論文ID: 21-17_OA
本研究は液体窒素凍結によるブリの脱油現象調査を目的とした.脱油現象を観察するため,-30 ℃で静置凍結および液体窒素で浸漬凍結したブリ切り身試料を作製し,流水解凍後に紙皿に置いた状態で25 ℃で10 時間放置した結果,液体窒素凍結の方が多く脱油された.また,解凍後の時間経過によるドリップ流出において,-30 ℃凍結や液体窒素での浸漬凍結を行い,流水解凍直後と解凍後に10 ℃または25 ℃で18 時間保存後に脱水率・脱油率の測定を行った.解凍直後のドリップ流出率は液体窒素凍結の方が0.4%で低かったが,10 ℃や25 ℃の保存後はともに2 倍以上の増加傾向であった.25 ℃保存後では,液体窒素凍結試料の脱水率が7.6%,脱油率は5.5%であり,顕著に高い結果であった.以上の結果から,解凍後の貯蔵過程におけるドリップ量,特に脂質分の流出が多くなることが分かった.