2025 年 17 巻 2 号 p. 56-68
極端気象現象の予測精度向上を目的に,想定される微小な誤差を複数種類初期値に加えて,多数のシミュレーションを行うアンサンブルシミュレーションが広く利用されている.計算機性能の飛躍的な向上に伴い,シミュレーション格子の時空間解像度やアンサンブルメンバー数を増やすことが可能となり,空間的・確率的に高精細なシミュレーションが可能となる一方,データの大規模化や多数のアンサンブルメンバーを俯瞰することの困難さが生じる.膨大なデータの中から注目すべき特徴や異常値を効率的に抽出し,メンバーごとの振る舞いや変数間の関係性を詳細に分析することは容易ではない.このような問題に対して,近年提案されたエッジ束化平行座標プロット(Angular-based edge bundled Parallel Coordinates Plot, APCP)では,メンバーごとの変数間の関係を視覚的に把握することができるようになったものの,事前に定義された軸順序に基づき,隣接軸間の相関関係しか可視化できないという制約があった.本研究では,APCPにおける軸間の角度分布情報に基づき,変数間の関係性を定量化する新たな指標を開発し,その指標を使った軸の順序付け法を提案する.本手法を利用することで,事前に軸順序を定義することなく,複数メンバーにおける変数間の関係を効率よく可視化できる仕組みを構築した.実験では,気象アンサンブルデータを解析するためのAPCPに本手法を適用し,その有効性を示した.