特殊教育学研究
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ダウン症児の聴覚障害の実態 : ピープショウテストおよびABRによる検討
鷲尾 純一
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1984 年 22 巻 1 号 p. 16-23

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抄録

本研究の目的は、従来わが国において関心の薄かったダウン症児の聴覚障害についてその実態を明らかにすることであった。0才10ヶ月から15才までのダウン症児を対象に、遊戯聴力検査であるピープショウテストと電気生理学的聴力検査であるABRを適用して、検査可能となった延べ55名の被検児について次のような結果を得た。(1)両側に聴覚障害を疑われたものは35%で、耳単位では37%であった。(2)障害の程度は、軽度から中等度難聴のものが大半(耳単位で77%)を占めており、両耳とも61dB以上の高度難聴のものはなかった。(3)聴力の左右差のあるものが多く、40dB以上の差のあったものが17%にみられた。(4)聴力型は水平型が多く、高音漸傾型、急墜型は殆どみられなかった。(5)聴覚障害のタイプは、伝音性難聴が最も多かった。(6)聴覚障害が疑われたもののうち、70%以上は全く気付かれずに療育されていた。

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© 1984 日本特殊教育学会
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