特殊教育学研究
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聴覚障害児における短時間提示文の読み取り
四日市 章
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1999 年 37 巻 3 号 p. 33-42

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抄録

重度聴覚障害児の字幕利用に関する基礎的情報を得るため、短時間提示文の読み取りについて、提示文の長さと提示時間との関係から検討した。また、漢字仮名交じり文と平仮名文の読み取りの違いや、提示文の背景を示唆する手がかりを事前に与えた場合の、読み取り成績の変化についても検討した。その結果、日本語の読み能力の違いが、短時間提示文の読みと深く関係しており、日本語能力の高い聴覚障害児では0.5秒提示の4文節文及び1秒提示の5文節文の読み取りがほぼ可能なことが分かった。しかし読み能力が低い被験児の場合には、1秒提示の4文節文の読み取りだけがほぼ可能であった。また読み能力が低い場合、平仮名文よりも漢字仮名交じり文の方が読み取りやすかった。さらに、手がかりが付加された場合は、読み能力に関わらず、提示文の意味が若干把握しやすくなることが分かったが、正確な読みの向上への効果はみられなかった。

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© 1999 日本特殊教育学会
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