2026 年 18 巻 2 号 p. 28-38
磁界方式人体通信は,外部環境の変化や姿勢の変化に対して高い頑健性を持ち,次世代のBody Area Network(BAN)を支える基盤技術として期待されている.著者らはこれまで,高Q共鳴結合による損失改善や生体安全性の立証,実機による通信距離の延伸について明らかにしてきた.本研究では,将来的な多機能通信およびネットワーク構築を見据え,従来のシングルバンド方式の拡張として,単一のコイルで2つの共振点を持つデュアルバンドコイルを提案した.数理モデルに基づき6.78 MHzおよび13.56 MHzで動作する素子定数を算出し,送受信回路要素を組み込んだ3D有限要素モデルを用いて信号損失特性と電磁界分布を評価した.シミュレーションの結果,設計通り2つの周波数帯において鋭い共振特性が得られることを確認した.従来のシングルバンドコイルと比較して,共振周波数における信号損失を大幅に低減できることを明らかにした.また,腕の折り曲げ等によるコイルの角度変化に対しても通信特性が安定しており,ウェアラブル端末としての高い実用性と頑健性を立証した.