日本冷凍空調学会論文集
Online ISSN : 2185-789X
Print ISSN : 1344-4905
ISSN-L : 1344-4905
原著論文
脂質成分の相互作用が脂質の過冷却解消と平衡凝固点降下に及ぼす影響
玉置 亮李 潤珠鈴木 徹
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 37 巻 4 号 p. 411-

詳細
抄録

n-Hexadecane(HD)の結晶化に与えるn-Dacane(DCA)およびn-Octane(OCT)の影響を調べた.これにより,脂質成分どうしの相互作用が脂質の過冷却解消に及ぼす影響を体系的にとらえることを目的とし た.HD-DCA , HD-OCT 系それぞれについて平衡凝固点に対して結晶核生成温度をプロットしたところ,一次の相関が見られた.しかしながらその傾きから評価すると,HD は水溶液系ほど過冷却が進行しなかった.n-Alkane 類は極性を持たず,水溶液系ほど分子間の相互作用が強くないため,過冷却解消の障壁が高くないことがひとつの要因として推察された.また,HD-OCT 系よりHD-DCA 系の方が相対的に過冷却が進行する結果となり,共存物質によって過冷却の進行度合いが異なることも明らかとなった.

著者関連情報
© 2020 公益社団法人 日本冷凍空調学会
前の記事 次の記事
feedback
Top