特殊教育学研究
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精神薄弱者の記憶における体制化方略の発達
島田 恭仁
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1984 年 22 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

年長精神薄弱児(CA17歳)20名と年少精神薄弱児(CA13歳)20名を対象にして、記憶の体制化の効果を検討した。各年齢ごとに被験者を2つの処遇条件に分け、計4群(各10名ずつ)の被験者群を構成し、自由再生課題を4試行課した。実験に用いられた材料は16枚の絵カードであり、これらは4つの概念カテゴリーに4枚ずつ分類できるようにされている。一方の処遇条件ではカードを各カテゴリーごとにまとめて呈示し(ブロック条件)、もう一方の処遇条件ではカテゴリーごとにまとめずランダムな呈示を行なった(ランダム条件)。結果は年少児ではブロック条件とランダム条件の間に再生量の差がなかったのに対し、年長児ではブロック条件での再生量がランダム条件よりも多くなった。このことより精神薄弱児も、年長になれば、呈示方法の工夫で体制化方略を有効に使えるようになることが示唆された。

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© 1984 日本特殊教育学会
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