2018 年 35 巻 1 号 p. 11-
本研究の目的は,安価で高効率な稚内層珪質頁岩(WSS)デシカントユニットの構築であり,本報は第 8 報である.本報では再生温度低下を目的に,全熱交換素子とWSS ローターの組み合わせた方式を計画した.まず,再生温度の低減を達成するため全熱交換素子の仕様について数値計算と通風試験によって検討した.その結果,素子内の通風速度を0.8 m/sec にすることで潜熱交換効率を80 %以上に保つことが可能であることが示された.次に本システム構成におけるデシカントローターの最適回転数について数値計算によって検討を行なった結果,再生温度が変化しても吸着量が維持できる回転数は10 rph であった.また,本システムは再生温度50.5 oC で,9.4 g/kgDA の潜熱負荷を非結露で処理可能であることが示された.既存の2 枚ローター方式と比較した結果,全熱交換素子と組合せることで再生温度は8 °C 低減し,さらに予冷投入熱量は最大61%低減可能であることが示された.