2024 年 16 巻 2 号 p. 72-80
本研究の目的は低コストかつ容易に免震層水平剛性を推定する新たな推定手法を構築することである.免震建物の挙動を適切に予測するためには免震層水平剛性が明確になっている必要がある.しかし,竣工後の免震建物における免震層水平剛性は経年劣化や温度履歴等により設計時とは異なることがある.現在確立している推定手法は,時間的・経済的コストが大きいものが多い.本推定手法では,中程度の地震動発生時に加速度計で観測された地震動加速度波形を入力とした地震時建物応答シミュレーションを実行し,免震層水平剛性と免震層最大変位の関係を算出する.これとけがき式変位計によって測定された免震層最大変位を比較し,免震層水平剛性を推定する.本研究では,提案する推定手法が適用可能となる条件を数値実験によって明らかにした.