抄録
本研究は、調査研究によって肢体不自由児の睡眠-覚醒リズムのパターンを明らかにし、安定的な睡眠-覚醒リズム形成のためにムーブメント活動がどのような関わりを持つかを実験研究で明らかにすることであった。調査研究では肢体不自由児85人、実験研究では多相性睡眠を示している重度の肢体不自由児10人を対象児とした。その結果、(1)肢体不自由児の睡眠-覚醒のリズムは学齢期にあっても乳児型の未熟な多相性睡眠を示し、それは自力移動不能群に多いことがわかった。しかし加齢発達に伴い減少する傾向があった。(2)多相性睡眠を示している重度の肢体不自由児に、前庭刺激及び筋感覚刺激を中心としたムーブメント活動を1日1回、およそ1ヶ月半にわたり他動的に与えたところ、睡眠-覚醒リズムに好転を示した児童は90.0%であった。このことにより、ムーブメント活動は重度の肢体不自由児のより良い睡眠-覚醒リズムの安定化要因となることが明らかになった。