特殊教育学研究
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難聴児における補聴域値の改善に伴う語音聴取能力の発達
濱田 豊彦
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1989 年 27 巻 1 号 p. 45-52

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抄録

語音の聴取は補聴器装用の最も大きな目的の一つである。ところが、多くの高度難聴児は、語音聴取に必要とされる音素体系を習得していない等のために、十分に語音を聴取することができない。そこで本研究では難聴児が日常得ている補聴器の増幅レベルの改善が、音素体系を習得させるための有力な手段になると仮定し、その改善に伴う語音聴取の初期段階の能力の変化を継時的に測定した。その結果12名中7名が補聴器の増幅レベルの改善に伴い語音聴取能力を発達させた。このことは、日常の補聴状態が語音聴取能力の発達を促す有力な要因となっていることを実証した。さらに、A.H.T.(Aided Hearing Threshold)及び学年ごとの分析から下記のことが明示できた。(1)平均A.H.Tが60dBSPL以下の時、語音聴取能力の初期段階の発達を促すことができる。(2)語音聴取能力の習得において年齢が重要な要因となっている。

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© 1989 日本特殊教育学会
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