2025 年 17 巻 1 号 p. 10-16
本研究の目的は,免震層水平剛性推定手法の実用化を目指し,推定手法による免震層水平剛性の推定精度と入力地震動の関係について明らかにすることを目的とする.本研究では2013年に実大3次元振動破壊実験施設E-Defenseで行われた実験「実大免震建物の衝突による被害低減対策開発のための加振実験」を対象とする.本実験の試験体を参考に,非線形特性を考慮した多質点系モデルと3次元モデルの2つのモデルを作成した.数値実験例1では,各モデルに対して1軸方向の地震動だけを入力とする時刻歴応答解析を実施した.数値実験例2では,3次元モデルに対して3軸方向の地震動を入力とする時刻歴応答解析を実行した.それぞれ解析結果とE-Defenseの実験結果を比較することで,推定手法による免震層水平剛性の推定精度と入力地震動の関係について検討した.本研究により,免震層水平剛性推定手法の実用化には3軸方向の地震動を入力とした時刻歴応答解析が必要であるということが明らかとなった.