濡れ転移を防ぐために超撥水性表面の表面構造を改良した.マイクロピラーを囲む壁を追加し,ナノ粒子コーティングによって階層粗さをもたせた.この新しい表面構造では,凝縮水滴が成長し,隣接する水滴と合体して900 µm 以上の大きさになるまでの一連の凝縮過程において,濡れ転移を抑制することを確認した.この表面は滴状凝縮及び着氷防止に対してより優れた性能を示すことが期待される.

  • 服部 皓大, 吉田 幹男, 佐藤 哲也
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-22_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    極低温熱交換器での着霜は,極低温燃料の冷熱活用の障壁となっている.極低温下ではミスト生成を伴うため,現象の複雑さゆえ十分に霜形成メカニズムが解明されていない.そこで,本研究では強制対流下の冷却平板上での霜形成を対象に,レーザーシート光源を用いたミストの可視化観察とマクロレンズを用いた霜結晶の観察,霜質量や霜形状,ミスト層高さの定量計測を行った.ミストは冷却面温度が-75℃以下で観測され,冷却面温度が低いほどミスト生成時間が長く,質量低下や霜形成への影響が大きいことを定量的に明らかにした.ミストが生成する場合には,ミスト堆積で霜が形成され始めるが,やがて霜形成とともに表面温度が上昇し,昇華凝結での霜形成へと遷移することがわかった.

  • 諸隈 崇幸, 大久保 英敏, 川森 重弘, 廣谷 俊樹
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-12_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    沸騰冷却熱伝達の向上を目的として,直径d = 25 mm の無酸素銅球表面に自然対流下で生成・成長させた霜層を被覆層として用い,自然対流沸騰熱伝達に及ぼす空隙率の大きい多孔質被覆層の影響を検討した.最初に,球面上で生成・成長する霜層の厚さおよび着霜量を明らかにし,霜層の物性値であるみかけの密度およびみかけの熱伝導率について検討した.次に,霜層厚さを0.29 mm0.95 mm の範囲で変化させ,霜層を被覆することによって,全沸騰領域で熱伝達の促進が実現できることを示した.結果として,高熱流束・高熱伝達率冷却技術として,霜層被覆層を利用した沸騰冷却促進方法の有効性が明らかになった

  • 藤田 稔之, 永井 栄寿, 藤本 博志, 中川 倫博, 山下 尚也, 古井 秀治, 安田 善紀, 山際 昭雄
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-14NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    カーボンニュートラル社会実現に向けて様々な分野で取り組みが行われている.省エネルギー化技術の一つとしてエネルギーマネジメントシステムが注目されている.本論文では,太陽電池と定置バッテリを含むシステムの直流部に空調機・給湯器を接続し,電力変換システムにおける損失電力の低減およびエネルギーマネジメントによる太陽光発電電力の有効活用手法を提案する.実験機を構成し良好に動作することを確認し,直流電圧を制御することで空調機のCOP の向上の可能性を示した.また,年間を通したシミュレーションにより,直流接続化によってシステム損失が40%低減することを確認し,ヒートポンプ給湯器の動作を日中にシフトすることで発電電力を有効活用できることを確認した

  • Akihiro HATTORI, Tetsuya SATO
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 23-18_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/11/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    A novel frosting model based on Burton–Cabrera–Frank theory is developed. The proposed model contains correction factors for the amount of desublimation (βinn and βsf) and a parameter related to effective diffusivity in frost (F). βinn should be set to approximately 10-3 because of the impact of released latent heat and vapor consumption due to desublimation at nearby interfaces, and the growing ability of ice crystals depending on their crystallographic orientation. In addition, F should be set to approximately 5 to account for the effect of complex transportation of water vapor in frost. Without considering this effect, the frost becomes dense only near the surface. The density distribution becomes inconsistent with experimental findings. This compromises calculation accuracy. Moreover, calculations are performed to validate our model under the following frosting conditions: 243.15 K ≤ Tp ≤ 263.15 K and 8 g/m3 ≤ ρv ≤ 16 g/m3, where Tp is the cold plate temperature, and ρv is the absolute humidity. The results show that the present model can predict the frost mass and average frost thickness with a maximum error of less than 15% at 600 s under a wide range of conditions.

  • Tomohiko IMAMURA
    原稿種別: Original paper
    論文ID: 23-10_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    The ignitability of the R290/air mixture by arc discharge at the gap of the electric contacts was experimentally examined. A series of ignition tests were conducted by opening and closing a pair of electric contacts, and the voltage between the anode and cathode, and the current through the circuit were measured. The varieties of electric load, power consumption of the circuit, and composition of the R290/air mixture were varied under the experimental conditions. The ignition frequency showed an upward convex curve against the equivalence ratio, and it was taken maximum value near ϕ = 1.3 (approximately 5 vol% of C3H8). It was easier to ignite when the electrical contacts were opened than when they were closed. It was also observed that ignition occurred more easily with increased power consumption. The minimum energy generated at the gap of the electric contact in the case of ignition (Earc m ) was much larger than the minimum ignition energy (Emin). This was because the contribution rate of energy available for ignition was much smaller than in the case of capacitive spark ignition. The net energy contributing to ignition (Econt) is less than 6% of the Earc m at most because go or no-go of ignition can be distinguished well by comparing and Econt(=0.006Earc m). This almost coincides with the data reported in the literature.

  • 濱本 芳徳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-15NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では150 oC から200 oC 程度までの熱供給技術の一つとして,150 oC 程度までの集熱に適したCPC 型太陽集熱器と吸着式昇温ヒートポンプを組合せることで,集熱温度よりも高温の熱を出力できるシステムを提案した.また,冬と夏の各1 か月間の気象データを使用して,毎時の高温熱出力量の理論予測を行った.本システムの優位性は,集熱器単体のみでは供給量が少なくなる,あるいは供給不可能となる高温域の熱供給の際に認められ,冬は160 oC から,夏は180 oC からそれぞれ210 oC までの熱供給に適していることが計算で明らかになった.さらに供給温度を固定して計算すると,熱出力量が極大値を示す昇温ヒートポンプの最適な昇温幅が予測できた.最後に150 oCの集熱を冬に275 oC,夏に225 oC まで昇温できることが分かった.

  • 荒木 徹也
    原稿種別: 研究レビュー
    論文ID: 23-17R
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/30
    ジャーナル フリー 早期公開

    日本冷凍空調学会の冷凍空調技術ロードマップ2050 における3 つの食品技術開発テーマはいずれもコールドチェーンと密接に関連する.本稿では,2000 年代の食のコールドチェーンに関する研究動向をレビューするとともに,冷凍空調技術ロードマップ2050 における食品技術開発テーマに関する今後の展望について考察した.ScienceDirect に収録されているすべての学術雑誌上で2010 年以降に掲載された総説論文および原著論文のうち,本文中に”food”と”cold chain”の両方を含みかつ論文タイトルに”cold chain”を含む論文件数は計197 件であり,その約3 分の2 に相当する130 件が直近5 年間で公表された論文であった.冷凍空調技術ロードマップ2050 における3 つの食品技術開発テーマのうち,凍結~解凍~食するまでを包括的に評価できる品質評価モデルの確立に関しては,その達成に向けて直接的に役立ちそうな論文は本稿でレビューした論文の範囲内では全く見当たらず,最もチャレンジングな課題であるものと考えられた.

  • 甲斐田 武延, 森 昌司
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-07_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,ヒートポンプ供給温度が60°C から200°C までの範囲で適切な冷媒を選択するための熱力学的な分析を実施した.ヒートシンクとヒートソースの温度変化が5 K と小さい条件で,17 の純冷媒を対象に,単純ヒートポンプサイクルとエコノマイザ付き二段圧縮ヒートポンプサイクルの計算を行い,熱力学的性能と経済性,安全性,環境性を考慮し,各冷媒の好適な作動領域を図示した.その結果,ヒートポンプ供給温度ごとに有望な冷媒を示すとともに,経済的に受け入れやすい温度リフトを示した.また,エコノマイザ付き二段圧縮による高効率化によって,温度リフトが10 K 程度拡大することが確認された.

  • 高橋 良平, 秋澤 淳
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-09_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    先行研究において吸着材に音波をかけることによって吸着速度が増加することが報告された.速度振幅が吸着促進に効果があることを受け,本研究では,音波ではなく逆流を含む振動流を加えることが吸着促進に及ぼす効果を実験的に観測することを目的とした.そのため,まず2つのブロワを用いて位相差を持った正弦波状の振動流を発生させ,その差分としてテストセクションに逆流を伴う0.05Hz の振動流を発生できることを確認した.次いでそこに吸着材を充填した配管を接続し,一方向流の場合と振動流の場合の実験を行い,一定時間における吸着量を計測した.その結果,音波による実験と同様に,振動流の振幅が大きくなるほど吸着量が増加することを確認した.また,テストセクションを逆流する空気の湿度を下げると吸着促進効果が低下することを見出した.このことは吸着材充填層の後流側の湿分を吸い込むことが吸着増進効果を与えることを示唆している.

  • 春木 直人, 森田 慎一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-13_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー 早期公開

    本研究では,潜熱蓄熱材含有カプセルスラリーにおいて,軟殻材であるゼラチンで作成したカプセルに着目した.これは,一種のスラリーである血液での赤血球(カプセル)が持つ弾力性を付与するためである.まず,潜熱蓄熱材を含有したゼラチンカプセルを作成し,ゼラチンカプセルの形状の確認と,ゼラチンカプセルスラリーの熱物性値の実測と推定方法について検討した.さらに,ゼラチンカプセルスラリーの直管試験部における流動抵抗と熱伝達特性を実験的に検討した.その結果,比較的低濃度のカプセル濃度においては,スラリーの流動抵抗は,分散媒である水の値と同じであるが,熱伝達に関しては,水よりも増加することを確認した.さらに,含有する潜熱蓄熱材が液相の場合では,カプセル全体が変形することにより,固相時よりも熱伝達が増加することを確認した.

  • 関谷 禎夫, 久保田 淳, 野中 正之, 台坂 恒, 大宮司 啓文
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-11NR_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/31
    ジャーナル フリー 早期公開

    ロータリ二段圧縮機において,2つの圧縮室を接続する配管内の圧力変動特性と過給効果が生じる条件を明らかにすることを目的として,圧縮性を考慮した1次元解析モデルを構築した.一段目圧縮室と二段目圧縮室の回転位相差,および接続配管内における圧力波の伝播にともなう共振条件の2つの因子に着目した解析をおこない,回転位相差を適正化することで二段目圧縮室において過給効果が得られ中間圧力が低下すること,さらに共振条件を満たすとその効果が大きくなること,ただし回転位相差が適正でない場合は,共振条件を満足しても過給効果が得られないことなどを明らかにした.

  • 飯島 遼太, 千葉 紘太郎, 永田 修平
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 23-08_OA
    発行日: 2023年
    [早期公開] 公開日: 2023/07/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    多くの容積型圧縮機において,潤滑油による微小隙間のシールや潤滑は重要であるが,微小隙間における油膜の存在を確認するのは容易でなく,その不確実性により給油機構の効率的な設計を阻害していた.本研究では,気液二相状態を検出可能な光ファイバプローブを微小隙間に設けた空隙に設置し,微小隙間内の気液二相状態を計測する手法の開発を行った.本手法では,微小隙間内の流体がプローブを設置した空隙に流入するかが重要となる.そこで,空隙内への気体および液体の流入の特性について気液二相流解析と可視化実験によって調べ,ウェーバー数が概ね1 を下回ると隙間に流入した流体が空隙を満たすことを示した.さらに,プローブ計測を模擬した二相流解析を行い,10 µm の隙間における相状態をプローブで検出できる見通しを得た.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-15_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

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