2024 年 16 巻 2 号 p. 60-71
データの入出力問題が顕在化している大規模数値シミュレーションに対して,シミュレーションと同時に可視化も行うことでデータ出力コストの大幅な削減が期待されるin-situ可視化に対する要求が高まっている.しかし,in-situ可視化では,事前に設定したパラメータをもとに可視化された画像が出力されるため,解析段階でのデータ探索の対話性欠如が問題となっていた.このような問題を解決するために,本研究では,シミュレーション実行中に,どのタイミングで,どの視点位置から可視化すれば良いかを自動的に判断することができるスマートin-situ可視化に注目する.この方法では,空間内の複数の視点から最適な視点を評価し可視化するが,視点数の増加に伴い最適視点推定コストも増加していた.本論文では,シミュレーション結果の時間発展の状態から時間領域の重要度を計算することで,最適視点推定コストを低減し,それをもとに計算されるカメラ移動経路推定における可視化コストを削減する方法を提案する.実験では,歯茎摩擦音発生シミュレーションに本手法を適用し,その有効性を評価した.