特殊教育学研究
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重症心身障害児・者の要求表出と指導員の理解
川田 みどり小池 敏英堅田 明義
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1986 年 24 巻 3 号 p. 41-49

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抄録

本研究では、重障児・者の相互交渉の様相を具体的に明らかにすることを目的として、質問紙法による検討を行った。質問紙は、日常の療育を担当する指導員に依頼し、重障児・者の要求(食物、水分、排せつ、睡眠、温度調整、遊び相手)に関する理解の程度と、要求を判断する際に手がかりとなる対象児の行動について記述を求めた。その結果、指導員は、多くの重障児・者の要求を介助時の場面情報と合わせて理解していることが指摘された。また、指導員が手がかりとしている行動は、乳幼児の前言語段階にみられる種々の行動と類似していることが明らかとなった。しかし、運動障害による表出行動の制約から、重障児・者に特徴的な要求行動の記述が認められた。これは、指導員の判断が、対象児の運動障害の程度に影響されることによると考えられた。

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© 1986 日本特殊教育学会
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