1991 年 29 巻 3 号 p. 29-37
教師の指導性を高めるために研究授業を参観する方法が、学校現場では一般的にしばしば行れている。しかし、参観の視点が明確にされていないと、教師みずからそこから学び指導性を高めることは難しい。そこで、認定講習「障害児の指導法」を受講した現職の教師60名への「授業参観の視点」の調査1および全国国立大学附属養護学校・特殊学級(57校)の教育実習の手引等における「授業参観の視点」(18校に掲載)の調査2を行い、その結果を分析、比較し、検討した。その結果、両調査とも上位3項目の視点は、教材・教具、子どもの活動、教育目標で共通していた。しかし、現職の教師全体では各視点(項目)間の関連性を意識した、授業のポイントを押えた見方が弱かった。特に、子どもの活動については授業の中で漠然と見ていることが明らかになった。しかし、障害児教育経験年数3年以上の教師ではこの傾向は少なくなっていた。