特殊教育学研究
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痙直型両麻痺児における情報処理様式の特徴について
清水 光弘
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1999 年 37 巻 3 号 p. 61-67

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抄録

19名の痙直型両麻痺児を対象として、その情報処理様式の特徴をK-ABCを用いて検討した。総合尺度の平均値では、継次処理尺度が同時処理尺度より高い「継次処理優位性」が見い出された。各対象児ごとの成績では、継次処理優位者が10名、同時処理優位者が1名であり、残りの8名には両尺度間に有意な差はなかった。下位検査の評価点分布を見ると、同時処理尺度の中でも、視覚-運動系を介する空間処理能力、空間配置の能力が劣っていた。これらの結果から、視覚認知能力の障害は、同時処理尺度の一部の能力と関連性のあることが示唆された。有効な教育的働きかけをするためにも、情報処理様式の特徴を明らかにする必要性が、学習障害児の教育との関連から考察された。

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© 1999 日本特殊教育学会
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