特殊教育学研究
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聴覚障害幼児のコミュニケーション手段の実際 : 「聴覚手話法」による指導について
川崎 億子草薙 進郎
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1998 年 36 巻 2 号 p. 11-19

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抄録

トータル・コミュニケーションの理念に則り、手話を導入し「聴覚手話法」で指導を行なっているA聾学校幼稚部のコミュニケーション方法を取り上げ、幼児の発話を分析することで、幼児たちの活用しているコミュニケーション手段の実際を明らかにしようとした。分析の結果、(1)幼児たちは、自分の活用できるあらゆる手段を組み合わせてコミュニケーションを行なっていた。(2)1発話の構成要素が年齢に伴って増加するとともに、そこで用いられるコミュニケーション手段も動作を中心とした前言語的手段から、音声語・指文字・手話を中心とした言語的手段へと変わり、コミュニケーションの発達の順序性が明らかになった。(3)発話の機能の面では、年齢に伴って他者とのやり取りに関わると思われる機能が増えることが分かった。(4)音声語と指文字・手話が同時に使用されるなど、手段が複合化して用いられることが分かった。

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© 1998 日本特殊教育学会
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