2023 年 31 巻 p. 39-47
本稿では、近代の哲学者であるカントの多元主義を手がかりに、児童生徒が互いのよさや可能性を発揮することのできる集団活動のあり方を実現するため、集団活動を「冷ます」ことの意義を論じている。活動が盛り上がるなかで熱を帯びる集団活動を適度に抑制することを指すこの実践は、児童生徒が自他について冷静に反省を行うための機会を用意し、互いのよさや可能性を発揮しやすい環境を整えるものである。同実践は、特別活動研究一般において目指されているような、児童生徒の相互作用を豊かにするものとは別なる方向において、集団活動のより良いあり方を実現するための第一歩となりうるものである。