二重効用吸着冷凍サイクルは高温で動作するサイクル(HTC)と低温で動作するサイクル(LTC)を組み合わせ,HTCの吸着熱を回収してLTCの吸着材の脱着に利用することにより,外部からの熱投入を減らし成績係数(COP)を向上させるサイクルである.本研究ではHTCにFAM-Z02を,LTCにシリカゲルを使用した実験装置を用い,HTCとLTCの間で水を循環させることによって吸着熱を回収する二重効用サイクルが動作することの実証を目的とした.熱源温度90℃,冷却水温度20℃,冷水入口温度15℃で実験した結果,HTC,LTCともに冷凍出力が得られたことから,回収した吸着熱でLTCが脱着できたこと,LTC加熱後の約50℃の循環水でHTCの吸着過程が動作したことが確認された.また,外部からの投入熱量がHTCのみとなるためCOPが単効用相当の約2倍に向上することが示唆された.さらに,HTCおよびLTCに使用する吸着材の充填量をそれぞれ3通り,合計9通りの組み合わせについて実験的に感度分析を行い,充填量が冷凍出力やCOPに及ぼす影響を調べた.