特殊教育学研究
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思春期を迎えた自閉症児の特徴に関する研究 : 養護学校小学部と中学部の自閉症児の比較検討を通して
田実 潔
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1999 年 37 巻 1 号 p. 41-48

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抄録

年長自閉症児の実態チェック・リストを用いて、一般に思春期といわれている中学部段階以降の青年前期の自閉症児の特徴を明らかにすることとした。中学部段階と小学部の自閉症児の比較において、特に発語や理解語、文字の読み等ことばの学習能力に関する項目で中学部段階の自閉症児群の方が有意に優れていることが示された。また、集団参加についても年長になるにつれ改善される傾向が認められた。これらは、学校教育の成果が現れた結果ではないかと思われる。さらに、性に関しても中学部と小学部の自閉症児群で有異な差が示された。しかし、自閉症児の場合、性の成熟は見られても性の衝動を異性に向けるより自分に向ける(自慰行為)傾向にあることが分かった。一方、自閉症に特有とされる固執性や常同行動、パニック、等については、年長になってもあまり改善されず依然として続くことが示された。また、中学部段階の自閉症児に特徴的なこととして、この時期に新たにてんかん発作を起こす例の多いことが示された。

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© 1999 日本特殊教育学会
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