日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
原著論文
潜熱顕熱の完全分離処理を目指したデシカントシステムの実証試験
鍋島 佑基外川 純也長野 克則
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 36 巻 3 号 p. 97-

詳細
抄録

著者らは高効率な低温再生デシカントシステムの構築を目的に,全熱交換素子と稚内層珪質頁岩 (WSS)ローターの組み合わせたデシカントユニットの開発を行ってきた.本研究ではデシカントユニットを中小規模の建物に対応させ,夏期実測を行い,省エネルギー性の実証試験を行った.本報ではまず,エアコンを改造し,蒸発温度が15 °C まで上昇可能な顕熱専用化を行った.デシカントユニットとの併用時の省エネルギー性を確認した結果,1 日あたりの積算消費電力を21.9 kWh 低減できることを確認した.この時の室内の露点温度は14 °C 程度であり,室内機による潜熱除去は殆ど生じていないことが明らかとなった.次に,期間全体の消費電力削減効果を明らかにするために,回帰分析による性能予測を行った.その結果,エアコンの蒸発温度を15 °C 一定にすることで,従来の空調に比べて冷房消費電力を 39.7 % 削減可能であることが示された.

著者関連情報
© 2019 公益社団法人 日本冷凍空調学会
前の記事 次の記事
feedback
Top