論文ID: 19-23KE_EM_OA
海水から製造した氷スラリーを脱水した氷(脱水氷)は,漁獲物の鮮度保持に有効であり,特に漁獲物輸送時の冷却媒体として期待されている.しかし,脱水氷融解時の温度履歴を制御するためには,初期含水率の制御が必要であり,脱水氷の含水率に関する知見が求められる.本研究では,NaCl 水溶液から生成した氷スラリーを用いて,重力によって脱水氷を製造し,脱水氷の含水率の測定を行った.その結果,脱水氷の含水率は,氷粒子径の増加に伴って単調に減少することがわかった.また,脱水氷の含水率は,高さ方向に特徴的な空間分布を持つこともわかった.さらに,脱水氷と積雪では氷粒子径や液相の種類は異なるものの,氷スラリーの脱水を積雪の透水と同じ物理現象として扱えることが確認できた.