本研究では,ごみ焼却排熱を離れた需要地まで輸送して利用する技術として,溶液輸送型吸収冷凍機(STA)に着目した.アンモニア吸収冷凍機の発生器・凝縮器を排熱源側に,蒸発器・吸収器を需要側に設置し,その間をアンモニア冷媒液・アンモニア水溶液を輸送することによって熱輸送を実現する.また,溶液をタンクに貯めることで蓄熱機能も実現する.この技術と従来技術を考慮したエネルギーモデルを作成し,システムコスト最小化の観点から最適な技術構成を導いた.その結果,標準的と想定されるプラントコストにおいて,輸送距離6kmまでSTAが利用されること,プラントコストが2倍でもSTAは競争力を有することが示された.排熱有効利用を推進する上で,吸収溶液輸送・貯蔵を取り入れたSTAは有効と期待される.