日本シミュレーション学会論文誌
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論文
角形鋼管横断面衝撃圧潰において断面をコンパクトに折り畳む加工法の提案
寺田 耕輔
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2024 年 16 巻 2 号 p. 32-47

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抄録

角形鋼管横断面を衝撃圧潰すると,通常では上下面は断面内側に大きく変形し,両側面は断面外側に押出されるように変形する.これに対して,本稿で提案する加工法を適用すると,上下面は平面形状のままで,両側面は断面内側にコンパクトに折り畳まれる.この変形パターンは周囲に危害を与えず,両側面を重ねて折り畳むことで衝撃エネルギー吸収性能を向上させる利点がある.また,鋼管構造物においては,配管,配線,フォーク爪など他部品との干渉を避ける必要がある箇所,鋼管と鋼管が交差する箇所などがある.このような箇所は,現状では切欠きや切断加工により開口部を成形している.そして,材料を切除するために構造強度が低下する対策として,補強材を付加することが多い.これに対して,本稿で提案する加工法を適用して開口部を成形すると,材料を捨てることなく圧潰部として残留するため,構造強度の低下が抑制され補強材を付加しなくてもよい利点もある.本稿では,角形鋼管の両側面を断面内側にコンパクトに折り畳む加工法の研究開発を進め,FEM(有限要素法)解析で事前検討し実験検証を行った結果と得られた知見について報告する.

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