日本冷凍空調学会論文集
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早期公開論文
早期公開論文の39件中1~39を表示しています
  • 田中 英次, 田中 勝之
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 26-08
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究は,データセンター排熱を利用しつつ冷却側を60 ℃に保つことを想定し,膨張機の前に圧縮機を追加したランキンサイクルを検証した.検証には,R134aを作動流体に用い,圧縮機による過熱蒸気を90 ℃とし,MATLAB Simscapeによるシミュレーションで検証した.入熱量𝑄in= 1000 W,蒸発温度𝑇e = 50 ℃を基準とし機械効率,断熱効率をそれぞれ𝜂m = 0.8 ∼ 1.0,𝜂s= 0.5 ∼ 1.0で変化させた.結果として圧縮機,膨張機の両方の全断熱効率が0.8以上のとき正味の動力が正の値となることが確認できた.また,全断熱効率が0.4〜0.72の間において,Coefficient of Performance(COP)は7.1 ~ 80.6となった.

  • 斉藤 玲, 鈴木 良典, 中野 亮一, 南庄 飛鋭
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 26-09
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    地球温暖化及び気候変動への対策として,冷凍空調分野では様々な冷媒の検討が進められている.中でもプロパンガス(R 290)などの炭化水素冷媒は,可燃性の問題に配慮しつつ使用できる用途が増えている.可燃性冷媒に適用する冷凍機油として,家庭用冷蔵庫では相溶しやすいものが採用されたが,小型空調機や温水暖房機器では冷媒量を低減すべく相溶し難い冷凍機油が採用されてきている.本研究ではR 290用冷凍機油の冷媒との相溶性低減について報告する.

  • 田中 来武, 渡部 道治, 熊倉 秀雄, 村田 侑雄
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-26
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/07/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    家電機器のエネルギマネジメントや稼働状態推定の高度化をめざし,日々変動する動作条件や個体差を考慮しつつ,少量のパラメータで冷蔵庫の冷却状態を分析する手法を開発した.冷蔵庫の熱収支を考慮した冷却負荷指標を構築し,蓄積した稼働データを用いた回帰分析により,冷却負荷指標を,温度特性項,ドア開閉項,熱容量評価温度項に分解した因子分解モデルを提案した.また,ドア開閉や食材の投入を伴う恒温室試験を通して,因子分解モデルが,決定係数0.71で日々の冷却負荷指標の変動を捉えられることを実証した.

  • 廣川 智己, 宮田 春
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-46
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/07/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,三重周期極小曲面のひとつであるGyroid(ジャイロイド)構造を流路形状へ適用した熱交換器の伝熱特性を明らかにするため,水―水熱交換試験を行い,熱通過率および圧力損失の評価を行った.また,Gyroid構造熱交換器の伝熱性能を従来のプレート式熱交換器と比較した.Gyroid構造熱交換器は同一レイノルズ数条件下ではヌセルト数が最大17%高い値が得られ,同一質量流量条件範囲では同等圧力損失において単位体積あたりの熱通過率が最大3.7倍向上する結果となった.これらの結果より,高い伝熱性能や装置の小型化が求められる用途に対して,本構造は有用であると考えられる.

  • 中島 孝仁, 児玉 勇人, 山崎 徳子, 谷村 浩, 李 泰行, 広田 正宣
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 26-11
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/07/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    空調機器には近年,亜鉛溶射皮膜付きアルミ管を用いたフィン&チューブ型熱交換器が用いられている.この塩害環境における防食思想は従来の銅管を用いた熱交換器と異なるため,本研究では適切な防食設計の指針を得るために腐食メカニズムを推定した.熱交換器を搭載した室外機を塩害環境で暴露するとアルミ管には粒界腐食がみられ,これは第二相をカソードサイト,亜鉛が偏析した粒界をアノードサイトとする腐食と推定された.また,フィンとアルミ管の隙間には腐食生成物が密に析出し,これがアルミ管への酸素の供給を阻害することで下地を保護すると推定された.以上よりアルミ管の耐食性には,亜鉛および第二相の分布,結晶粒径,フィンによるアルミ管の被覆状態が重要な因子になると考えられる.

  • 古河 志織, 市邊 愛佳, 西津 貴久, 今泉 鉄平
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-42FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/05/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,減圧含浸法によりグリセリンをニンジン組織へ浸透させ,ラマン分光法を用いてその浸透度を定量的に評価するとともに,凍結・解凍後のドリップ生成に及ぼす影響を検討した.内部標準法を導入したラマン解析により,グリセリン濃度とピーク強度比との間に良好な直線関係が得られ,青果物中の浸透挙動を簡便に評価できる可能性が示された.ドリップロスの測定では,グリセリン処理により表層ドリップロスおよび内部ドリップロスがいずれも減少し,特に内部ドリップロスでは10%以上の処理で顕著な抑制効果が認められた.20%処理では未凍結水の増加や浸透圧作用による水分流出により凍結濃縮が生じ,内部ドリップ中のグリセリン濃度が相対的に上昇した.以上より,グリセリンは冷凍野菜のドリップ抑制に有効であり,ラマン分光法は浸透挙動の評価手法として有用であることが示唆された.

  • 黒田 萌恵, 阿部 洋一, 阿部 周司
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-34FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/05/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    冷凍すり身への糖類の添加は,凍結および加熱によるタンパク質変性の両方に対して保護効果があることが知られている.本研究では,「高糖濃度すり身」に焦点を当て,塩摺り工程中の温度がすり身のゲル形成能に及ぼす影響を調べた.糖濃度が6-14%のスケトウダラ冷凍すり身の重量に対して3%の塩化ナトリウムを加え,肉糊の温度が10-20 ℃になるまで擂潰した.所定の塩摺り温度まで擂潰して得た肉糊を30 ℃で1-6時間加熱して坐りゲルを調製し,調製した坐りゲルを破断試験に供した.その結果,高糖濃度冷凍すり身では,塩摺り温度を上げても坐りゲル形成能を維持した.これは,糖濃度を高めることで,凍結時の魚肉タンパク質の変性を抑制したのと同時に,塩摺り時の温度上昇に伴う,魚肉タンパク質の熱変性を抑制したためと考えられた.

  • NIMU Bayier, レ ド マ ー ク ア ン ソ ニ ー, 渡辺 学
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-39FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/05/08
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    これまでジャガイモの凍結に関しては,ブランチング処理後の加熱調理や自然解凍,電子レンジ解凍による影響が検討され,前処理による組織軟化や酵素的褐変抑制が報告されてきた.特に蒸気ブランチングは凍結中の氷結晶成長を抑制し,解凍後の水分損失率低減や食感保持に有効とされている.しかし,煮込み調理を前提とした凍結ジャガイモの品質変化は十分に検討されていない.本研究では蒸気ブランチングの有無や前処理条件が凍結-調理後のテクスチャー,色調,水分損失率に及ぼす影響を明らかにし,煮込み料理向け製品の品質改善に資することを目的とした.

  • 小池 邦佳, 座間 淑夫, 片山 達也, 妹島 周吾, 古庄 和宏
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 26-01
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,空調用圧縮機の吐出管内を通過する冷凍機油の体積流量を,油滴からの散乱光強度を用いて計測する手法を提案した.アクリル製の透明な試験流路を使用し,作動流体として冷媒の代わりに空気を,冷凍機油の代替としてシリコーンオイルを用いて,試験流路に油滴として流入させた.試験流路に対して垂直方向からレーザシート光を照射し,シート光を通過する液滴から散乱される光の強度を高速度カメラを用いて撮影することで散乱光強度を計測した.本研究で得られた成果として,提案した手法によって構築した散乱光強度と油滴流量の関係式から推算した油滴の体積流量は,ミストトラップを用いて直接的に計測した油滴の体積流量に対して平均で15.6%の近似誤差であった.

  • Misaki SHIBA, Enver Burak AKSOY, Haruna KINJO, Mario SHIBATA, Tomoaki ...
    原稿種別: original paper
    論文ID: 26-03
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    Discarded stipes of wakame (Undaria pinnatifida) are an underutilized marine biomass. In this study, an acid extract prepared from wakame stipes using 1 % sulfuric acid was evaluated for its ice recrystallization inhibition activity in a 40 % sucrose system at -10 °C. Ice recrystallization behavior was examined by temperature-controlled microscopy, and the extract was characterized by Fourier transform infrared spectroscopy and size-exclusion chromatography. The extract significantly reduced the ice recrystallization rate constant and modified ice crystal morphology, suggesting possible interactions between extract components and ice crystal surfaces. Structural analyses showed that the extract consisted mainly of low-molecular-weight polysaccharide-derived components bearing carboxylate groups, with minor sulfated structures, likely derived from partially depolymerized alginate and fucoidan. Viscosity measurements showed only a moderate increase, and differential scanning calorimetry revealed no significant change in freezable water fraction. Dielectric relaxation measurements indicated altered water molecular relaxation behavior, including the formation of strongly constrained hydration water. These results suggest that modification of water molecular mobility is the primary mechanism underlying ice recrystallization inhibition, while interactions at the ice crystal surface may provide additional contributions. The findings highlight wakame stipes as a promising sustainable source of natural ice recrystallization inhibitors for frozen food applications.

  • Chotika VIRIYARATTANASAK, Tomoko HASHIMOTO, Yuji TAKEMURA, Yu HORIUCHI ...
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-32FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    The effects of leaf layers on the texture and color of frozen cabbage leaves were examined among four maturity types. In early- and medium-maturity cabbages, there was no significant difference in the firmness of frozen inner and outer leaves, while in medium-late and late cultivars, the outer leaves retained markedly greater firmness. Additionally, frozen leaf firmness exhibited a strong positive correlation with cell wall components and total soluble solids. In terms of color, outer leaves consistently showed increased color chroma after blanching and freezing, irrespective of maturity type and without any clear association with cell wall components or total soluble solids. In contrast, color retention in frozen inner leaves was closely associated with cell wall components, particularly the levels of alcohol-insoluble solids and insoluble dietary fiber, showing decreased color chroma in early types. These results demonstrate that although cell wall integrity plays a pivotal role in preserving texture, color changes in frozen cabbage leaves cannot be explained by structural damage alone, suggesting a role for intrinsic factors such as initial pigment composition. Our findings suggest that selection of cultivar and plant segments are crucial determinants of frozen vegetable quality.

  • 小川 康太, 森﨑 弘大郎, 森 啓太, 近藤 智恵子
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-44
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/04/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    R744/R1132a/Xe系三成分混合冷媒を用いた超低温用カスケードサイクルの実現可能性を,数値シミュレーションにより検討した.Xe添加により体積能力が向上し,凝固開始温度が低下することで,R744/R1132a系では困難であった-60 ℃以下の利用温度域でもサイクルが成立し得る.分子動力学計算によりR1132a/XeおよびR744/Xe気液平衡データを取得し,混合パラメータを簡易フィッティングした.これらに基づく熱物性を用いて,高段にR32,低段にR744/R1132a/Xe混合冷媒を用いたカスケードサイクル性能を-60 ℃,-80 ℃,および-100 ℃で評価した.いずれの利用温度でもR23の体積能力を上回り,COPはR23と同等であった.体積能力がR23の約1.5倍以上となる組成を特定し,R744 /R1132a/Xeの代替可能性を示した.

  • 國吉 直, 寺島 康平, 小嶋 満夫
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-22
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    熱を用いた冷熱供給を目的とし,60 °C程度の低温熱源を利用したエジェクタ冷凍サイクルの実現に向けた研究を進めている.本研究では蒸気発生温度が60 °C程度の場合におけるR 245faを用いたエジェクタ冷凍サイクルの性能評価を目的として実験を行った.冷媒は,冷媒送液ポンプの消費電力の削減を目的として低圧冷媒であるR 245faを選定した.その結果,蒸気発生温温度および蒸発温度が60 °Cおよび15 °Cの場合,COPT(冷凍能力/投入熱量)は0.3以上,COPE(冷凍能力/冷媒送液ポンプの消費電力)では35以上の値を得ることができ,熱を用いた省電力の可能性を示すことができた.また,COPTと臨界凝縮温度の関係を示し,エジェクタデザインの方向性について検討を行った.

  • Aditi Alok MORE, Jie-Ting GENG, Kazufumi OSAKO
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-25
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    This study aimed to compare acid-soluble and pepsin-soluble extraction methods for extracting collagen from squid tentacles. The thermal properties of the resulting extracts were compared with those of the thermostable suckerin protein from sucker ring teeth (SRT). The pepsin-soluble extract (PSE) was found to be a relatively pure collagen extract, as evidenced by its characteristic α-, β-, and γ-chains on sodium dodecyl sulfate–polyacrylamide gel electrophoresis (SDS-PAGE); higher imino acid content; superior thermal stability; and functional pH-solubility profile where solubility was recovered in alkaline conditions. By contrast, the acid-soluble extract (ASE) was a mixture dominated by noncollagenous proteins. The scanning electron microscopy images revealed structural differences between PSE and ASE, with the former showing a porous, sponge-like structure and the latter presenting a dense, sheet-like matrix. This structural change was supported by Fourier transform infrared spectroscopy analysis, which revealed significant peak shifts that are indicative of molecular rearrangement caused by pepsin. Although most SRT was removed during processing, trace amounts were still detected by SDS-PAGE in the ASE fraction. The findings suggest that pepsin treatment is essential for effectively isolating a collagen fraction with desirable functional properties from the highly cross-linked matrix of squid tentacles.

  • 髙村 和希, 小林 幹太, 森本 崇志, 熊野 寛之
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-27
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    電力需要の季節・時間帯による変動に対応する手段として,蓄熱式空調システムが注目されており,中でもTBAB水和物は相平衡温度が5~12℃と冷房用途に適した潜熱蓄熱材である.本研究では,TBAB水和物の結晶成長特性を明らかにするため,一方向凝固法を用いて,溶液濃度とサンプルセルの移動速度が,成長中の固液界面の形態および界面温度に及ぼす影響を調査した.実験の結果,移動速度の増加に伴い界面温度は相平衡温度を下回り,結晶はより低温で成長する必要があることが示された.これらの結果は,TBAB水和物の成長が単なる熱伝導モデルでは説明できず,他の律速要因の存在を示唆する.

  • 上間 友隆, レド マーク アンソニー, 渡辺 学
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-36FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    神経締めは,魚の鮮度と美味しさが最も高く保たれる即殺法として知られている.しかし, 水揚げされた魚の背骨近くの神経を素早くワイヤーで壊すために,習熟した作業者が一尾ずつ処理することが必要で,大量に水揚げされる魚には適用できない.旋網などで大量に水揚げされる場合,魚艙に氷水を張ってその中で致死処理を行うことが一般的であるが,このとき氷水の代わりに,微細な氷と液体の二相混合物である氷スラリーを用いることで,より高品質な即殺ができる可能性がある.そこで本研究では活魚のマアジを調達して,氷スラリー締め,神経締め,苦悶死で致死処理を行い,処理方法の違いによるpH,外観,ATP関連化合物含有量への影響を定量的に比較した.さらに氷スラリーの氷充填率(IPF)の違いが,脱血処理の効果と魚肉の品質に与える影響についても調べた.その結果,氷スラリー締めで即殺した魚肉の品質は神経締めと同等で,苦悶死では大きな品質低下がみられた.また脱血処理への影響を調べた実験では,IPFが高くても脱血処理の効果は十分に得られ,IPFが高いほどpHの低下も抑制された.加えてIPFを30%とした場合には,脱血処理をしなくても筋肉中のヘモプロテイン含量が低下する傾向が見られた.

  • 安藤 泰雅, 一関 柊太, 角田 大倫, 渡邊 高志, 折笠 貴寛, 小出 章二
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-38FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/03/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,減圧マイクロ波(VMW)解凍の有効性を検証するため,冷凍ニホンナシを対象に解凍時における加熱均一性および品質特性の評価を実施し,従来の自然解凍およびマイクロ波(MW)解凍との比較を行った.MWでは顕著な加熱ムラが生じたのに対し,VMWでは局所的な温度上昇が抑制され,均一性を改善できることが明らかになった.特に低圧条件でのVMWにおいて効果が顕著であったが,この条件では水分蒸発による質量損失を生じていた.VMWでは試料表面の褐変が抑制されるとともに,細胞膜損傷がやや軽減される傾向が見られたものの,凍結・解凍による力学特性の変化を改善する効果は得られなかった.いずれの解凍試料でも糖度はほぼ一定であったが,酸度は生鮮時と比べ上昇する傾向を示した.VMWは均一に解凍処理を行う有効な手法である一方,過度な処理時間は品質低下を招く可能性があるため,今後は圧力やマイクロ波出力を変動させるなど,柔軟な条件設定を検討する必要がある.

  • 本田 萌恵, 清松 愛, 木庭 直哉, 塩谷 孝介, 塚﨑 守啓, 宮本 由紀, 猿渡 真, 田中 良奈, 田中 史彦
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-35FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    青果物の海外輸送では, 長時間の輸送過程における温度管理が品質保持の成否を左右する. 近年, 気候変動の影響により夏季の高温環境が一層厳しくなり, 冷凍コンテナ庫内で温度むらが発生することが品質劣化やフードロス増加の要因として懸念されている. これらの課題に対応するためには, 積載方法の最適化による品質管理が不可欠である.そこで本研究では海外輸送に関して国内外輸送時における品質劣化を抑制するため,冷凍コンテナ庫内温度分布を可視化し,これに基づく青果物の最適な積載方法を検討した.現状把握のために海外輸送試験を実施し, 長期輸送時のコンテナ内温湿度データを取得するとともに青果物の品質を評価した. 得られたデータを基に数値流体力学(CFD)解析を行い, 庫内の温度分布と気流挙動を再現した. これらの成果は, 冷凍コンテナにおける最適な積載方法の指針策定に資するものである.

  • Jin URAKI, Atsuro MACHIDA, Shunsuke ABE, Tatsunori ASAOKA
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-43
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    未利用熱の有効利用技術として,吸収式冷凍機の蒸発器における真空蒸発現象を利用して製氷を行う吸収式氷スラリー生成機を提案し,その吸収剤として使用される水・臭化リチウム・エタノールの3成分混合物の粘度測定を行った.実験の結果,3成分混合物の粘度はエタノール濃度の増加に対して一次関数的に増加する傾向にあることが明らかになった.LiBrの濃度配分によって,エタノール添加による3成分混合物の粘度増加率が変化することを確認した.また,任意の温度・混合比率における3成分混合物の粘度を近似的に求める推算式を得た.冷凍サイクル中の吸収剤の粘度は,温度上昇に伴う低下効果よりも,LiBr濃度の上昇に伴う増加効果の影響を強く受けることを示した.吸収剤の圧力損失は,層流・乱流のいずれにおいてもLiBr水溶液と比較して顕著な差はないことを確認した.蒸発器へのエタノールの添加は吸収剤のLiBr濃度を増加させるが,吸収剤の粘度が直接的に増加する影響よりも,吸収剤流量を増加させる間接的な影響の方が大きいことを示した.

  • NGUYEN Van Thom, Jie-Ting GENG, LE Thi Minh Thuy, Kazufumi OSAKO
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-45
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    This study aimed to evaluate the changes in the antioxidant activity of protein hydrolysate from North Pacific krill after interacting with glucose in the Maillard reaction. The results indicated that protein hydrolysate antioxidant activity was enhanced dramatically after the Maillard reaction. Generally, the Maillard-reacted protein hydrolysate product, which was prepared from North Pacific krill protein hydrolysate and reducing sugar (glucose) at a temperature of 95°C for 4 hours, possessed a remarkably increased antioxidant capacity, with its ability to scavenge 2,2-diphenyl-1-picrylhydrazyl (DPPH) radicals reaching 87.99% compared initial DPPH radical and its reducing power reaching 0.76 at an absorbance of 700 nm. Moreover, the consumption of free amino groups was highest with a free amino group loss of 28.87% compared to the initial free amino groups of protein hydrolysate. Furthermore, the antioxidant activity of the Maillard-reacted protein hydrolysate product was significantly affected at pH 4 and pH above 8. However, the solubility of the protein hydrolysate at different pH values did not change significantly after participating in the Maillard reaction.

  • Haruna KINJO, Misaki SHIBA, Mario SHIBATA, HAGIWARA Tomoaki
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-40FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/21
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    Summary This study investigates the ice recrystallization inhibition (IRI) effect of squid ink water extract (SIWE) and discusses its IRI mechanism from its physicochemical properties. The addition of SIWE to a 40 wt% sucrose solution retarded ice recrys-tallization at -10 °C. The recrystallization rate constant decreased from 3.65 ± 1.04 μm³/min in 40 wt% sucrose solution without SIWE to 2.73 ± 0.65 μm³/min at 0.1 wt% SIWE addition and 2.02 ± 0.89 μm³/min at 1 wt% SIWE addition. The size exclusion chromatography revealed that SIWE had a broad molecular weight distribution ranging from low- to high-molecular-weight fractions. Differential scanning calorimetry was employed to evaluate the freezable water fraction of 40 wt% sucrose solutions containing SIWE. The addition of 0.1 wt% SIWE reduced the freezable water fraction, indicating suppression of ice formation. Rheological measurements at 20 °C showed that SIWE addition increased apparent viscosity and induced shear-thinning behavior, suggesting formation of a weak polymeric network in the solution. Thus, this study suggests the potential of squid ink as a natural IRI agent.

  • 安藤 泰雅, 西田 菜美子
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-31FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    本研究では,ブロッコリー凍結時の組織軟化抑制における低温ブランチング(LTB)の有効性の検証と最適条件の検討を行った.パーオキシダーゼ活性測定の結果,LTB単独では十分な酵素失活が得られず,実用に際しては追加の高温加熱(HTB)が不可欠であると考えられた.力学特性評価では,LTB処理により最大応力の上昇が認められたが,これはインピーダンス解析により確認された細胞内電解質の漏出が細胞壁ペクチンの架橋構造形成と組織強化に寄与したためと推察された.凍結・解凍後もLTB処理試料はHTBのみの試料より高い最大応力を維持したが,長時間のLTBは色彩変化を招いた.これらの結果より,60 °C,15分程度のLTB処理後にHTB処理を施す条件が組織軟化抑制に向けたブロッコリーの凍結前処理として有効であると考えられた.

  • 井植 哲二, 田中 良奈, 田中 史彦
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-33FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    近年,急速凍結技術の進展により冷凍食品の品質は向上し,市場は拡大している.本研究では,アルコールブラインに代わる安全性・経済性に優れた寒剤として,塩化ナトリウム濃度22%の微細氷を用いた急速凍結法の有効性を検討した.マサバを対象に芯温変化を測定した結果,最大氷結晶生成帯(−1℃~−5℃)を30分以内に通過し,急速凍結が達成された.また,アジ標本の組織観察では,アルコールブライン凍結と比較して空胞面積がやや小さく,品質保持効果が同等以上である可能性が示された.塩化ナトリウム微細氷は非可燃性,低コスト,流動性維持などの利点を有し,法規制や安全性の観点からも急速凍結用途に有望な代替寒剤となり得ることが明らかとなった.

  • 久保 理彩, 安藤 泰雅, 鍋谷 浩志
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-37FF
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/02/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    凍結前処理におけるマイクロ波減圧乾燥の効果を浸透脱水との比較により評価した.試料はモモとニンジンを用い, いずれも凍結前に10 %, 20 %, 30 %の3段階で脱水処理を施した.マイクロ波減圧乾燥は50W及び100Wのマイクロ波出力で実施した.浸透圧脱水は50 %[w/w] グルコース溶液に浸漬して行った.品質はドリップロス率, 力学特性, 組織構造観察, 官能評価(モモのみ)の4項目で総合的に評価した.結果として, マイクロ波減圧乾燥製品の品質は嗜好性の面で浸透脱水製品よりも低いと評価された.一方, 脱水効率と組織損傷抑制効果のバランスという観点では, マイクロ波減圧乾燥も凍結前処理として有効な方法であると考えられた.

  • -第2報:フィードフォワード制御を用いた試験-
    宮岡 洋一, ジャンネッティ ニコロ, 田中 千歳, ドンディーニ ダミアーノ, 齋藤 潔
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-23
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    エアコンディショナーの性能は,JISで規定された年間性能評価指標としてのAPFをはじめとして運転データ取得を簡略化するため,圧縮機の回転数を一定とし,制御系を除外した状態で取得された数点の運転データをベースに導出される.一方,実際の機器では当然,搭載された自動制御によって,圧縮機の回転数や膨張弁開度などを適切に変化させながら運転されるため,この方法では実運転性能と大きく乖離することが指摘されている. 本研究ではこれまで,エミュレーター式負荷試験法を提案し,ラウンドロビンテストを通じて一定の精度で性能評価が可能であることを示してきた.しかし,動的試験の再現性を高める具体的な方策については未解決の課題として残されていた. この課題を解決するために,エミュレーターからの室内温湿度の制御目標値と,それに基づいて試験装置の条件発生器で実際に生成される室内空気の温湿度の遅延特性を線形モデルで表現し,これに基づく新たなフィードフォワード補償技術を提案した.本稿では,「エミュレーター式負荷試験装置」を用いて,新たなフィードフォワード補償技術の効果の検証のために,再度,同一の空調機を2つの異なるエミュレーター式試験装置を用いて空調機のラウンドロビンテストを行った.その結果,フィードフォワード補償技術を使用することで試験精度の向上を図ることができ,空調機の動的性能評価手法の再現性を向上させるための有効性が確認できた.

  • 田中 宏文, 鈴木 祐太, 宮本 博之, 湯浅 元仁, 後藤 琢也, 山田 拓郎, 寺井 航, 山川 清, 江村 知恵
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-29
    発行日: 2026年
    [早期公開] 公開日: 2026/01/31
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    銅管に生じる蟻の巣状腐食のメカニズム解明を目的に,ギ酸環境下の銅におけるラマン分光法と電気化学的手法を組み合わせたin-situ計測により,腐食進行過程における腐食生成物の経時変化や二次元分布を調べた.銅板・銅管の半浸漬試験では,Cu(HCOO)2(aq)とCu2Oの共存が蟻の巣状腐食進行に寄与し,腐食孔内にはCu2O に加え,一部CuOも存在することが示された.ICP-AES計測の結果,CuOはCu2Oよりギ酸溶液への溶解度が低く,これら腐食生成物の局所的な分布により,蟻の巣状へ形状変化する可能性が示された.さらに,ラマンマッピング分析によりCu2Oは腐食孔の深部で比較的少なく,壁面や周辺部に多く存在することを明らかにした.

  • 西尾 淳, 黒瀬 良一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-24
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/11/30
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    空調機における冷媒充填量削減と制御性向上のためには,配管分岐部における気液分配特性の把握が重要である.特に,非共沸冷媒を用いた場合,液相と気相の組成差が熱交換器性能に影響を及ぼす.本研究では,絞りを有する分岐管を対象に,Volume of Fluid(VOF)法によるLarge Eddy Simulation(LES)を実施し,気液二相分配特性を解析した.得られた結果を基に,液相分配はレイノルズ数およびフルード数に,気相分配はガスレイノルズ数に基づく1次元モデルとして整理し,簡便な予測式を構築した.さらに,構築したモデルを熱交換器解析に適用し,乾き度や露点温度の予測精度を評価した結果,実用上十分な精度を有することを確認した.

  • 飯島 遼太, 松永 和行
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-20
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/10/31
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    スクロール圧縮機では,スクロールラップ間の軸方向隙間縮小と接触圧力低減の両立が,高効率化・信頼性向上のため重要である.しかしながら,圧力熱変形に加えて旋回スクロールの背圧浮上や公転運動を考慮してラップ間の摺動状態を動的に予測する手法は未だ十分確立されていない.そこで本研究では,熱伝達率相関式と幾何計算に基づく圧縮室伝熱モデル,および予備的な流体解析に基づく応答曲面を組合せた伝熱サロゲートモデルを構築してラップ温度分布を予測し,さらにその結果をスクロールラップアセンブリの時刻歴応答解析に適用してラップ間の動的な隙間および接触状態を予測する手法を開発した.解析の結果,従来の剛体つり合いモデルと平均スラスト荷重の点では整合しつつ,準静的な従来手法には表れないスラスト荷重の偏在および時間的な振動が発生し,それは旋回スクロールの瞬間的な転覆および復帰の挙動に伴う加速度の変化として説明されることを示した.

  • 渡辺 拓登, 森本 崇志, 小山 寿恵, 谷野 正幸, 熊野 寛之
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-18
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/10/15
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    アイススラリーは,微細な氷粒子と水または水溶液の混合物であり,食品などの冷却や配管洗浄など,様々な分野でその利用が期待されている.しかし,氷粒子がもつ凝集性によって配管内での閉塞を問題点として抱えている.この氷粒子同士の凝集力は,定量的に評価された例は存在しておらず,経験的にその存在が知られているにとどまっている.このため,本研究では氷粒子に働く凝集力の定量的な評価を目的とした.凝集力については,流れのないアイススラリー上で簡易的な荷重実験を行い,保持できた最大のおもさから算出した.本研究では,溶質に塩化ナトリウムとエタノールを使用してアイススラリーを生成した.この結果,氷粒子の凝集力は氷充填率の上昇および溶質濃度の低下に伴い,大きくなることが判明した.また,同じモル質量では溶質による違いはあまり見られなかった.

  • SILVIA, Monjur MORSHED, Ryuhi OGAWA, T. I. HOIMONTEE, Md. Jahangir AL ...
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-19
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/31
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    Nowadays, hydrofluorocarbons used as refrigerants in air conditioning systems are being reevaluated worldwide due to their substantial environmental impact and high global warming potential. This has driven the advancement of next-generation refrigerants HFO1123 considered as a component candidate for next-generation refrigerant mixture due to its zero-ozone depletion potential and low global warming potential (GWP). However, no experimental data regarding its thermal conductivity are available in the open literature. This study investigates the thermal conductivity of HFO1123 in both the liquid and vapor phases. The accuracy and reliability of the apparatus were validated by measuring the thermal conductivity of R134a. The thermal conductivity of HFO1123 was measured using the transient hot-wire technique, employing a platinum wire with a diameter of 15 µm. Experiments were conducted over a temperature range from 233 K to 313 K and pressures between 0.52 MPa and 4.30 MPa. The estimated combined uncertainty of the thermal conductivity measurements is 1.14% for the liquid phase and 1.62% for the vapor phase. The experimental data of HFO1123 were compared with REFPROP 10.0, a predictive extended corresponding states (ECS) model. Furthermore, the residual entropy scaling (RES) technique-based thermal conductivity model of HFO1123 has been applied using the experimental data.

  • 特徴量設計の統一化検討(第一報)
    小薗 凜人, 佐々木 慎司, 森 隼人, 上田 晴康
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-04
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    HFC排出抑制の観点から,業務用エアコンのメンテナンス義務は空調機の管理者とサービス提供者の双方に大きな負担を与えている.近年,この課題の解決策として,IoTデータを活用した遠隔点検技術が注目されている.従来の冷媒漏洩検出技術では,稼働データやシミュレーションデータを用いたAIモデルが使用されているが,新たな機種へ対応する際には大規模なデータ収集や特徴量再設計を必要としていた.本研究では,異なる機種間で統一的に適用可能な特徴量設計を提案し,新しいモデルへの迅速な適応を実現した.加えて,配管長の異なる構成への対応において,学習データや特徴量の追加による改善を行った.提案手法はシミュレーションおよび実運転データによる検証を通じて正常時と冷媒不足時における推定結果の差異を明らかとし,その有効性が実証された.

  • 田中 裕太郎, 浅岡 龍徳, 滝澤 陽子, 早川 菜保美, 山田 朋美, 杉浦 良賢, 唐澤 陸央
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-10
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    凍結乾燥食品は熱的変性が少なく常温での長期保存を可能とし,また軽量でお湯をかけた際の復元性にも優れているため,スープやおかゆ,宇宙食など広く利用がされている.凍結時にサンプル表面に高濃縮層が形成されるメカニズムについて検討した.サンプルの凍結時の様子について観察した結果,サンプルが周囲から凍結することによってサンプル中央の溶液が濃縮され中央にはマッシー層が観察された.凍結中のサンプルから氷を抜き出して観察することで凍結途中のサンプルの氷は中央が窪んでいることがわかった.また,糖度測定によりサンプル溶液は時間経過とともに濃縮され,共晶点に至ることがわかった.詳細な表面糖度測定の結果,サンプル表面1mmには高濃縮層が形成されるがさらに表層の0.5mmには高濃縮層が形成されないことがわかった.実験結果を踏まえ凍結時にサンプル表面に高濃縮層が形成されるメカニズムを解明し凍結モデルを提案した.

  • 窪田 光宏, 武内 将貴, 山下 誠司, 北 英紀
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-15AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    200℃以下の低温排熱の有効利用を目指し,本研究ではMgSO4の水和物を用いた化学蓄熱システムに着目した.MgSO4の粒子凝集や低い水和速度といった実用上の課題を解決するため,本報ではメソ孔性多孔質材料との複合化に関する基礎検討を実施した.具体的には,MgSO4とメソポーラスシリカ,メソポーラスカーボン(MPC)から成る複合化学蓄熱材を調製し,細孔構造,水和速度,蓄熱密度の点から評価を行った.この結果,多孔質材料との複合化により,複合化学蓄熱材の水和反応がMgSO4単体に比べて迅速に進行すること,MPC/MgSO4では1800秒間の水和で単位重量あたり1130 kJ/kg-Hydrated sample,単位体積あたり807 kJ/L-Packed bedの蓄熱密度を達成できることなどを明らかした.

  • Cheng YOU, Yingxin ZHOU, CHAIRUNNISA, Kyaw THU, Takahiko MIYAZAKI
    原稿種別: original paper
    論文ID: 25-17AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/08/01
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    In the widely researches of carbon capture utilization and storage technology to address climate issues caused by greenhouse gas emissions, improving the purity of captured CO2 is a crucial direction. This study proposes a system design that integrates a trans-critical CO2/ionic liquid(IL) absorption refrigeration system(TsCO2-ARS) with a conventional post-combustion amine-based absorption carbon capture system(ACCS). By introducing the CO2 product from the ACCS into the TsCO2-ARS, the aim is to remove water vapor from the CO2 product while minimizing the additional energy demand imposed on the system by the CO2 purification process by using heat exchangers. Measured operational data from a pilot-scale amine-based ACCS were used for the simulation calculations in this study. For TsCO2-ARS, based on vapor-liquid equilibrium experiment data of CO2/ILs and Peng-Robinson equation of state (PR-EoS), the circulation ratio, the cooling capacity and the coefficient of performance, COP of the TsCO2-ARS under optimal working conditions were calculated. For the ACCS-TsCO2-ARS hybrid system, the total thermal energy consumption and energy change in heat exchangers were calculated and compared. The results of this study provide valuable insights for the design and optimization of the CO2 purification technology.

  • 新井 健一, 佐藤 繁雄, 北上 誠一, 加藤 登, 國本 弥衣, 阿部 洋一
    原稿種別: 研究レビュー
    論文ID: 25-11R
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/07/15
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    すり身タンパク質の加熱によるゲル形成は,先にシェフテルらが立てたその他のタンパク質のゲル形成の分子機構に関わる仮説理論によく適合している. すり身のタンパク質の加熱ゲル形成は,次のように進行することが既に知られている. (1)10℃以下の低温(スケトウダラの場合)において,2.5~3.0% NaClと混和すると筋繊維中の太いフィラメント(ミオシン,ポリマー)がミオシンモノマーに解離する. (2)低温下では,NaClの影響を受けて,タンパク質は部分的に解鎖(変形)し,ポリペプチド鎖上 の疎水性部分が露出する (3)変形したタンパク質のゲル化は加熱温度に依存している. 5~30℃(スケトウダラの場合)の低温下では,分子間の疎水性相互作用によりゆっくりと坐りゲルが形成される.坐りゲルをさらに高温(85~90℃)で加熱すると,より広範な疎水性相互作用,S-S結合,及びイソペプチド結合により,剛性が劇的に強くなる. また,直接高温で加熱すると,急激に解鎖しタンパク質は不規則に相互作用して凝固する.

  • 荒井 美幸, 劉 洪芝, 長野 克則
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-09AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    未利用熱エネルギーの有効利用技術として熱化学蓄熱があげられ,低温再生可能な熱化学蓄熱材の中でも炭酸カリウムは高い安全性やシステム安定性などから有望な候補として注目されているが,水和反応速度の遅さが課題となっている.本研究は炭酸カリウムを膨張黒鉛に担持させることで水和反応速度及び熱伝導率の向上を目指すものである.その結果,サイクル安定性を維持したまま,熱伝導率は1.39倍~1.52倍に上昇,脱水開始温度は7ºC以上低下した.また,水和反応速度が向上したことも確認された.さらに,膨張黒鉛の疎水性影響軽減を狙った塩化リチウム1%添加材料では水和反応速度のさらなる改善が見られ,その効果を確認することができた.加えて,脱水開始温度もおよそ6ºC低下し,低温再生性においても有望な熱化学蓄熱材であることが示唆された.

  • 江崎 丈裕, タンバリア セオドア ノエリー , 菅井 裕一
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-14AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

     本研究は,HFC-134aとイオン液体である[Bmim][Tf2N]を冷媒と吸収液に用いた機械圧縮・吸収式ハイブリッド冷凍サイクルを提案する.冷媒と吸収液の平衡吸収量,熱物性値を用いた静的解析により,本サイクルの冷凍能力と成績係数(COP)特性について評価した.本サイクルは吸収式のみでは得られない冷凍熱を358.15 K以下の駆動温度で生成可能である.圧縮機による吐出圧や駆動温度条件により,平衡吸収量差と投入エネルギー基準のCOPsystemが大きく変化し,ハイブリッドサイクルは吸収式の値より十分に高い.本サイクルの投入電力基準COPelctricityは吸収液の循環ポンプ効率に影響する.循環ポンプ効率が0.1以上の条件では,本サイクルの投入電力基準COPelctricityは機械圧縮式サイクルのみより高い値が得られることが分かった.

  • 梶本 こはる, 中曽 浩一, 三野 泰志, 後藤 邦彰, 埜上 洋
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 25-16AD
    発行日: 2025年
    [早期公開] 公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス 早期公開

    シンプルで可搬型の空気冷却を目指し,本研究では,尿素の水への溶解時に生成する冷熱と,水溶液 中の水を蒸発させる際に吸収される蒸発潜熱の双方を利用する方式を検討した.基礎実験では,水お よび尿素水溶液へ空気を吹き込んだ.その際,容器内に充填物を設置し,気液接触の促進を図った.そ の結果,液温を効果的に冷却できた.空気吹込み過程を数値的に検討するために熱・物質収支式による 解析モデルを作成した.その際,尿素の添加による蒸気圧降下を考慮した.解析モデルと実測した液温 は妥当に一致した.解析モデルを基にシステム予測を行った結果,低湿度条件では蒸発潜熱による冷 却へ及ぼす尿素濃度の影響は少なく,尿素溶解を積極的に利用して空気冷却できることがわかった.

  • 赤田 郁朗, 西田 耕作, 井上 順広
    原稿種別: 原著論文
    論文ID: 22-15_OA
    発行日: 2022年
    [早期公開] 公開日: 2022/10/15
    ジャーナル フリー 早期公開

    ステンレス製の平滑管,ローフィン管,3 次元加工管の3 種類の伝熱管について,水平に配置した管外のアンモニア流下液膜蒸発およびプール沸騰熱伝達に関する実験を行い,外面加工管による伝熱促進について検討を行った.流下液膜実験において平滑管は管頂部を起点とする円周角の増加に伴い局所熱伝達率が低下したが,外面加工管はフィンによって液膜が保持され,フィン間が液膜で覆われる範囲において熱伝達率が低下した.平均熱伝達率は低膜レイノルズ数域では平滑管が最も高い値を示し,3 次元加工管,ローフィン管の順に熱伝達率が低下し,フィンによる伝熱促進はみられなかった.高膜レイノルズ数域では3 次元加工管はフィンによって液膜に対流が生じたが,平滑管と同程度の熱伝達率となった.平滑管のプール沸騰熱伝達率はJung らの式と良い相関を示し,外面加工管は平滑管より20~30%程度低い値を示した.また,いずれの伝熱管も流下液膜蒸発はプール沸騰より高い熱伝達率を示した.

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