論文ID: 19-14DC_OA
電気自動車の暖房には電気ヒーターが用いられることが多く,さらに窓の防曇のために外気導入モードが基本となることからバッテリーの消耗が夏季以上に激しい.そこで本研究では,シリカゲルハニカムブロックによる除湿暖房効果の利用を検討した.これは,バッテリー充電中にシリカゲルハニカムブロックを加熱再生し,走行中に車内空気を循環除湿して窓内面の結露を防止しようとするものである.除湿(水蒸気吸着)に伴い発生する吸着熱は,暖房補助になる.市販のシリカゲルハニカムブロックを用いた基礎実験において,水蒸気脱着(シリカゲルハニカムブロックの再生)は吸着に比べて迅速で,10 分程度の再生時間で30 分程度の除湿暖房時間が得られることを示した.実車搭載を想定した循環除湿実験では,成人男性2名が乗車した場合,容積4L のシリカゲルハニカムブロック搭載で約30 分の防曇効果を確認した.このとき,空気加熱に要するエネルギーは従来方式(外気導入+温水ヒーター)の約60%であった.