冷却固体面への氷の付着は様々な状況で発生し,重大な事故の原因にもなる.よって,氷の付着現象,特に金属面への氷の付着力を解明することは非常に重要である.従来の金属表面への氷の付着力は,マクロスケールにおいて金属表面-氷界面にせん断力を加えることで測定されたが,この場合,測定される氷の付着力は氷を破壊する力を含む見かけの値となってしまう.そこで,著者らは破壊を伴わない正確な氷の付着力を測定するために,走査型プローブ顕微鏡を用いたナノスケールでの氷の付着力の測定方法を開発した.本研究では,これまでの銅の表面エネルギーの温度依存性の結果とマクロスケールでの従来の方法によるせん断応力の測定結果との比較により,本測定方法により得られた銅板表面への破壊を伴わない氷の付着力の温度依存性の妥当性を検討した.