著者らは高効率な低温再生デシカントシステムの構築を目的に,全熱交換素子と稚内層珪質頁岩 (WSS)ローターの組み合わせたデシカントユニットの開発を行ってきた.本研究ではデシカントユニットを中小規模の建物に対応させ,夏期実測を行い,省エネルギー性の実証試験を行った.本報ではまず,エアコンを改造し,蒸発温度が15 °C まで上昇可能な顕熱専用化を行った.デシカントユニットとの併用時の省エネルギー性を確認した結果,1 日あたりの積算消費電力を21.9 kWh 低減できることを確認した.この時の室内の露点温度は14 °C 程度であり,室内機による潜熱除去は殆ど生じていないことが明らかとなった.次に,期間全体の消費電力削減効果を明らかにするために,回帰分析による性能予測を行った.その結果,エアコンの蒸発温度を15 °C 一定にすることで,従来の空調に比べて冷房消費電力を 39.7 % 削減可能であることが示された.