日本冷凍空調学会論文集
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原著論文
数値シミュレーションとMRI測定による過冷却解消後の氷結晶の成長に関する考察
小林 りかMacasero Arlyn Dublin松川 真吾
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2016 年 33 巻 3 号 論文ID: 16-21NR_OA

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抄録

食品の高品位冷凍技術として有望な過冷却現象を利用した凍結法における氷結晶の生成と成長挙動を理解するために,数値シミュレーションとMRI(核磁気共鳴イメージング)測定を行った.過冷却解消後の氷核の発生および氷結晶の成長についての数値シミュレーションでは,外部温度の低下が速い場合には,試料外縁部に氷核が発生し,そこから氷結晶がバルク状に成長した.一方,外部温度の低下が遅い場合には,試料内部にも氷核が発生し,それらがファイバー状に伸びて試料内部に広がったのち,外縁部からバルク状の氷結晶が広った.2重円筒状構造を持ったテスト試料のMRI の測定結果からは,外層の過冷却が解消してファイバー状の氷結晶が広がると,内層は液体状態のまま徐々に温度が上昇し,この時,外層の内層に接している部分から氷結晶がバルク状に成長することが観察された.

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© 2016 公益社団法人 日本冷凍空調学会
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