Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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大平肺吸虫の生態学的研究
II 東海地方の揖斐川, 長良川, 木曽川流域産カイならびにネズミにおける本種の検出成績
松尾 喜久男真喜屋 清
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1987 年 15 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
1983年10月から1985年10月の間に, 伊勢湾に注ぐ三重, 愛知県下の揖斐川, 長良川, 木曽川の河口周辺に生息するカイ, ネズミについて大平肺吸虫の検出を行った。計5地点で採集したムシヤドリカワザンショウ計5,305個体を剖検し, そのうち, 揖斐川, 木曽川の各1地点から本種セルカリアを検出した。この2地点における検出率はそれぞれ, 0.45%, 0.48%であった。ネズミについては, 3河川流域からドブネズミ計18頭, アカネズミ計6頭を捕獲して剖検した。ドブネズミでは8頭の成熟ネズミの肺から本種成虫計90個体, 1頭の未成熟ネズミの肝から未熟虫体1個体を検出したが, アカネズミはすべて陰性であった。既報のカニの成績ならびに今回のカイ, ネズミの調査結果から, 3河川河口流域の広大な大平肺吸虫分布地において, 本種の生活史に第1中間宿主としてムシヤドリカワザンショウ, 第2中間宿主としてクロベンケイ, ベンケイガニ, 終宿主としてドブネズミが関与していることが初めて明らかになった。
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