特殊教育学研究
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精神薄弱児における物語記憶におよぼす絵画呈示の効果
松村 多美恵
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1985 年 23 巻 1 号 p. 36-45

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抄録

本研究の目的は、精神薄弱児における物語の記憶能力、および物語記憶におよぼす絵画の呈示効果を同一MAの健常児と比較検討すると同時に、物語のくりかえし構造の物語記憶におよぼす効果や物語記憶と数列記憶の関係を検討することであった。被験者は、精神薄弱児36名と健常児36名であり、記銘材料としてグリム童話全集より2つの物語が用いられた。実験の結果、精神薄弱児においても絵画の同時呈示の効果が認められたが、健常児より物語記憶の成績は悪く、健常児の方が呈示された絵画を物語記憶により効率的に利用していることが示唆された。物語のくりかえし構造の効果は、精神薄弱児においても健常児においても認められなかった。また、物語記憶と数列記憶の相関は、健常児においては有意であったが、精神薄弱児においては有意ではなかった。

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© 1985 日本特殊教育学会
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