本研究では、青年期の自閉性障害者1名を対象に困難状況にある他者を援助する行動を形成した。ここでは、他者が行う作業量が大きい条件においては他者を援助し、作業量が小さい条件においては援助しない、という2つの行動を標的とした。そして、これらの行動が生起するための他者の困難状況に含まれる弁別刺激について検討することを目的とした。訓練では、ビデオを用いた条件性弁別訓練を行った。作業個数に関しては、個数が多いときには援助し、少ないときには援助しない行動が、実際の場面においても生起した。一方、このような援助する行動は、重量に関しては見られなかった。しかし、困難状況に直面した他者による明確な刺激提示により、援助する行動は生起するようになった。
